244.第3部 Fallen Angel ~プロローグ~
【訓練】と【輸送】の日々、
時に【古都】の集まりにいつの間にか増えてたソタローのクエストを手伝ったり、
騎士殿が天騎士になったり、
2周年イベントがリアルマネートレードをしたプレイヤーのせいで、賭けが無くなったり。
いや、運営からのメールで驚いたが、禁則事項でも確か赤字で書いてあったリアルマネートレードやらかしたやつがいるらしい。
しかも、イベントの賭けの金を集める為に・・・一応医療用から始まって国の認可受けながら地味にアップデートしてるこのゲームで、それって。
お堅いゲームだってのは分ってたと思うのだが、そうでもないのか?
まあ、リアルマネートレードになんらか対策打つまでは賭けは無し。
今回のイベントは銅の○○、銀の○○、金の○○って言う魔物が一定期間出てきて、倒せばお金がいっぱい手に入るっていうやつ。
正直【輸送】した方がお金になるんだが。
一応頼まれて金のレギオンボスを倒すの手伝ったりはしたけどね。
そんなこんな、スキルの熟練度も貯まり、
<捕術士>=<ダガー><殴剣><組討><擒拿術>
捕縛 四種混合
鎧通し 金属防具に強制急所
拘束 硬直時間延長
<軍略士>=<行軍>+<戦陣術>+<軍法>+<秘策>
軍配 4種混合
軍用(守) <戦陣術>強化 全軍防御力守備力上昇
神算 <秘策>強化 中隊以上を率いている場合に士気上昇
を手に入れ順調かつ平和だ。
そんなある日ふと思い立ち、渓谷に向かう。前に死と再生の蛇を倒したあの洞窟を越えて更に奥に進む。
当然ながら道中魔物が出てくる。以前は嵐の岬が瞬殺していたが、今回は一人でフラッと来たのだから、自分で倒す必要がある。
この辺りは道無き道だ。少々魔物も強い。
面倒なのはグリフォンみたいな四足歩行の鳥、鷹と猛獣の胴体で、空中から襲ってくる。
攻撃してくる瞬間を狙ってカウンターで斬りつける。時々爪の切り裂き攻撃を受けてしまったが、倒すのには問題なかった。
しかし、一応単独で倒せるサイズの魔物にダメージを食らうのだから、相変わらず魔物相手の戦闘は難しいな。
洞窟を抜け更に進めば丘の上。
そこには簡素な墓石が一個。お酒をお供えして、景色の良い丘に座り込む。
ここは13英雄漆黒の将軍の墓。場所だけは聞いていたが、本当にあった。
きっと腕に覚えのある人が定期的に来ているのだろう。奇麗に手入れされている。
理由は特に無い。話に聞いていたから、ちょっと一人で訪ねてみただけだ。
最近集団でいすぎたり【訓練】しすぎてちょっと疲れたのかもしれない。ちょっとした息抜きだ。
お墓の横だが景色が良いのでちょっと休憩しようとお酒を出して飲む。
同じ物をお供えしてるから怒られないだろう。火が無いので料理は出来ないし、一休みに景色の良い場所でお酒は悪くない。
ふと、何となく腿がもぞもぞ感じるので、見てみると黒い蛇が体をつたってきていた。
大人しいので、手で掴もうとすると、手を抜け腿に装着していたプギオを食べられてしまった。
流石にそれは困ると捕まえようとするが、するすると体を登り、左手に巻きつき硬直する。
手を振っても引っ張っても外せない。
「ええ、せめてダガーだけでも返してよ」
思わず言うと、左手首の内側にある蛇の口からプギオを吐き出す。
何だ出るんじゃんと、もう一度プギオを顔に近づけると飲み込む。
手首を少し返して、飛び出すプギオに、手が当たらない様に力を入れれば吐き出す。
便利なんだか何だか。
しかもどうやってダガーを飲み込んでるのか分らない。よくよくいじれば、ねじを回す方に捻れば、緩んだり締まったりする。
完全に腕輪になってしまったらしい。
まあ、いいかと将軍の墓をあとにする。
その日は何も起きなかったが、翌日再ログインすると兵長が、
「おう、今日は【教会】に行ってくれ、そっちで仕事を頼みたいらしい」
「え?いいけど【教会】から直接なんて珍しいね」
「なんでも、重要な案件らしい。断っても良かったんだが、いつも世話になってるからな」
まあ確かに【古都】の【教会】の神官さんは既に顔なじみすぎる位お世話になっている。
「じゃ、行ってきますわ。いつもお世話になってる神官さんの依頼じゃ、仕方ない」
「そうか悪いな、気をつけて行けよ」
「了解」
そう言って【兵舎】を出て【教会】に辿り着けば、いつもの眼鏡の神官さんが待っていた。
「こんにちは、なんか大事な用件ですって?」
「こんにちは、そうなんです。まずは紹介しますね、こちら【帝国】東部地区長です」
紹介されたのは神官さんの横に立つもう少し年齢のいった神官さん。確かに服装が少し偉そうだ。
「ふむ、君が最近噂の隊長かね?正直な所、野卑な【兵士】や君のような若い者に重要な仕事を任せるのは、あまり気が進まないのだが、コレを【教国】に届けてもらおうか」
「嫌なら、お断りしますので、他をあたってください」
態度も偉そうなら、しゃべりかたも胡散臭い。断って他の仕事しよう。
「すみません、隊長殿本当に重要な案件の為、いくつかのルートで、運んでもらっているのです。隊長殿は【教国】でも顔が利くはずです。この箱をそのまま【教国】に届け、出来れば機関長の誰かに渡していただきたい。手紙を添えますので、現地で誰かに渡していただければ、間違いないかと」
そう言って、国語辞典を2つか3つ重ねた程度の大きさの木の箱と手紙を渡される。
まあ、いつもお世話になっている神官さんの頼みなら仕方ないかと、木箱を抱え出かける。
そう言えば、コレは【輸送】なのか【運び屋】の仕事なのか、まあ自分にとっては最早その境界は曖昧だ。
運びの仕事の時はポータルは使えない。渡された荷物を鞄にしまう事もできない。
普通に木箱を小脇に抱え【古都】を出て、一路【教国】へと走る。
魔物を無視して、道も無視して、直線ルートで【教国】へと二本の足で駆けていく。
と、言う事で第3部です。
時は少し経ちって感じですね。
最初のローディング画面的なやつは流石にネタが尽きて、考えるのがしんどく今後の進行に影響が出そうだったので、第3部は気が向いたときだけ、入れるかもしれません。