241.【訓練】鬼×3 後半
■ 片手棍棒 ■
鈍器使用者が初期にお世話になる武器である
徐々にメイスやハンマーの様な重量武器及び
リーチのある杖や両手で扱う棍棒にシフトしていく者が多いであろう
しかし片手棍棒もちゃんとした師につき習熟すれば
衝撃により武器防具の上からダメージを与える武器となる
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お次は憲兵総監、仕事柄【兵士】の中でも悪い奴や荒くれなんかを相手にしてるんだから、まあ強い事だけは間違いないだろう。
自分のような小市民タイプの普通の輜重隊が戦える相手には思えないんだが?
「あの兜割見せていただきましたが、良い出来でしたね。アレに見合う技量を身につけてこそ武器に失礼が無いというものです。さあ始めましょう」
ああ、しかも武器に愛情注ぐタイプか、普通刃物使う人の方が手入れとかマメにしてそうだが、憲兵総監の得物は黒い警棒だ。さり気無く小ぶりな鍔がつき、刃物相手にも対応できるようになっている。
重さを確かめるように軽く振る様がとても楽しそうだ。
そして、正面から対峙する。
さて、どうやって振ってくるのかと思いきや、いきなり突いてきた。
仕方無しにブロックをしようと剣を殺気のラインに合わせれば、手首のスナップを利かせ、逆にこちらの持ち手の小手を打ちに来る。
まあ、そこまでは何となく想定内。ちょっと格好つけて、柄頭で弾いてみると、
目を輝かせた憲兵総監は今度は剣先を狙い撃ち、剣先を弾かれる。
今度は想定以上の衝撃に手が痺れるが、剣を落とすには至らず、腕ごと剣を引き体を固め防御に徹する。
敢えて剣を狙うように更にスナップを利かせ打ち据えてくるので、少し下がり回避する。
既に右手がかなり痺れてきている。部位破壊には至らないが、なんかの状態異常じゃないか?
「ここまでで分ると思いますが、軽量鈍器と言うのは重量鈍器の様に押し潰すような事が出来ない代わりに、打ち据えると言う技法があります。それは相手の防御の上から衝撃を与えると言う事。どんなに硬い防御でも、いや硬いからこそ衝撃は伝わり相手の肉体を傷つけます。
さあ、あなたも守ってばかりいてはいずれ武器を持つことすら出来なくなりますよ?あなたの魂を揺さぶって打ち込んできなさい」
うん、だいぶハイになってる。
一旦左手に持ち替え、攻撃に転じる事にする。正直守ってばっかりじゃ剣をもてなくなって負ける展開しか見えん。
足を使い、左右に揺さぶるが、相手は全然隙を見せない。
自分のタイミングで強引に突きに行くと剣先を弾かれ軌道を変えられる。
まあ、自分が殺気のライン読んでブロックできるんだから、そりゃあ相手もこちらの軌道を読んでるんだろうが、きっつい。
だが、軌道を変えられても諦めずに、更に足を狙い避けられ、跳ね上げて相手の武器の持ち手を狙えば、さっきの仕返しとばかりに柄尻で弾かれる。
しかし、相手は鈍器だ振らなきゃならない。逆に自分は刃物だ突くなり当てて押すか引くかすれば斬れる。
そう思って、間合いを強引に詰め、振ってきたところに剣を合わせ、鍔迫り合いに持ち込む。
すると、相手はこちらの開いてる腕に手を絡めてきたので、逆に丁度良いと服をつかみ術を使う
擒拿術 蛇結茨
擒拿術 猿捕茨
硬直セットをお見舞いし、喉に突きこもうとしたところで、
教官が剣でこちらのショートソードを留め、待ったをかける
「いやいや、なかなかラフな動きが出来るようになって来たじゃないか、しかし今の術は何だ?」
「え?擒拿術ですけど?」
「ほう【馬国】かの変わり者の達人の技ですか」
とすかさず、軍務尚書も話に入ってくる。
「あれですね、生命力に優れた者しか弟子にしないと公言する達人ですね」
と硬直から復帰した憲兵総監。
有名なのかな?ピンクのスケベ師匠。
「生命力溢れるものしか弟子にしないなどと一体どれほどの修行なのか、興味が尽きませんねもう少し若くて、肩書きと言う縛りさえなければ・・・」
「きっと地獄のような修行なのでしょうね。血が騒ぎますね」
「確かにかなり荒っぽい獣人達のいる【馬国】にも関わらず、小柄な体で、全て投げ飛ばし動きを封じると言う噂だからな。只者ではないだろうな」
とまあ、ピンクの師匠大人気だ。
「しかし、まさかその技の一端である擒拿術を見せられては、コレは徹底的に【訓練】する必要が出ましたな」
「ふむ<ダガー>に<殴剣>に<擒拿術>か、見えてきたな」
「ええ、もう少し追い詰めてみましょう。そうすれば足りない物の正体も掴めるはず」
「確かに、そうですね。多分一対一だから冷静なんでしょうし、ここは三人がかりで生かさず殺さずと言うのはどうでしょう?」
そう言って、三方から囲い込んでくる。
いや、おかしいじゃん、一人にも勝てないのに三人てなによ?
一斉に攻撃を仕掛けてくる三人に最早思い切り振り回すことしか出来ない。
とにかく一番近くにいると見える相手から、力任せに斬りつけていく。
「おっいい感じに荒さが出てきたな。もっと獅子の如く奮え!」
教官の剣が突いてきたので、ほぼ無意識に剣で弾く。
「いい弾きですよ!でももっとスナップを利かせ、武器を持つ手を破壊し、相手を追い詰める事蛇の様に冷血に!」
そう言って、憲兵総監の突きなのか打撃なのか分りづらい角度からの飛び込みに、寧ろ打点をずらす様に飛び込み、腕ごと押しのける。
「いい飛び込みです。結局相手の狙いを外しながら、こちらは狙い澄ますのです。そして蠍の様な一突きを!」
軍務尚書の逆手に持ったダガーによる突きが顔を掠める。小回りが利くダガーゆえに逆手でも十分に力の乗った突きが飛んでくる。
その後はもう記憶がない。只管に剣を振り回して、何度と無くフィールドの外に出されただけだ。
すみません、日常的修行回にも関わらず前半後半に分けてしまいました。
筆者が書いてて楽しかったからです。