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214.【森国】の兵

 ■ 樹海 ■


 【森国】のほとんどがその名の通り森である

 整備された街道を使い移動するのが一般的であるが、

 樹海を横断する事も可能である

 樹海を横断すればかなりの距離をショートカットできる為目的地に辿り着くにはかなり早くなる

 しかし、樹海は素人が入れば確実に迷う事になるだろう

 

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 暗く静かな森を進むのも慣れてきた。


 慣れると動き方も無理が無くなり、先を見て次にどう動くのか考えずとも自ずと決まり、


 急に飛び出してくる隠れた魔物にも余裕をもって対応できるようになる。


 老人は一度も戦闘に参加しないが、自分は毒を吐く草、足に巻きついてくる蔦、甲殻をもつ狸、石を投げつけてくる猿の群れ、角の生えた猪等等。


 中々に魔物の種類が多い。


 まあ、街道沿いは魔物が少ない、人の進む道を外れれば魔物が多い。これが基本だ。そりゃあ魔物の数が多いのも当たり前だ。


 しかし、老人は戦闘にならないように綺麗に避けていく、そう考えれば自分はまだまだである。


 それでも、徐々に研ぎ澄まされて、尚且つ自分の感覚がしっくりと落ち着いてくる。


 イメージ通りの動きをしつつ、本当に今の自分が出来る動きの限界点を探っていく。


 なんか、久しぶりの【訓練】て感じだが、随分ステータスが上がった気がする。


 前々から感じてたし、多分邪神の尖兵が経験値の塊みたいなもんなのだろう。教えてくれるNPCも次々現れるし、いつまで経っても余力が有ると言われる。


 既に大分人間離れした動きをしているはずだが、もう少しいけるかなという所で、


 「そろそろ森を抜けるぞぃ」


 ちょっと残念だ。なんかもう少し突き抜けられる筈のところだったのに、気が抜けた。


 森を抜けると田園風景が広がる。


 この国でも少ない開けた地と言う事なのだろうが、今のところ飛蝗は見えない。


 「ぅむ、じゃあ、この辺りの領主のところに向かぅぞぃ」


 「将軍様の直轄領だから代官てことになるんですかね?」


 「その認識で間違ぃ無いぞぃ」


 そして、田んぼの畦道を老人と一緒に歩く。


 森を抜けてきた速度とは比べ物にならない。のんびり歩きだ。老人が本当にどこにでもいる老人にしか見えない。


 しかし、田んぼで働く人が見えない。蝗害で避難しているのだろうか。であれば老人もこんな普通の振りしてて何か意味があるのだろうか?


 ふと、気配を感じ視線を遠くにやる。スキルによるものではなく本当に何となく視界に違和感を感じた程度だ。


 そうすると一人の男性が近寄ってきて叫ぶ。


 「おい!早く避難しろ!飛蝗の大群が来るぞ!」


 「こちらの方は今回の蝗害に対応してくれる【帝国】の御方じゃ。その様な物言いは良くないぞぃ」


 「いや、御方とかそれほどの者じゃないですが」


 突然片膝をつき平伏する。


 「失礼いたしました!この度の件は伺っております。では館に【兵士】達が集まっておりますれば!」


 そう言って、先にたち歩き出す男性。


 どうやら【兵士】の様なので姿を確認しておく。


 和風のつもりでいたが、割と軽装のようだ。服装は馬袴の様だし、履物も靴と言うよりは草鞋のようだし和装と言って差し支えないのだろうが、


 所謂胴あてや冑のような甲冑の類を身につけていない。


 どちらかと言うと自分の防具に似ているのだろうか、頭は鉢金、脛当てや小手などは着けているが、手首は動かしやすそうだし、腹当だけの胴体は簡素な装備だし、ん~イメージと違う。

 

 腰には毛皮の鞘に入った太刀を佩いている。下げ紐で地面に対して水平に腰に装着しているので、多分太刀だろう。


 和風っちゃ和風か。でもさっきまでの速度で森を抜ける【兵士】だと考えれば、この位の方が良いのか?


 木の上登ったり、木の隙間抜けたりするのに重装備はきついもんな。


 そんな感じで、観察しつつ、ついて行けば、館に辿り着く。


 そこそこの広さの平屋だが、華美という事は無く木で出来た涼しげな館で好みには合ってる。


 月でも見ながら縁側でお酒を飲みたい。


 すると、先を歩いていた【兵士】が館に入り、すぐさま上司らしき人を連れてくる。


 その人は、鎧だ。多分5月人形なんかでイメージするあれだ。多分大鎧って奴じゃなかろうか。


 完全武装である。そして手には薙刀を持っている。


 多分時代感めちゃくちゃだ・・・まあ、今に始まった事じゃないか。


 「ご助力感謝いたします。住民の避難は完了しております。いつでもはじめてください」


 「その前に戦力確認しても良いですか?あと相手は蝗害と聞いていますけど」


 「はい!巨大化した飛蝗達が農作物を食い荒らしておりますので、それを駆逐いたします。

 そして戦力ということですが、基本的に我々は徒歩の戦力となっております」


 「うん、徒歩の戦力はいいんだけど。装備というか何というか、簡素な人と重装備の人の違いは?後盾とか」


 「そうですね、一般的な防具はこちらの者のような腹当、もしくは腹巻となりますね」


 二人連れてきて、防具を見せてもらう。腹巻と呼ばれる方が胸や肩も装甲があり防御力がありそうだ。


 「ちなみに武器はどうなりますか?」


 「そうですね、今回は弓、薙刀、長巻。森の中での戦闘になれば、また変わりますが」


 「やっぱり森林戦闘になるとまた変わるんですね」


 「ええ、農耕をするものでもなければ、こんな開けた場所にいる事は稀ですから、中々苦戦しております」


 本当に国土の大半が森なんだろうな、そして少ない開けた土地で農耕をして食を支えていると。


 しかし、薙刀に長巻か、振り回す系だよな確か。個人の戦闘兵器としてはかなり優秀なはずだけど、集団戦闘で確か槍に取って代わられた筈だ。


 しかも、盾を持っていない様子。


 また、混戦の泥仕合かな。

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[気になる点] 森は食われないのね 作物のが美味いもんなあ [一言] エルフじゃなくて天狗がいそう
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