216.【森国】飛蝗駆除2
■ 木罠術 ■
<木精術>と<罠>スキルを合成したもの
専用の種を生産し、媒介として使用する
罠だけあって事前に仕掛ける必要がある
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大量の飛蝗を陣形組んで耐えて削り続けてきたが、ボスサイズが出てきた所でちょっと迷いが出る。
盾持ちや重装備がいない編成では多分突破される。
ジャンプ力を生かした体当たりしかしてこない相手だが、サイズが大きくなればそれだけで脅威度が上がっていく。
どうしたものか・・・
「あの罠を作動させてしまっても宜しいでしょうか?」
「え? なんて?」
「いや、そろそろ乱戦になりそうなのでその前に罠を使用してしまおうかと」
「え? 罠ってさっきの爆発罠だよね?」
「あれは、魔物が近づくと勝手に作動するタイプです。手動で発動させるタイプがまだ残ってますので」
「手動だと混戦状態でも狙って発動できるんじゃ?」
「いえ、発動する時は一気に発動するので、ちなみに残っている爆発罠も全部一緒に発動します」
「へ~どんな仕掛けなんだろ」
「<木罠術>といって、事前に植えた種罠を任意で発動できます。ちなみに種罠を作製するにも術が必要なんですが」
「嗚呼、術士混ざってたんですね。というか<木精術>の術士さんとかはいないんですね」
「<木精術>の使い手だと森の中に引きこもってます。我らのような近接職しか開けた場所には中々出てきませんね」
そんな話をしていると飛蝗達が準備を整え終わったのか、空気が変わる。
「じゃあ、とりあえず罠発動しちゃいましょうか。ここからは混戦です」
「では『解放』」
周りの農地が一息に爆発し始める。そして、爆発の後には大きな飛蝗を優先に地面から伸びる蔓がまきついている。
「よし、相手が動けない内にとっとと撃破しよう。隊伍だけは崩さないように『行くぞ!』」
戦陣術 激励
戦陣術 疎陣
一斉に5人一組で散り散りになり周囲の飛蝗達を掃討し始める。
小さい飛蝗は通りすがりに一閃、人サイズは一斉攻撃で、そして大きなボスサイズを複数の隊伍で囲み倒していく。
先程の罠の効果で蔓が巻きつき動きが鈍い大きな飛蝗達はどんどん削れて行く。
大きな飛蝗を倒しきると、また空が暗くなる。
また飛蝗が補充される。
いつもなら大体3WAVEなのにまだか! 戦闘方法が単純で一匹一匹は大して強く感じないが、代わりに物量で来るらしい。
今回は更に大きなユニオンボス級が3体増えている。そして倒してきた筈の飛蝗は補充されてしまった。
今更罠を設置する時間もなし。どうしたものか。
「一旦集合!」
足場が悪い中だが、皆集まってくる。
乱戦でいつの間にか囲まれた状態から、飛蝗を正面に見据える位置に移動していた。
敵は田畑に広がるようにしているが、自分達は田畑の端のほうに集まっている。そして味方兵に相談する。
「とりあえず、弓兵はより大きいやつから狙っていこう。前衛は弓兵を守るように近くの奴から攻撃。他に何かあるかな?」
「我々のスキルに<擬態術>というものがございまして・・・」
「え?他にも持ってたんだ?!」
「ええ、罠を隠して他のものに見せかけたり、身代わりを出して注意を引いたりとか」
え?忍者じゃん? 遁行術とかじゃないんだ?
「武家社会って聞いてたから、もっと正面戦闘ばっかりのイメージだった」
「武家の習いもありますが、倹約につとめ、武芸の研鑽を怠らない事となりますので」
「じゃあ、この状況だと一番効率が良いのは?」
「飛蝗達はあまり知能が高いようには見えませんので、案山子を出して攻撃させましょう。その隙に削っていきましょう」
そういうと、戦列の最前線に案山子が並ぶ。
そして、更に前列の前衛達の姿が、消える????
よく見ると周りの風景に姿が溶け込んでいる。
忍者じゃん?!
すると、準備が整った飛蝗達が襲い掛かってくる。
まるで、親の仇かの様に案山子にぶつかってくる。そして一つまた一つと破壊される内に姿を隠した前衛達が、横から、後ろから飛蝗を斬りつけ削っていく。
また、弓兵の矢が大型の飛蝗にどんどん突き抜け、削っていく。
よく見ると、弓兵も術を使っているのか、エフェクトが出ている。
一発一発の貫通力が尋常じゃない。
流石、前もって聞いていたところの【森国】の弓。強弓の使い手って事なのだろう。
しかし、一番大型の飛蝗はまだまだ元気そうだ。
そして、高く上空にジャンプする3匹の大型の飛蝗。
こちらの隊列のど真ん中に落ちてくる。
それだけで、多くの兵達が吹っ飛ばされて、隊列が崩れる。
大型の方を自分が担当するか、小さいほうを一掃する方を受け持つか迷う。
ユニオンサイズは幸いこちらの隊列のど真ん中。逆に言えば囲める位置にいる訳だ。
「よし、決めた!大型の方をさっさと片付けよう『行くぞ!』」
戦陣術 激励
戦陣術 挟み撃ち
これで囲んでいる相手に対する殲滅力が上がる筈だ。
逆にユニオンサイズに集中してる味方を守るべく自分が、残った飛蝗達の前に出る。
手始めに、小さな飛蝗を捕まえ、
吸う右手
速攻吸収しつくす。
そして、出来るだけ広い範囲に当たるように角度を調整し、
吐き出す左手
一番小さい飛蝗達は一瞬で熱線に消え、人サイズの飛蝗も火傷を発生させる。
近くに居る小さい飛蝗を再び捕まえ、更に左手に持った剣で、届く範囲の飛蝗も斬って捨てる。
今度は小さな飛蝗がまとまって飛びかかってくるが、真ん中の一体を斬り抜け、裏に回り横薙ぎに更に2体斬り、体ごと回り更に一体切り伏せる。
吸う右手
手に捕まえていた飛蝗を吸い尽くし、すぐに剣を右手に持ち替える。
吐き出す左手
更に周りにいた飛蝗達を焼き尽くしていく。
何回繰り返したか、自分の周りに飛蝗がいなくなってしまったので、ボスサイズに取り掛かる。
ちなみにユニオンサイズは任せきりだ。チラッと見る限り完全包囲で、有利に展開しているように見える。
今は、この包囲攻撃を邪魔させないようにするのが自分の仕事だろう。
小さい飛蝗が邪魔なようで、吸って熱閃チャージするのには手ごろで、むしろ助かっている。
ボスサイズも何度か巻き込まれて火傷を負っているようだ。
一匹のボスサイズが、直線的にジャンプして来たのでブロックすれば、硬直を発生させる。
そのまま、正面にあった口に剣を差込み
氷剣術 紅氷華
そのまま凍らせて、氷片に変えて倒す。
更に2体が足を曲げて突進の構えになったところで<疾走>を使用し、
武技 払い抜け
ボスサイズ飛蝗に斬りつけながら後ろに回り、羽の下柔らかい腹を斬り裂き、
相手が向きを変えこちらを向く隙も与えず削りきる。
やはり剣でダメージを与えるには柔らかい腹部が一番ダメージが乗っている気がする。
弱点も分かった所で、ボスサイズ飛蝗達も片付けていく。
ボスサイズも倒しきった所で、ユニオンサイズも倒し終わったようで【兵士】達と集合する。
通りがかりに小さい飛蝗も斬り倒していく。
攻撃方法は単純だったが流石に数が多く、次から次と矢継ぎ早に飛びかかられると集中力を削られしんどかった。
「あれ? まだ戦闘状態解除されてない?」
集まった【兵士】達を見ると士気が上昇したままだ。
ダメージこそ大したこと無いが、自分の集中力が結構いっぱいいっぱいなんだが・・・
また空が暗くなり、雲霞の如く小さな飛蝗と今までで最大の飛蝗が飛んできた。
本命のレギオンサイズか。