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245.お届け物

 一人で、駆け抜けるのはなんとも気楽だ。


 周りを気にせずマイペースで、とばせる。


 人のいない道を道なき道をとばしまくる。何なら木の上を跳んでもいい。


 大河を渡るにも船など待たずに、泳いでしまえばいい・・・荷物が濡れても困るし、渡し舟に乗せてもらうか。


 大河を渡ったら、とにかく一路【教国】へ。


 死者の平原の動きの遅いスケルトンなど、自分に追いつけるわけも無く。


 四足歩行の獣型の魔物がたまに追ってくるが<疾走><跳躍>を使い引き離したら、岩陰に隠れて【八岐の外套】のコートで消えれば、ターゲットが外れる。


 相手がどこかに行ったらまた走り出せばいい。


 どんどん走り、村に泊まってログアウト。


 いつもならそこいらのセーフゾーンで休んでもいいのだが、荷物持って一人でログアウトしたらどうなるのか、試した事なかったので、ちゃんと宿屋に泊まる。


 流石に掃除に来た店員に物を盗まれるような鬼仕様ではない。いくらなんでもね。


 どこをどう通ればいいのか、【馬国】の高原や【砂国】の砂漠でもなければ、自由自在だ。


 そして【教国】に辿り着く。


 いつ見ても、立派な都。そして中心の建造物。


 安心のプレートメイルの【兵士】さん。


 「こんにちは、お届け物なんですけど大事なものらしいんで、先にこの手紙を上の人に渡してもらう事ってできます?」


 「承れますが、もし差し支え無ければ所属など伺っても?」


 「コレは失礼しました【帝国】【古都】で【上級士官】やってます。【教国】で通じるか分りませんけど隊長って呼ばれてますが」


 「失礼いたしました!すぐにご案内の者を呼んで参ります!!」


 「お気遣い無く、普通で大丈夫です」


 あっという間に駆けていき、そして疾風の如き速さで案内のプレートメイルの【兵士】を連れてきた。


 そして案内されるのはいつだかの応接間。若干かかっている絵などは違う気もするが、まあいいか。


 大した間も無く現れるのは第7機関長。暇なのか?いや【帝国】でも軍のお偉いさんフットワーク軽かったわ。


 「久しぶりだな、届け物だってな。まあ、話は聞いてるが【上級士官】に頼むって【帝国】方面のやつらは何考えてるんだか」


 「自分は気にしないですけど、物運ぶのとかいつもの仕事なんで、あっこれ手紙です」


 「悪いな。あ~聞いてた通りのブツか。ちなみに一応ルートとか何人で来たかとか聞いておいてもいいか?形式的なもんだが」


 「別に構わないですよ。偉くなると段取りとか大変そうですね」

 

 「いや、お前さんも十分偉いだろ」


 「うちは兵長が面倒な事やってくれるんで、その代わり勝手に役職変えちゃうし、仕事も決めちゃうけど」


 「兵長ってのはアレだろ?【兵舎】の責任者。お前さんは【古都】の所属だって聞いてるから、都クラスの責任者となると方面や地域の管轄トップだろ?司令官になると戦闘指揮を取るようになるからまた違うんだろうが」


 「そんなに偉いんですかね?まあ、あんまり偉そうにしてる人っていないんでよく分らないです」


 「【帝国】の上の方は猛者ばかりって聞いているけどな?まあ、いいさ」


 「今回の運び荷だが、本当にちょっと問題ある物でな。もしもの事を考えて複数ルートに分けて本物と偽物を運ばせる念の入れようでな」


 「また、面倒な。特に運ぶルートも制限も言われなかったから、普通に直線ルート走ってきちゃいましたよ」


 「そうか、早いとは思ったんだよ。とりあえず荷物も預かっておくな」


 そういうので、木箱を渡す。


 「うん、開けた跡も無し。これが本物か偽物かは誰も分からないんでな。すまないが何日か【教国】に留まってもらっていいか?」


 「別にいいですよ。ワインでも仕入れて行きますよ」


 「そりゃあ、いいな。また呑もう。泊まるのはどうする?ココに部屋用意出来るが」


 「いやいや、いくらなんでも、普通に宿に泊まりますよ」


 「そうか?悪いな。体動かしたくなったら、誰でもいいから【兵士】に声掛けてくれ、地下墓地ならいくらでも戦闘していいから、何ならうちのやつら連れて、ちょっと気を締めてやってくれ」


 「いや【教国】の【兵士】は皆真面目そうだし、締めるも何も。寧ろ【帝国】の【兵士】達の管理仕事嫌いが酷いんで、机に縛りつけて欲しいですわ」


 「はっはっは!そりゃあうちも【兵士】になるようなやつは皆同じさ」


 そんなこんな久しぶりに第7機関長と会い、中心のでかい宮殿をお暇し、宿を探す。


 ふと、貧民街の方へ行けば、また炊き出しをしていた。


 白いドレスローブの女性だ。今日は豚汁かね、味噌なんて【教国】にあったんだな。


 「あらあら、お久しぶりね。今日も手伝ってくれるのかしら?」


 「一仕事終えてきたんでいいですよ。しかし豚汁とは中々いいですね」


 「そうね。最近色々物が届く様になって、ご飯も色々作れて楽しいわ、このお味噌も【森国】からなんかグルメな隊長さん?が大量に持ち込んだみたいよ」


 ああ!味噌は中間食材だから自分の鞄で悪くならないしって事で、持ち込んで捌いてもらったんだった。


 さて、大量に作れてお腹にたまる物ってなんだろうな。


 まあ、豚汁だし、米か!米炊くか!


 鶏肉、人参、茸を小さく切って~塩、醤油、酒、砂糖、水を鍋にぶっこんで~米ぶっこんで~さっき切った具材をぶっこんで~。


 火にかけて~程よいところで混ぜちゃって~水が減ったら、穴がぷつぷつあくまでよく眺め~。程よい所で火から上げて出来上がり~。


 後は布で包んで保温して置いておく。


 豚汁が程よい加減になるのを待って、配給だ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 忍者感のある飛脚宅配便だなぁ
[気になる点] 炊き出しの人、隊長さんの正体に気づいてない [一言] 後は布で【来るんで】保温して置いておく。 >包んで ではないでしょうか
[一言] また無自覚に好感度稼いでる隊長 平常運転です ニンジャ師匠の訓練のおかげでソロでの走破力が尋常じゃなくなってるなぁ
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