232.死者の平原再び
■ 【上級士官】 ■
将軍位がその国の最高軍権者である為
実質【帝国】軍の幹部となる
その中でも担当する部署や別の肩書きによる差は当然ある
例えば兵長は一定地域の【兵士】達を統括するため
その地域の【上級士官】に命令を下せるだけの権限を与えられている
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ポータルで【王国】に向かい、死者の平原に向かえば【王都】の外に既に見たことのある【兵士】達が1000人控えていた。
それはもう目立ちまくり、プレイヤー達が眺めているが、NPC達は気にせずに当たり前のように準備をしつつ休憩していた。
そして【兵士】は自分を見るなり寄ってくる。1000人一斉に動くのは流石に圧迫感があるのでやめて欲しい。
「とりあえず、各国代表が集まって話をしようか、後は準備及び休憩なら休憩でいいから」
各国【兵士】達も国ごとの国民性と言うか、動きが違う。変に統制するよりある程度任せてしまった方が良いだろう。
「久しぶりだな隊長。各国での活躍を聞いてたところだ。今回は1000体相手だってな。出世したな」
「出世したなって先輩、いつもの兵長の無茶振りですよ。
それで、自分も【任務】から戻ってきて早々にちょっと行ってこいって言われたんだけど、場所とか相手とかって」
「それな。ちょっとここから離れていてな」
「いや、死者の平原て聞いたんだけど。ここじゃないの?」
「死者の平原て広いんだよ。この辺りが大陸の中心に近いのは知ってるだろ?その中心が開けた土地になってるもんだから、色んな争いが起きてきたわけだ。だからもう見渡す限り死者の平原なの。そしてその平原の中でも安全な場所に街やら何やらあるわけだ」
「要はこの辺りの平地は全部死者の平原なの?死者平野みたいな」
「そうそう、あちこちで争いがあって、アンデットも出るけど、別に農耕ができない呪われた地だとかそんな事も無いわけよ。何箇所か砦周りとかの激戦区が未だに大量にアンデットが発生するもんだから、そういうところには近づかないだけ」
「は~じゃあ、結構移動か。まあ自分は良いけど。皆も見る限り必要な物資は持ってきてるみたいだし」
「そうだな。とりあえず【教国】目指すか、そこからもう少し先だから」
「なんで【教国】に集合にしないのさ?」
「【海国】とか【森国】は西側からしか入れないだろ、だから一旦【王都】に集まってそこから【教国】つまり本当に中心地だ。んで、そこからもう少し先にある大砦だな」
「攻城戦て聞いたけど、大砦を攻めるんだ?アンデットの群れが守る大砦とか、厄介でしかないんだけど」
「そりゃあ、厄介だろうな。俺もコレだけ大規模な任務は参加したこと無いが、アンデット1000体が砦に篭ってるなんて、意味分らないよな」
先輩と久しぶりに話したが、相変わらず気負いが無いというか何と言うか。
「それで、攻城兵器ってのは?投石器かバリスタか衝車か攻城櫓か。気になるところだね」
「ん?梯子と鉤縄だな。梯子をかけて砦の外壁に乗り込むか【壊し屋】に外壁を破壊させてそこから侵入するかだな」
「え・・・攻城兵器。うん、まあがんばるしかないか」
「じゃあ、向かうとするか?何処も準備はできてるみたいだしな」
と言うことなので、死者の平原を移動することにする。
平原のど真ん中を1000人、実際には馬もいるので、もういくらか少ないが、まあ大人数でぞろぞろと歩いていれば、目立つ事この上ない。
まあ、自分は列の中程で久しぶりに会う各国【兵士】のまとめ役と話しているので、そこまで目立たないだろうが、にしたって、1000人は多いな。
例えば学生時代自分の通っていた学校は一学年200人と決まっていたが、その人数で旅行だ何だ行けば、随分と多く感じたが、その5倍ともなれば、流石にこの人数で移動することは考えた事なかったな。
救いなのは、周りに何も無い平原だって事だろう。
たまに一体二体でちょろっと現れる骸骨達も、行軍のついでで倒されていく様に、寂寥すら感じる。
流石に1000人となると村や何かじゃ留まるには色々とご迷惑がかかるというか不便なので、それなりの規模の街を目指し、拠点として移動する。
なんなら、荷運びもすればいいのにとか思ってしまうのは、ここのところの任務の影響だろうか?
しかし、この人数で守られた荷とかそうそう奪ったり何かしたりなんてできないだろう。いっそこの人数だからこそ、国宝でも何でも持って来いってなもんだ。
嘘だ。国宝とか絶対運びたくない。ちょっと気が大きくなっただけだ。
フラグ立てにならないように、すぐに別の事を考えよう。
現状攻める砦のサイズも何も分らないが、相手が1000人で守っている事は間違いない。
ヒト相手なら相手の逃げ道を残しつつ、一方か二方から攻めて疲弊させていくとかそんな感じだろう。
ただ相手は疲弊を知らないアンデット。死を恐れないアンデット。兵糧攻めも使えない。
一気呵成に攻め込むしかないだろう。
【帝国】兵達は兵種のバランスがよく戦い方も自分と合っていて、核となってくれるだろう。
【王国】も同様だが騎士がいるので場合によっては一部を丸ごと任せてしまっても良いだろう。
【馬国】は攻城戦で活躍する場があるのか?もし砦周りの平原で一戦あるなら先陣を任せよう。
【鉱国】はどう考えても壁破壊に専念してもらうことになるだろう。大盾兵たちで城壁からの攻撃に耐えつつ壁破壊。コレだろう。
【砂国】は混戦状況の白兵戦に強い筈だ。砦内に侵入してからが活躍の場になるか。
【森国】は自分は何もオーダーしていないが【弓兵】が多い。射程が長くピンポイントで貫通力のある攻撃ができたはずなので、城壁上の相手を打ち倒してもらおう。序盤の要だな。
【教国】は支援だよな。相手は倒すまで動き続ける相手だ。こちらも回復が鍵になるのは間違いない。
【海国】が問題なんだよな。海上ならいざ知らず、陸の上で何処まで戦えるのか。
一応自分なりの戦力分析と言うかこれからの方針はこんなもん。後は状況が始まってからの話だろう。