240.【訓練】鬼×3 前半
■ ダガー ■
本ゲームでは諸刃の短剣をさす
基本的には戦闘用であり武器の分類であるが
スキルやアビリティによって道具として使用も可能である
またサブウエポンとして防御用に使用される場合もある
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「コレは軍務尚書殿と憲兵総監殿では無いですか」
と教官、多分顔見知りだろうとは思ったがやっぱりな。
「久しぶりですね剣鬼殿、中々生きのいい後進が育っているようで何よりです。話には聞いているでしょうが、そちらの隊長殿を鍛えよと陛下が仰せでな」
「ああ、そういう事ですか、しかし軍務尚書殿の手をわずらわせるなんて流石に申し訳ないのですが」
「私は楽しみにしてきたので、お構いなく。内勤の多い家系と言えどやはり武官の本領は戦ってこそ、体力衰えようとも技は錆び付かせたくは無いですからな」
「自分も同様に楽しみにしてきましたよ。部下達には厳しい【訓練】を課していますが、やはり自分自身を高めなければ、何を言っても説得力が出ませんので、折角ですから大陸を巡った生きた技をこの身に刻みたいですね」
何なんだろこの人達、軍幹部の役職にありながら何でこんな戦闘意欲と言うか己を高める事にモチベーション溢れちゃってるの?
「そうでしたか!いや実は今腕の程を確認していたのですが、思ったより小さくまとまってしまっていて、どうしようかと思案していた所です。折角なので一緒に追い詰めて殻を破らせてみませんか?」
「ほう、それは面白い試みですね。折角の未完の器小さくまとめてしまっては面白くないでしょう。多少歪でも自由に大きく個性的に仕上げたいものですね」
「確かに、コレだけ余力があれば、伸びシロもまだまだ十分、少し追い込むくらいが丁度いいでしょうね」
うわ~自分の事めっちゃ品定めしてくるわ。
「いや~折角来ていただいたのに申し訳ないですが、自分も後進の面倒を見たりとかそろそろそういう自覚も芽生え・・・」
「ソタローのことはちゃんとブロードソード使いの先人が教えてるからそっちに任せろ」
「ふむ、特に問題無い様なので私から始めましょう。体力の無い私がウォーミングアップには丁度良いでしょうから」
そう言って、自分の前に立つ軍務尚書、全く気負いも力みも無い立ち姿、ダガー使いって聞いた気がするけど、何処に持ってるかすら分らない。
一応不意打ちを警戒して、ショートソードを立てて正中線を守る様に構える。
基本は正面立ちだが、一応右足を半歩前に出して構えている。右手に剣を持っているのだから剣で身を守る体勢だ。
相手はダガー使い、リーチは短いのだから出来るだけ距離を取りたい。
すると動き出しも見せずに、いきなり突いてくる軍務尚書、足を開き体を低くするその挙動で同時に間合いを詰め、下から喉に向けて突いてくる。
一瞬見失ったが、殺気のライン上に剣をずらし、ギリギリガード。
と、思いきやいつの間にか逆手に持ち替えたダガーを振り下ろし、剣の持ち手を斬りつけてくる。
すんでの所で、剣を引いたが顔面がら空きになってしまう。
そこに剣先をダガーで跳ね除け、逆手のまま肘を上げ捻り込み、上から鎖骨の隙間を狙ってくる。
思わず、左手で跳ね除ける。多少のダメージは貰うが、どうせ左手には何も持っていない。
寧ろ相手は動かしづらい方向に腕を捻られている。
体が空いたところに引いた剣を再び腰から押し出すように突き出すと、
相手もこちらの剣を左手で押し出し、体に当たらないよう軌道をずらす。
自分の時はただただ勘で跳ね除けたが、相手は完全に剣の腹を押していた。
こちらの剣の方が長さや面積があり、捉えやすいのだろうが、ちょっと技量が過ぎないか?
一歩引き、体勢を整えると相手はダガーを両手にパスし、どちらで突くか見せないようにしてくる。
そして、突いてくる瞬間に合わせて自分も突く、間合いの長い自分有利かと思ったが、お互い正中線に当たらないように半身に体をずらす。
そのまま入れ替わってしまおうと自分は突きを加速させるが、相手は寧ろ止まり、ダガーを逆手に持ち替えながら、こちらの剣を持つ手首を狙って斬りつけてくる。
ショートソードじゃ急な持ち替えは出来ないし、体は突きと回避のため完全に開いている。
やむを得ず右手を諦め、剣を落とししゃがむ、
右手を斬って、そのまま返す刀のように胴体を突いてきたダガーが頭の上を抜けていく。
逆に自分は左手で、落とした剣を拾い相手の足を斬りつければ、後ろにジャンプしてかわされる。
また、ダガーを両手にパスし出す軍務尚書。
そして、やや遠間から突くモーションで、ダガーを顔に向けて投げてきた。
思わず剣でそれを弾いたと同時に目の前に軍務尚書が距離を詰めていて、喉の急所に、もう一本隠し持っていたダガーを突き刺され、動けない内に負けた。
訓練場で負けた場合は訓練フィールド外で復活し、すぐ戻れる。
「参りました。ダガーの取り回しの良さと逆手持ちの切り替えは接近戦じゃ、悪夢ですね」
「うむ、それを見えてたなら十分【訓練】を積んでる証拠ですが、逆にダガーは強打や乱暴な切り付けを捌くのに受け流すのが基本になります。そうすれば、隙が出来ようものです。
リーチが短いからと遠間からの突きの場合、絶対に間合いに入らせないと言う別の技量が必要になりますので、教官の言うとおりもう少しラフに当てていく技法が必要になってくるかと」
「いい物を見せていただきました。次は自分の番ですね。自分は軽量の片手殴打武器を得意としていますから打つ技術を覚えるにはもってこいですよ」
ん~なんか、二人とも教官と同じ匂いがする。表情は冷静だけど絶対楽しんでるもん。