235.大砦攻略と人型のいやらしさ
■ 攻城兵器 ■
本ゲームには砦攻めをはじめとした
攻城戦も用意されている
その為、攻城兵器の使用及び作製も可能であり
巨大バリスタ等も存在する
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目指す建物は砦中央。
南側からの道は絶たれた為、東、北、西の順で大砦壁内を一周回る。
都度、詰めている骸骨達はなぎ倒していく。
中核を担う【帝国】兵、遊軍として混戦状況を打破する【砂国】兵、足は遅いが逆に背中を任せて申し分ない硬く体力のある【鉱国】兵、中央に置き支援を担当する【教国】兵。
非常にうまく回っているが、どの方角からも中央に続く道は塞がれている。
バリケードで時間稼ぎだとでも言うのだろうか?
再び南に戻ってきたので、
「ルーシー!」
「あいよ!隊長。中央に入れる道を探ってくればいいんだろ?」
「うん、頼んだ」
本当に用件言わずとも全部伝わってて怖いわ。久しぶりの輜重隊仲間達の理解の良さにビビるわ。
あっという間に【偵察兵】達が散らばり、狭い道を探りに入り込んでいく。
大通りの両サイドの建物内、崩壊した建物の隙間に水が染み入るように滑り込んでいく。
そして、自分はちょっと待機だ。
見える範囲の骸骨達は壊滅した。
時間かかるだろうし、ご飯にしようかな?と思っていると。
「よう、いくつか見つけたぜ」
早いな~。本当に仕事できる子達だ事。
「じゃあ、行きますか。奇襲をくらいそうな所は?」
「当然調査済みだが、中央に入り込む道沿いはもぬけの殻だ。中央周辺は気配を感じるがな」
「やっぱり中央でもう一戦かな」
「だろうな」
「よし【偵察兵】を先頭に砦中央に入り込むぞ」
ばらばらに別れ、建物の間を抜けていく。
流石に人数が多いだけあって、かなり時間をかけて細い通りを抜けていく。
ルーシーはああ言っていたが自分も十分に警戒し、歩を進めるが、何も出てこない。
中央の大きな建物の前が丁度よい広場になっているので集合する。
ばらばらと集まっていき、ようやっと全員集まったと見えたところで、
中央の建物から集団が現れる。
思わず警戒し、兜割を向け、睨みつけると、
【海国】兵たちが現れる。
うん、忘れてた。
「何で中央から出てくるの?」
「ん?北側の川から侵入するって言った筈だが?排水路がこの建物につながってたんだ」
「そっか、これからここに突入するつもりだったから、一緒に行こうか」
「いや、この建物には何も無かったぜ?」
「え?」
その時、一斉に中央の建物を取り巻く建物から骸骨達が溢れ出す。
どうやら、自分達が通ってきた細い道を外して、建物内で隠れ潜んでいたのだろう。
「全員密集隊形!『いくぞ!』」
戦陣術 激励
戦陣術 円陣
「因みに排水路って、大人数で逃げるのに使えそう?
「無理だな、狭い中を一人ずつじわじわ並んで抜けたからな」
「だろうね」
建物で大通りを塞いだのは寧ろ自分達を閉じ込める罠だった訳だ。
いやらしいな。
円陣でとにかく大量に現れる骸骨達を倒す。
周囲を囲まれて逃げる隙間も無いのだ。削りあいに勝つしかない。
群がる骸骨達がどんどん崩れていく。
しかし、魔素の影響で死してまだ体が残り魔物として倒される。可哀想な存在だとは理解していたのだが、
なんで、こいつら倒されてばらばらになっても、光の粒子に変わらないんだ?
【教国】の時の食人鬼達は確か浄化できた筈なのに。
一応法術のバフも撒いてるし、浄化出来ないなんておかしくない?
「ねえ、なんで骸骨は浄化出来ないんだろう?」
「確かにおかしいですね。そもそもなんでばらばらになるんでしょか?」
「いや、自分が聞きたい。ばらばらの骨が積みあがっていく一方なんだけど」
そんな話をしているうちに、ばらばらの骨が集まり始めた。
そして、いつの間にか大きな骸骨に姿を変える。
何故か上半身しかないが、ユニオン~レギオンサイズといった所か
どの部位がどうつながっているのかは分らないが、自分世代の人間が一言で表現するなら、
がしゃどくろ
巨大な骸骨の手が陣のど真ん中に降ってくる。
何人か巻き込まれ潰され、それ以外の者達は吹き飛ばされて、一瞬で隊形が崩れる。
一撃で陣を叩き潰し隊形を崩壊させる相手にどうやって対応するか考えている内に、
【教国】兵達が、がしゃどくろを囲み、
方陣術 サンクチュアリ
いつか見た様に円で囲みがしゃどくろを光で包む。
外から見るとこんな感じなのか。
「相手の動きが鈍っている内に叩くぞ!【鉱国】兵!骨相手だ。大いに奮ってくれ!」
そう言って、全員で取り囲み、がしゃどくろを叩く。
がしゃどくろの攻撃は手を振り下ろす。強攻撃一択。
巻き込まれて潰される者もいるが、こちらはばらばらに攻撃しているので、影響範囲は狭い。
そして、かなり追い込んだと見えたところで、がしゃどくろの動きが急に変化し、
横薙ぎに手を振り。自分の周りの【兵士】達をなぎ払いはね飛ばし。
自分を掴みにかかってくる。
思わず、飛蝗ジャンプで上に逃げると横合いから大きな突撃槍が自分に直撃し、
中央の建物の屋根の上に弾き飛ばされる。
ゴロゴロと転がり、屋根から落ちそうなところを何とか縁を掴み、屋根の上に身を躍らせ、
突撃槍の飛んできた方向を見れば、
がしゃどくろの手の上に乗った二つの影。
自分と同じ屋根の上に降り立つのは、
前にも一度手を合わせた全身鎧の骸骨将軍と、ローブで身を包む小柄の骸骨。