208.外海の島
■ 金の蛙 ■
外海の島に住む蛙
サイズが大きく、煮て食べても焼いて食べても美味
魚をはじめとする水生生物も好物であり餌にすれば入れ食いである
何故この島にしか生息しないのかは不明だ
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ただただ船に揺られ、大人数で適当に時間つぶしている内に島に辿り着いていた。
でかい船なので、何処に停泊するかと思えば、普通にそのまま潮に流され、
程よい高さの岸壁に横付けされる。
碇を下ろし、上陸する。
残念ながらそこの岸壁周りは森なので、皆で見通しの良いところまで、進む。
出た場所はそれなりの広さの砂浜。何となくここが決戦場だなと感じる。レギオンボスには丁度よい広さだ。
「さて、金の蛙探しと準備チームに分けるか」
「金の蛙は聞いていたが、準備ってのは何だ?」
「いや、決戦前は食事じゃん?」
「じゃあ、折角だし、バーベキューでもするか?」
「え?それはちょっと・・・って言うかなんでバーベキュー?」
「この前のサバイバルの時用意したのに持ち物を何も持ち込めなかったからな。折角だから持ってきた」
「でも戦闘の前にバーベキューって流石に気持ちがふわふわしちゃうじゃん。楽しい時間の後にボス倒すモチベ保てるの?」
「じゃあ、何食べるんだよ?肉と野菜なら持ってきたが、バーべキュー用に」
「自分も肉だけなら山ほど持ってるけど」
「じゃあ、バーベキューだな!!」
そんな会話を赤騎士としているとバルトがサクサク段取りをしてくれている。
「とりあえず、うちの釣り馬鹿に護衛つけて、森の奥のほうに向かわせたぜ。釣り餌の事なら釣り馬鹿に任せておけば良いだろう。そして、飯のことだが、多分ここが決戦場なんだろうな近くに広めのセーフゾーンがあったらしい。そこで何食うか決めよう」
「流石バルトだな。大人数まとめるのはバルトに任せておけば問題無さそうだな」
「いや、隊長。最終的に率いるのはお前なんだから、頼むぜ」
「まあ、戦闘で率いるだけなら、最近結構やってるから前よりもちょっとは出来るとは思うけど」
「気負わねえな。その余裕が逆に頼もしいぜ。で?バーベキューやるって?網と炭なら用意してるぜ」
「なんで、バルトまで」
「ボス戦前に料理するにしてもまだ俺じゃ大したもの作れないからな。基本そこらの魔物狩って、切って焼く」
「バルトが作らなくても、料理できる人いないの?」
「一応いるにはいるがよ。生産職だからボス戦までついてくるか、って言うと微妙な所なんだよ」
ふ~ん、どこも苦労してるんだな~。にしてもボス戦前にバーベキューな~。
そんな話をしつつも、広めのセーフゾーンまで移動すると石がゴロゴロと転がっている川原だ。
「ああ、この辺りなんかコンロ置くのにいいんじゃないか?」
「こっちも悪くないな、さっさと設置していくか」
二人の中ではもうバーベキューで決まったらしい。
「おおおおいぃ隊長! 泊まれる場所見つけたよ!」
とガイヤがどこからとも無く走ってくる。
「いや、ボス倒しに来たのに、何故泊まれる場所探したの?」
「別に探してたわけじゃないけど、探検してたら見つけたんだよ」
「探検て・・・少年か!」
「いや、なんか無人島に着いたと思ったら、テンション上がっちゃって」
「この前サバイバルやったばかりじゃないか」
「あの時は何も持ってなくて、気持ちに余裕が無かったじゃないか! 今日は荷物もってるし、少しくらい良いじゃないか!」
「それで、その泊まれる場所ってどうなってるの?」
「この近くに、ログハウスみたいな家がいくつか固まってる場所があるんだよ。多分100人皆宿泊可能だね」
バーベキューと宿泊施設・・・酒用意しておくか
「ボス! 蛙見つけてきたぞ!」
そう言って、麦藁帽子をかぶり、片手に釣竿持った男が、もう片方の手に顔より大きい蛙を掴み走ってきた。
「おう、早かったな。探すのにもう少し苦戦するのも想定してたんだが」
「いや、池にいっぱいいたから、余分に捕まえてきた」
「じゃあ、先にボス戦行っちゃう?」
「何言ってるんだ。ボス戦の前に飯だろ!」
「そうだ!ボス戦の前に腹を満たしておくのは当たり前だ」
なんか自分が前言ってたような事いってるが、なんか違う気がするんだよな。
そうして、なし崩しでバーベキューが始まる。
とりあえず、適当に鞄に入っているだけ、肉を出して行く。
赤騎士もバルトも肉を出し、更に探索部隊も島にいたヌートリア型魔物の肉を焼き始める。
川原のあちこちで楽しげな話し声が聞こえ、皆思い思いに肉を食べていると。
「やっぱり、バーベキューにはビールなんだけどな」
「ボス戦前にビールは流石にな・・・」
「アタシはビールじゃなくても良いから酒が飲みたい」
「いやだから戦闘前に酒は・・・な」
しかし、そんな事を話し始める者達が、ちらほら。
「こんな、和んで、緊張感なくなったら、ボス戦て訳にもいかないでしょ。自分が酒出すよ」
そういって、適当に持っている酒を出すと、皆我慢していたのか、好きな酒を手に手に取り始める。
「いや、悪いな隊長」
「まあ、お酒だけなら山ほど持ってるから、一スタック99樽入るし」
そうして、食べて飲んで騒いで、近くのログハウスに泊まる。
しかし、このログハウスは誰が何のために建てたのだろうか?
まあ、多分誰が来るか分からないような僻地に村を置く訳にも行かず、村代わりの施設として設置されているのだろう。




