219.【隠れ里】
■ 擬態術 ■
身代わりを出して、ターゲットを集めたり
自らの存在感を薄めたりといった術を使い
ターゲットを外す事で身を守り、相手を誘導する技である
奇襲関連スキルと併用する事で、大きなダメージを狙う事もできる
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今日のところはまずアレかな、手に入れたばかりの装備の確認からはじめるかね。
「すみませんお客様、お客様を尋ねて御領主様の姫君がいらっしゃってるのですが」
宿の少年がログイン早々に訪ねてくる。
「ごめん正直に聞かせてもらうけど、逃げてもいいかな?」
「大丈夫ですよ。お客様は他国から大事な任務を受けて、いらしてるとは聞いてますので、姫君とは言え、勝手は許されないでしょう」
「え?勝手って、なんかめんどくさい事持ち込んでくる流れなの?」
「ええ、姫君は大変武の道に傾倒なされてますので、十中八九腕試しでしょう。他国からのお客人に失礼があっては何ですし、正面から断られても、こっそり抜け出すのもどちらも良いかと思います。
ただ、お相手をすれば相応の御礼も有るかとは思いますが」
「自分はお礼とかそういうのいいや、逃げるね」
「では裏口にご案内します。姫君の気をそらすのは他の店のものにさせますので、ご安心ください」
よく出来た少年だな~。
裏口から出れば、森だ。
「では、またのお越しをお待ちしております」
「お世話になりました。ありがとう」
そのまま、森の中の細い道を抜けて昨日の田畑に抜けていく。
昨日散々踏み荒らしたが、耕し直している。
何なら駄目になった作物を集めて燃やしている。灰を肥料にでも使うのだろうか?
「ぅむ、じゃぁ、行くかの?」
本当にいつの間にかいる老人だ。
しかも、後ろから急に話しかけられた訳ではない。目の前でいつの間にか一緒に田畑を眺めていたのだ。
「次はどこに行くんですか?」
「ぅむ、お主は宝樹に用があるんじゃろ?ならば、わしの住む『隠れ里』に案内しよぅ」
「隠れ里ってやっぱり忍者だったんですか?」
「ぃってなかったかの?忍と言ぅより【隠密】じゃがのぉ」
「しかし、さっきの街の【兵士】達がすでに忍者っぽかったですけどね」
「森に住めば罠や擬態なんぞはぁたり前じゃょ」
そういうと、いつだかの樹海を抜けたすばやさで走り始める。
そしてまた、全く道の無いところから森に入り始める。
人の手の入っていない森はやはり静かで暗く、圧迫感を感じるものの、人と関わらなくていい気楽さも感じてしまうようになった。
老人と進む樹海、今回はやや登り道であることに気がつく。
前回は高低差なんて全く気がつかなかったのに、いつの間にか慣れてきている。
森に潜む魔物もさらっとかわし、進む。無理に倒さなきゃいけない相手でもない。
なんなら、時折山菜なんかも<採集>していく、
そんなに会話があるわけでもない、ただ樹海を走り抜けるそれだけの日々を終え辿り着く。
樹海の中に村か町と見える空間がある。
頭上は木の枝で埋まっているはずなのに開けた空間。
生えている木をうまく利用し、建物が作られている。
そして、入り口には『おいでませ隠れ里』の横断幕。
「隠れてないんだが?」
「隠れ里と呼ぶのは昔の名残じゃ、今はわしらの技を学びたいものに広く門戸は開かれてぉる」
「じゃあ、ニューターとか結構来そうですよね」
忍者とか絶対一定層人気があるに違いない。
「樹海を抜けられる者がほとんどぉらんから、全然外の人間は来ぬわ」
「門戸開いた意味・・・」
「興味があるなら修行して行くかのぉ?」
「凄く興味はありますけどね。まだ任務中なので」
「それもそぉじゃのぉ」
そこへ3人のニューターがこちらへやって来る
「なんだニューターいるんだ」
「そうじゃのぉ、この三人だけは根性でやって来たのぉ」
「根性て、一応来る方法はちゃんと用意されてるんですね」
「そりゃぁの、時間さえかければ来れるぞ、あちらこちらに手の者もおるしの」
「頭領!そいつ新人ですかい?いっちょ俺達がもんでやりましょうか?」
「やめといた方がょいわぃ。そもそもお客人じゃ」
「へ~客人てそんな事あるのか~普通ここに来るのって【隠密】修行の為だけだと思ってたが、しかしプレイヤーが客人てな?」
「なあ、あんたどうだい?ちょっと腕試しといかないか?俺達はずっとこの隠れ里を探して、さらにここに辿り着いてからは逆にどうやって出たらいいのか分からなくて、外の奴らがどれだけ強いのか分らないんだ」
「いや、隠れ里から出られないって、流石に誰かに相談すれば良いのに」
「別に文句は無い。忍者として、いや【隠密】として技を身につける日々に何の疑問も無い!」
「そうだ!俺たちは忍の者として生きるんだ!」
「闇に生き、闇に死ぬ、死ぬ時は肉体どころか生きた痕跡すら残さない、それが忍道」
「どうしてもやるの?」
「悪いがやらせてもらうぜ?」
「いや、忍なら奇襲すれば良いのにと思って」
「相手が外道の類や忍の者であれば、奇襲も卑怯もないが、表の道を行く者に胸を借りるのにそのような事はせぬ!」
すると3人で、三角形に自分の周りを囲む。
「え?奇襲はしないけど、複数で囲むのはするんだ?」
「我ら3人、人知れず日の当たらぬ道を行く者、お互いを知るはお互いのみ。宵闇の『三羽烏』!三人一心同体だ!」
「自分も知っちゃったんだけど?」
「ならば死ね!忍の正体を知って生きて帰れると思うなよ!」
「いや、それはひどい。勝手にそっちから来たのに」
「そろそろ、ノリを理解しようぜ!」