228.霊廟の遺跡
■ 森国初代王 ■
詳細は不明である
しかし、森国はかなり古くからこの島国一つを国と定めている
伝説ではある時三つの神器を携えこの地に現れ。
多くの地主たちが勝手気ままにしていた土地を統一し、国としたとされる
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頭領と樹海を駆け抜ける。
なんだかんだ【森国】に来て以来樹海にいる時間が長いし、当たり前のように通り抜けているが、
本来、人が通り抜けて良い場所ではなかろう。
街道やなんかを通って回り道で進むに違いない。
剣の耐久もギリギリだと言われているし、余計な戦闘は完全に避けて目的地に向かう。
森の奥に小さな川が流れている。そこだけ木がかからず明るく保たれていて、
一見小さな丘のようにも見える場所で、一旦休憩。
丘の上に上れる足場があるので一緒に登り、見晴らしの良い小さなセーフゾーンでご飯にする。
今日はフキの煮物と擂った長芋とオクラを混ぜた物と玄米。
折角明るい所に出たし、ちょっと手のかかる物を作って、頭領と食べる。
「例の遺跡ってまだかかるんですか?」
「いや、今座っとるところが、遺跡じゃぁ」
「いやいやいや、ちょっとまて!人の墓の上でご飯食べてる場合じゃないでしょ!」
「セーフゾーンになっとるのだから問題ないじゃろ」
「ええええええ・・・」
そのまま、手早くご飯を済まし、頭領について行き、遺跡の入り口を教えてもらう。
「ここからは一人でがんばるのじゃ。魔物は住み着いてぉるが、そう深いものじゃない」
そう言われ、見送られる。
遺跡に入れば、確かに魔物がいる。
暗い通路に大きな鼠。
ヤマタノオロチを倒した時に手に入れたフード付コート〔八岐の外套〕を装備する。
サイズ的に鎧等は装備出来ないが、今は持ってないので構わない。
それよりもこいつの効果が今は必要だ。
精神力を込めると姿が消える。完全にではない。近くで動けば空間の揺らぎがばれるだろう。
ステルス迷彩とでもいった所か。ただ、消費量がかなりえげつないので、ずっと隠れているなんて事は到底無理だ。敵の横を抜ける瞬間ちょっとだけ使おうかと思っている。
早速使用し、鼠がこちらを向いていない隙に姿を消して横を通り抜ける。
次に現れたのは、蝙蝠、天井からぶら下がっているこいつも中々にでかいが、姿を消して通り抜ける。
ふと、石作りの遺跡の筈なのに、植物が生えている。中央に不気味な花。
動いている所を見ると根は無いのか、
体全体をゆっくり揺らすようにしながら近づいてくる。
草の蔓が急に延びて、目の前に迫った所で剣で斬り落とす。
そのまま間合いを詰め、もう一本の蔓が足に巻きついてきたのをそのままに、中心の花を斬り落とせば、枯れて動かなくなる。
一応<採集>すれば〔食獣植物の花びら〕〔食獣植物の蔓〕を手に入れたが、使い道は分らん。
遺跡と言うだけ合って、分岐がある。
そのまま真っ直ぐ行く道と、階段を下る道。
一先ず真っ直ぐ行くと小部屋がある。奥には祭壇らしきもの。祭壇に近づけば、黒い丸い鏡?
キラッと一瞬光が反射したかと思えば、入ってきた扉が閉まり、地響きをたてて、魔物が一体小部屋の真ん中に落ちてくる。
埴輪のようだ。赤茶色のいかにも土を焼いて作った人型。
片手に体と同じ素材の剣を持ち、振ってくる。剣を避けサイドに回りこみ、剣で斬る。
少々ダメージの通りが悪そうだ。やはり、こういう敵と戦う時の為に殴打武器使えると助かるんだがな。
まあ、無いものねだりをしてもしょうがない。幸い相手の動きは遅い。
攻撃を避けつつ、地道にダメージを与えていく。
そして、最後にはいきなり崩れ、ただの土に還り、消えていく。
同時に扉が開き、もとの通路に出られる。
先ほどの階段まで戻り下層に降りていけば、また分岐。左の奥に進めば、また小部屋。
薄暗い祭壇に緑の勾玉が、一瞬光を反射したかと思えば、また扉が閉じ魔物が落ちてくる。
黒い土偶だ。
こいつは何も武器を持っていないと思いきや、目から怪光線を飛ばしてくる。
一瞬のタメがあるので、目を離さなければ避けられる。
部屋の中央から動かないので、ヒットアンドアウェイで、削る。先ほどの埴輪よりいくらか削れやすい。
こいつも倒せば、また扉が開くので、最後に行ってなかった分岐の奥に行けば、やはり小部屋。
そこに剣を納めるのかな~?と思えば、既に剣が一本刺さっている。無反りの長い刀。
キラッと一瞬光を反射したかと思えば、閉じ込められて、魔物が落ちてくる・・・?
木の宝箱が落ちてきた。
怪しいよな?怪しいよ。すぐさま<索眼>で確認すれば、明らかに体温がある。
氷剣術 霜界
宝箱の周りを霜で覆いすばやく動けないようにしてから、剣で斬りつける。
斬りつけられると同時に跳ねて噛み付いてくる宝箱だが、遅い。
ブロックすれば、硬直し地面に落っこちるので、
吸う右手
吸収し、動き出したところで、剣を持ち替え
吐き出す左手
熱閃で焼く。動かなくなり消えてしまうと、扉が開く。
もう進むべき道が無いので、引き返し、入り口まで戻ってくると、最初ただの壁だと思っていた場所が何か光っている。
よくよく見れば、壁に隙間があり、壁の向こうから光が漏れている。
押し込んでみればあっさりと扉がずれて開く。
そこには三つの台があり、そこの台が光っているようだ。
うん、多分小部屋に置いてあったやつを乗せるんだろうな。
と、面倒だが引き返し小部屋にあった、鏡と勾玉と剣を持ってくる。二度目は魔物はいなかった。
そして、設置すれば、更にもう一つ奥への扉が開く。
一番奥は御簾からうっすら見える棺。
手前は装飾のされた祭壇になっている。多分ここに天叢雲剣を納めれば良いのだろう。
祭壇に近づき、横にして置けば、何となくサイズといい納まりが良い気がする。コレでよし!
『その剣は右手の刀掛けに立てかけよ』
と声がする。どうやら祭壇に直接置いちゃいけなかったようだ。
確かに右の床に、大太刀を立てかけられそうな台があったので、そっちに置く。
『霊験あらたかなる剣を持つ者よ。その武勇に褒美を捧げよう。どのような力を望む?』
急に聞かれて困ってしまう。集団戦か?剣か?いやさっきは殴打武器が欲しいと思ったんだよな・・・。
『良かろう、剣と同様に扱える鈍器とスキルを授けよう』
手に霊子が集まり、形作るのは短い刀のような形をしている。刃の付いてない小太刀の柄の近くに鉤が付いたそんな武器だ。
「ありがとうございます」
取り敢えずお礼を言ったが自分の声がこだまするだけだった。