221.『隠れ里』
■ 忍具 ■
本ゲームでも用意されている
単純に武器にカテゴライズされる物の他
鉤縄や水蜘蛛を代表とするスキルが無いと使用出来ない物も存在する
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とりあえず、自分は唐沢玄蕃と言う事で落ち着いた。
先ほどの忍術はやはり術をいくつか使う事で、再現しているそうだ。詳細は内緒らしいが、まあ忍ならな。
そして、隠れ里を案内してもらうことになった。
木の根とうまく融合した不思議な形の家。
大樹の上にあるお店。ただどこから登るのか分らない。三人もまだ行った事無いらしい。
行き着くのは、武器屋。
あるわ、あるわ、手裏剣、鎖分銅、鉤爪、忍者刀、クナイ、しころ、まきびし、忍び鎌、角指とか渋すぎだろ!
掴みを使う自分には角指とか悪くないんだが、自分グローブ着けてるんだよな~。
投げる系のスキルは無いから手裏剣とかは今一だしな。鉤爪は素手系無いと駄目なのか~なるほどな。
でもやっぱり、角指とまきびしだけは買ってしまった。
いや、しかしこれはいい物だ。思わずニヤニヤしてしまう。
次は食事処。
忍なんだから、忍者食食べてるのかと思いきや、普通においしそうなもの食べていた。
水渇丸、餓渇丸といった渇水度と空腹度を回復するための薬はあるらしいが、食事はちゃんとするとか、
今回は玄米とクコの実や松の実を使ったおにぎり。いっそもち米で粽にでもすれば良いのに。
鶉の卵と山菜を使った炒め物。茸出汁の汁物。
まるで昨今のヘルシーブームに乗っかったかのような健康食。
流石忍者村!なんだかんだ和食に使われる昔ながらの発酵食品とかは健康に良いらしいからな~。
・・・今日は発酵食品無いけど。
次に訓練場。入っていいのかと思ったが、誰も止めないので良いのだろう。
あからさまに手裏剣が刺さる案山子。
試しに三人に投げてもらったが、中々の命中率だ。
これだけ当たるなら三方から投げれば良いのにな。
「いや、我々はここから出ることが出来ないから、お金を稼ぐ手段が少ないので、手裏剣を使うのがもったいないのだ」
堂々と言う事じゃないが、でも自分も【古都】から出なかった頃はそうだったな。
「にしても、ずっと修行してる割には、戦闘力がいまいちだったような」
「いや・・・術の練習ばかりして、師匠達にはもっと走りこめって言われるよ」
そういうアレか、でも術の使い方は面白かったし好きだけどな。
「もし、良かったら玄蕃も一緒に修行しないか!」
「そうだ!玄蕃なら上忍も夢じゃないぞ!」
「いや、だから自分は忍にはならないって【帝国】で一応【兵士】としてやってるんだから」
そんな話をしつつ、飛蝗を倒した時の報酬の全身スーツとブーツを調べてもらったところ。
〔殿飛蝗の服〕装備スキル<跳躍>、耐寒耐暑、威力、距離、高度の上昇
〔殿飛蝗の長靴〕装備スキル<跳躍>、高度上昇大、着地位置操作、着地時衝撃波発生
流石レギオンボスのMVP特典。士気系じゃないのは残念だが、要は跳べって事だな。
ベルトの右に登録しておくか
〔殿飛蝗の服〕
〔殿飛蝗の長靴〕
普段は
〔古代海鰐の服〕
〔空駆の長靴〕
この他は共通だな。
しかし、海鰐の服は大分使い減りしてきたし、使い切るまで使うか、能力移したいな。
でも、服装備の<付加術>ってあるのかね?まあ、無けりゃないで、仕方なしか。
服と言えば、流石隠れ里。
黒い忍者袴に、黒い上衣に、黒い脚絆に、黒い手甲に、黒い帯に、黒い頭巾。
忍者セットが尋常じゃない。三人もこれを着ていたのか。
ちなみに袖なし裾長のお洒落忍者上衣もある。
誰が着るのかと思ったら、ちゃんとその服の住人もいた。
現実で考えるなら、藍色とか柿渋色とかの方が一般的だった気がするんだけどな。
藍色の忍者服と忍者刀と手裏剣とクナイを装備して、忍者とかやるのも楽しそうだな。
しかし、布服ばかりなので<皮殻甲>の自分には残念ながら合わないな。
そんなこんなで隠れ里を楽しんだところで、三人と別れ、本題だ。
相変わらず視界の中にいながら、全然気がつけない。流石頭領。
「そろそろょぃかの?」
「ええ、宝樹様の件ですね」
「そうじゃの【森国】の真ん中、一番深い樹海の奥に在る。この国の木々を育み生活を支えて下さるのぉ」
「今回の邪神の尖兵の姿や情報はありますか?」
「厄介じゃぞぃ。すばやく木々を飛びまわり頭上から攻撃を仕掛けてくる相手じゃぁ」
「え?そんなのどうやって攻撃すればいいのか・・・」
「じっと我慢して、チャンスを待つしかないだろぅの」
きつそうな相手だよな。
まあ、最後の宝樹だし、覚悟決めてがんばるしか無いか。
「では、宝樹様の所に向かいますか」
「ぅむ、じゃぁ、こっちじゃ」
そうして、里の奥の洞窟に案内される。
人一人通るのがやっとの洞窟だが、真っ暗なので<索眼>を使用する。
「ここを抜ければ、宝樹様の元まで一本道じゃ、たのむぞぉい」
頭領に見送られ、洞窟に入る。
完全に真っ暗な洞窟だが、先に出口が見えるところから一直線の洞窟であるのは間違い無さそうだ。
真っ暗すぎて、出口がまるで浮いているようだ。
歩いているはずなのに、何故か体がふわふわするような錯覚に陥る。
出口は動かないのに、道に高低差があるせいだろうか、視界が揺らぎ、久しぶりに強い不安を感じる。