223.霊宝樹との会話
■ 成長限界 ■
本ゲームのステータスには成長限界が存在する
そうそう限界値まで到達することは無いが
多くの魔物を倒し、生産活動を行いあらゆる素材を使用することで
NPCより早くステータスが成長する
クエストをクリアしていくことで、成長限界を解放することが可能である
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『無事倒せましたねヒトよ。ご苦労をおかけしました』
「いや、仕事なので。お陰様で何とかなりました。ありがとうございます」
『その宝剣を見ればこれまでの苦労が分ります。この大陸のそれぞれ端に存在する兄弟達に会ってきた証拠。そう簡単な事ではなかったでしょう』
「そう言えば、宝剣が完成したって聞こえたんですが、完成するとどうなるんですか?」
『我々の親はこの大地を管理していた一柱世界樹。
我々は世界樹の根が無くなる際に代わりに管理者として生まれた存在。
しかし、悠久の時を生きてきた世界樹には到底及びません。
それ故に我々全ての力を糾合することで、初めて本来の神剣に伍するようになります』
「つまりこの状態が、世界樹の力で作った剣に近い状態な訳ですか」
『ええ、お気づきか分りませんが、剣を抜いているうちは身体能力及びその適応力更に状態への耐性等大幅に上がっているでしょう』
「言われてみれば、そうかもしれないし、ちょっと分らないかもしれないです」
『そうですか、ところで、これまでのご苦労に報いて、一つ報酬を与えましょう』
「いや、国から報酬は貰える予定なので、大丈夫ですよ。お気になさらず」
『物質的な物を与えることは出来ませんので、遠慮しなくていいですよ。幹に触れてみて下さい』
そう言われるので、近づき大きく張り出した根に這い上がり、幹に触れてみる。
すると、体の奥底から熱が湧き上がる感じがする。不快なものではなく、寧ろ全身に力が漲る。
『今成長の上限を解放しました。肉体を構成する霊子が魔素による変質を受け入れ強度を増していたようですが、先程の邪神の尖兵を倒した事で限界値を迎えたようですので、多少霊子をいじりました。これでまだ成長できますよ』
「ええと、魔素で身体能力が上がっていたんですかね?」
『ええ、ニューターは魔素の中でも活動できる様に神に作られた存在、仮初の肉体故に早く成長し肉体の強度を上げられるよう、お創りになった筈』
「は~なるほど。そしていっぱいまで変質してしまったと、つまり今の余力を全部身体能力に振ったところで打ち止めだったわけですね」
『そうなります。ところで、他の兄弟達の様子はどうでしたか?』
「どこも、邪神の尖兵が出てましたけど、落ち着きましたよ。折角なので世界樹の話を聞きながら世界を巡りました」
『そうですか、未だ兄弟達との連絡は途絶えたままなのですが、それを聞いて安心しました。ところで世界樹の話はどこまで聞かれましたか?』
「かつての大きな戦いで、根を失って、神の尖兵と呼ばれる存在と姿を消したとか」
『そうですね。しかし、姿を消したと言う訳ではありません』
「え?聞いてたのと違う」
『確かにこの大陸にはもう残ってはいません』
「この大陸には・・・」
『はい、根を失った世界樹は大地を支える力を失い、代わりに我々を産み出し、そうして自身は宙に浮き、大霊峰に引っかかったそうです』
「引っかかった・・・?」
『はい、そして世界樹と共に在った神の尖兵も世界樹を追い大霊峰に登り、この大陸から姿を消しました』
「つまり他にも大陸が有ると?」
『それは管轄外ですので分りません。ただ世界樹は我々が成長する間に大霊峰にかかる雲を集め空の海とし、再び根を少しづつ再生し、大霊峰の先に更に移動したとか』
大霊峰の先の海って、開発中なのかと思ったら、そんな意味があったのか。
ってことは神の尖兵ともいずれ会うのかな。
まあ、そうそう大霊峰なんて登らないし、縁があればって所かな。
「ありがとうございました。じゃあ、そう言う事で」
『それでは、一つ頼みがあります』
「ですよね。報酬先払いしてもらってるし、引き受けますよ」
『そうですか、この国を縦横無尽に巡り、暴れまわる蛇が目覚めてしまいました。それを倒していただきたいのです』
「ですよね、蛇ですよね。でも縦横無尽に動き回る相手じゃどうやって倒しにいくか」
『そうですね。とにかく動き回る上に姿を隠すのもうまいので、そうそうその姿を捉えることすら難しいでしょう』
「なおさらどうやって、倒せばいいのか」
『ここに来る前に里があったでしょう。そこの者に聞けば分るかもしれません。あの者達は世の出来事を収集する者達。過去に蛇を倒した伝承等も残っているでしょう』
嗚呼、そりゃ【隠密】だもんな情報を扱ってるって話か。
「分りました。蛇を倒しましょう」
『ありがとうございます。それではいずれまた』
さてと、もうちょっとだ~。取り敢えず隠れ里に帰って、
飯食って寝よう。