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218.【森国】情緒

 ■ NPC商店の品揃 ■


 本ゲームにおいて通常のNPCが販売している武器は粗悪品ではないが高品質品でもない

 初心者から扱える数打ち物である

 プレイヤーの生産物の優位性を邪魔しない為であり、ゲーム内の流通状態によっては

 多少品揃えも変動する場合がある

 しかし、通常では取引出来ない特殊な商店も存在し、そこではレアなアイテム及び装備も手に入る


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 「お疲れ様です。アレだけの数の飛蝗を相手にするのは大変だったでしょう。今日は我が城にてお休みください」


 館で待機していた代官に声をかけられるが、


 城!城だそうだ!城か~。心惹かれるよな城! でも偉い人と関わるの嫌だわ~。でも権力者じゃないと城には入れないよな~。


 「まあ、館と言っても差し支えの無い山城ですが」


 関係ないんだよ。城は天守閣じゃない!ロマンなんだよ!


 「うちの姫もきっと喜ぶ事でしょう。武家の習いと薙刀を修めておりますれば、他国の強者と会いたいのでは無いかと」


 うん、宿屋に泊まろう。姫とか面倒くさいにおいしかしない。君子危きに近寄らず。


 「簡素な山城ですが、自慢の月見台がありまして、宴などはれば、中々に風情がありますよ」


 月見台か~山城の月見台か~。男のロマンを分りつくしてるな~この代官。だが、しかし。


 「街で休ませてもらって良いですか? 普通に宿屋に泊まります」


 この疲れてる状態で面倒事はごめんだ。


 「それでは少し登りになりますが、参りましょうか」


 <障越者>持ちの自分には今更登り道など苦にならない。


 代官及び引き上げる【兵士】達についていくが、どうやら農村の端の館は【兵士】詰め所だったらしい。


 警備の人の待機場所兼、農村部に異常があったときの集合場所兼、会議場みたいな。


 「そういえば、ここの田畑ぐちゃぐちゃですけど、大丈夫なんですか?」


 「ええ、ここの他も何箇所かやられていますがこの程度で済んで、良かったですよ」


 「この程度って言うか、完全に駄目そうですけど」


 「森には四足も山菜も雑穀もありますれば、すぐに餓える事は無いですし、お上も当然助けて下さいますから」


 「少ない開けた土地で田畑やって、食糧事情があまり宜しくないと聞いてたので」


 「間違ってはいないですが、贅沢はしないという程度ですよ。あの飛蝗達も米ばかり狙うので、米以外の森の中や山の中でも育つ強い雑穀は問題ありません」


 なるほどな~と思いながら、農村から続く登り坂を進んで行くが、やたら曲がりくねっている。


 でも、城下町ってこういうものだ。道をあえて複雑にする事で、攻められにくくする筈だ。


 通り抜けてきた深い森ほどでは無いが、木に囲まれた道。


 時折木の隙間から家が見え、その周りに畑らしき物や家畜小屋の様な物が見える。


 どの家でもそうやって食べ物を確保しているなら、まあ確かにすぐに餓える事は無いか。


 すると登り道が無くなり少しだけ開けた平坦な広場に出る。奥には大きな門と壁が見える。


 「この先が城となります。もし宿屋に泊まる場合はここを中心に商店や食事処や宿屋がありますので、自由に見ていただいて構いません。城に泊まられる場合はこのまま一緒に行きましょう」


 う~ん城は惹かれるけど、やっぱり今日はパスしよう。


 「じゃあ、宿屋探します。お疲れ様です」

 

 「そうですか、本日は本当に助かりました。ではまた」


 一行と別れ繁華街を一人散策する。繁華街というにはやや寂しいが店が立ち並ぶ区域である事は間違いない。

 

 ふむ、着物や草履は分るが、武器が普通に売っている。


 物は数打ち物のようだが、太刀、打刀、薙刀、槍、斧、弓、硬鞭、大槌・・・。


 槍あるな~しかも片鎌槍とか分かってるわ~渋い。自分剣やめて片鎌槍使いになりたいな~。


 相手に深く刺さりすぎるのを留めるのが、主な役割の鎌部だけど、振り回して引っ掛けたり、避けた相手に引いて首を狩ったり、逆に敵が間合いに入ってこないように防いだりも出来る。


 複合武器は扱いが難しいってのが古今東西言われる事だけど、片鎌槍は有りでしょう!


 よし!自分は片鎌槍使いになる!


 そして、買おうとしたら。『腰にさげてる得物じゃないよ』と言われて冷静になった。


 宿屋に泊まろう。


 宿屋を見つければ、やはり簡素な木の平屋だが、防腐剤か除虫剤が塗られてるのか、暗い色の木材で出来た内装である。


 しかし、どこもかしこも磨かれており、清潔感のある高級宿にも見えてしまう。


 案内は若い男の子だったが、そつなく話が済み。部屋に案内された。


 「あの。食事ってどこで作ったら良いですかね?」


 「こちらで用意しますので、嫌いなものがあれば申し付けていただければ」


 「飛蝗が出たばかりで食糧事情も宜しくないでしょうから、自分の手持ちで食べますよ?」


 「そこまで逼迫するものじゃないので、普通にお金落としていただいた方が助かりますよ」


 と言う事なので、食事も任せると。


 蕎麦が出た。そりゃ米はやられてるもんな。稗粟飯をちょっと期待したのだが、まあプレイヤーの口には合わない可能性があるか。最近は雑穀米とかも健康志向の人には人気あるけど。


 多分、茸と海草で出汁をとった蕎麦は普通においしかったのだが、


 確か蕎麦を細打ちして食べるのって、江戸の頃だったような?


 まあ、もう時代感ごちゃ混ぜの欲しい所取りなのは分るが、たまにあれ?ってなるよな。


 さーて寝よう寝よう。

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― 新着の感想 ―
[一言] 先生たいへん!恋愛フラグちゃんが息してないの!
[良い点] 女性NPCへのフラグをたたき折った音が聞こえた [一言] 登城して姫様との一騎打ちに勝てたら現地妻(ただし現地とはゲームである)フラグとか立ってたのだろうか そういったシステムがあるかはわ…
[良い点] 渋い武器に引かれる主人公が面白い。 [一言] 本当に今年からの連続更新ありがとうございます。 お疲れ様です。
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