23.おっさんと術講義
■ 霊石 ■
別名『賢者の石』所謂生命の水では無い
神より世界の管理を任された一柱である精霊の力を借りるための媒介
世界の根源たる霊子を結晶化させた物 その偉業により『賢者』と呼ばれた者が作った石だから賢者の石である
<錬金>を志す者が まず目指す目標である
なぜなら霊石の需要はどこに行っても高く それさえ作れれば暮らしに困ることは無いといわれているからであり ある意味で錬金術と言える
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「さて、早速だが、この講義に出席している諸君は、すでに部下を持つ身であるはずだ。
これからは、うまく部下を連携させることを覚えなくてはならない。
そのために必要なのが<戦陣術>である。
名前から分かるとおり<術>であるので、精神力を必要とする。
ただ、ここにいるものたちの多くは、<術>などとは無縁であった者も少なくないだろう。よって今回は、講師に術士ミランダ様をお呼びした。
元々【帝都】でも最強の軍師と呼ばれた方だ。軍団を運用する<術>のエキスパートと言っても良い。今は高齢の為【古都】の近くの故郷に住んでいらっしゃるが、皆失礼の無いように!では、ミランダ様よろしくお願いいたします」
教官も、説明になるといきなり立て板に水で話すよな。まあ、ミランダ様って言うのは、隣に座ってる小さなお婆ちゃんだろう。黒いローブを着て、なんかもう魔女っぽい。箒じゃなくて、鍋に乗ってるほうだ。
「もにょもにょもにょ(よろしく、ぼうずども)むにょもにょ(<術>が何かなんていいのさ、とりあえず使って覚えな)」
入れ歯を忘れたんだろうか、すっごい「もにょもにょ」言ってる。でも意味が分かる、何ぞこれ?
「いや、ミランダ様、おっしゃることは、分かりますが、<術>を使ったことも無いどころか、見たことも無い連中も多いのです。よろしくお願いします」
「みょみょめ~(仕方ないね~)
もにょもにょもにょもにょもにょ(まず、<術>には、媒介が必要になる。消耗するものもあれば、何度でも使えるものもあるよ。)
もにょもにょもにょ(あんたらがこれから使う<戦陣術>は士気を消費する)
もにょみみょもみょもみょ(<戦陣術>を使いすぎれば士気が下がって戦うどころじゃないね、逆に上がりすぎた士気をコントロールすることもできる)
もにょもにょみみょもにょ(いかに士気をコントロールしながら、自分の隊を連携させるかそれがこれからのテーマだね)」
ほ~でもその<戦陣術>って何が出来るんだかねー?
「もにょ(<戦陣術>で何ができるようになるかというと伏兵や奇襲等、相手に見つからず尚且つ相手部隊を弱体化させたり、手痛い一撃を入れたりといった、戦術陣形を組み、攻撃力や防御力、行軍の早さを上げて集団の力を高める。陣術だね。
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両方の性質を持つものもあるがね、挟み撃ちや、後詰なんていうのがそれさ。)
もよみょもにょ(いずれにせよ、士気が必要となるから<戦法>を取っておくのを薦めるよ。この講義が終わったら<戦陣術>も取れるようになってるからね。)」
何も言わないのに答えてくれた。しかし、一つ目は絶対あんなにしゃべってなかったはずだ。
「もみょももみょにょにょ(後、<術>を使わない連中は、精神力も低いだろうから<精神強化>も取っておきな)
もにょもにょもにょもももも(<術>はセットすると術枠も見られるようになる。そこに使いたい術をセットするんだね)
もにょもにょもにょ(術を習得するにはスキルを習得する。誰かに習う。特定の魔物との戦闘、ダンジョンで発見するなんていう色々な方法があるよ。あとは縁だね。)」
<戦法><精神強化>に術枠か色々やらなきゃいけないことがあるな。
しかし、今まで、全然精神力使わずに来たが、もっと魔法みたいなのとか、ないもんかね。
「もにょもにょもにょもにょにょ(坊主どもの考え何ざお見通しさね、他にどんな<術>があるんだろう?ってんだろ?)
もにょもにょもにょ(国ごとに結構特色があるんだがね、<精霊術>だけはどこの国でも取れるよ。逆に、<戦陣術>は兵の装備を規格化して、力をそろえることに成功したこの国くらいしか使えないよ。)
みょもよ(お隣の【鉱国】には、<象印術>なんてのがあるね、自分で武器に刻んで自分でしか使えない、生産職用みたいだがね。)
もにょもにょもにょみょもにょもにょ(【森国】の<詠唱術>は一々呪文を唱えなきゃいけないが、媒介が無い、言ってみるなら詠唱って言う特殊な文言が媒介だ。【砂国】は色々ありすぎるし、【馬国】は馬に乗ることで使える<馬術>なんてあるらしいね)」
一応このゲームじゃ、精神力にマイナス補正なんて見たことないし、魔法剣士みたいなのも出来るんだろうな。
「もにょもにょもにょ(後これは知ってるやつも多いだろうが、<剣術>も<術>に入るからの)」
ま・じ・か~って言っても、自分の取得リストには入っていないけどな。なんか特殊条件があるのかね?
「もにょもよみめま(さて、入れ歯も忘れたし今日はコレくらいにしておこうか)」
やっぱり忘れてたんかい!
【座学】術講義も終わり【兵舎】に戻ろうとすると、一人のプレイヤーに話しかけられる。
「よう、最近【帝国】に来たばかりなんだが【座学】に出席するプレイヤーって多いのか?」
なんか気安い感じの人だ。見た感じかっこいい服着てる。上級プレイヤーなのかね?
「いや、自分以外は見たこと無いよ。でも出てみると結構面白い話が聞ける」
「いやいや、話ってずっともにょもにょ言ってたじゃないか?」
「でも、何言ってるかは分かったろ?」
「いや、全然わからねぇ。早く時間が過ぎないかしか考えてなかった」
おいおい、まるで来た意味ないじゃん。可哀想に・・・・自分と何が違うんだ?
「一応<戦陣術>が取れるようになったからその説明だったよ」
「は?どこで取れるんだ!!って本当に何言ってるのか分かるのかよ!!」
興奮しすぎだろ、ちょっと怖いぞ、服装と違って実はチンピラか?
「いや【兵舎】行けば取得できるってよ。この講義に出てる人は」
「そうなんか、いや、あんたがいてよかったぜ、でも、俺は内容理解できなかったし、取れてないのかもな」
「そんなことあるのかね?もしかしたらあれかな?<言語>つけてる?」
「あれは、なんか趣味用スキルじゃないのか?」
「それは知らないけど【座学】の時はつけるように【兵士】の頃に言われたけど」
「おいおい、まじかよ。なるほどな、本当にあんたがいてくれてよかったぜ!早速取得するわ。いい事教えてもらった代わりといっちゃ何だが、俺に分かることなら教えるぜ。一緒に【兵舎】行くまでの間なら何でも聞いてくれ」
「じゃあ、知ってたらだけど<剣術>ってどこで取れるか知ってる?他の<術>でもいいけどさ」
「ああ、それなら道場探すんだな。道場ごとで教わる術は変わるけどな<剣術>一つとっても、飛燕剣だの虎爪だのまあ、近接武器だから、中距離攻撃から近距離の一撃の重いもんから連撃ものまでいろいろだ」
「ほ~道場か~。魔法剣士見たいのもかっこいいけど<剣術>取ってあくまで剣にこだわるのも格好いいな」
「剣使いなのか、その服だと分からないけど、普段どんな装備だよ?」
「軽甲・中盾・ロングソード、今はそんな感じ。」
「また中途半端な。<盾剣士>辺りか?闘技場にいる連中なんかには確かにそういう奴もいるけどな」
「いや<軽剣士>だけど」
「ロンソ+盾じゃないだろ、細剣とか、プラス小剣で盾代わりとかにして、後は避けろよ!」
「いや、避けるスタイルじゃない、全部受けるスタイル」
「意味が分からねぇぜ。<重剣士>とか<重戦士>ならまだ分かるけどよ」
「さて【兵舎】だ。またな、そうだ俺はアンデルセンだよろしくな!あんたは隊長って呼ぶぜ【下士官】なんだろ?じゃあ階級は俺より上なんだろうからな」
「じゃあ、また、そしてよろしく」
とりあえず、スキルとらなきゃな。
いつものリストを見せてもらう。
まず<戦陣術> 『術スキル』 【帝国】にて【兵士】が一定階級になり【座学】を受けた者が習得できる。
すぐ取得。
アビリティのセットは無しか。
おっ
<術>を取得しました。
戦術:激励
戦術:戦線維持
戦術:追撃
陣術:岩陣
陣術:円陣
陣術:雁陣
戦陣術:背水陣
ほ~あっさりだな、なんか防御系と移動系ぽいけど、まあ、スキルの方向性そのままか<激励>は士気を少量使用してドカンと士気を増やせるみたいだ。
媒介に士気を使うわけだから基本術なのかね?
セット枠は~とりあえず三つか取ったばかりだしこんなもんだろ
戦術:激励、戦術:戦線維持、陣術:岩陣、ってとこかな、防御よりだけど。
お次は<精神強化>取得と
精神力 精神力が増える。 要はMPが増えるのか。
記憶力 術枠が増える まあ、<戦陣術>しかもってないしな。
感応力 術威力が高まる <戦陣術>威力関係あるのかな。
精神力にしておくか、正直今どれくらいあるのか分からないし。MPバーは常にMAXだ。
<戦法>取得と
統率 率いる人数が多いほど味方の士気が上がる。
武力 先頭に立って戦うほど味方の士気が上がる。
智謀 相手の士気が上がりにくくなる。
統率にしておくかな。
前線で無双ってタイプじゃないし、だからと言って参謀とか頭脳労働でもないし。
とりあえずはこんなとこか、今日も飯食って寝よう。