207.外海へ
■ キャラック ■
本ゲームには何種類かの船が存在する
大よその搭乗可能数や装備搭載可能数等によって、種類が固定されてくる
100人から搭乗する場合にはキャラックとなる
安定感があり、転覆の危険性などは低い
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随分でかい船を手に入れたが全体的にずんぐりした印象のキャラックだった。
しかし、ずんぐりしている分、安定感もありそうだし、船上パーティならこれかもなとちょっと納得してしまった。
「なんかこんな立派なもの本当にいただいちゃっていいんですか?」
「ええ、約束だもの使ってちょうだい。海に浮かべてパーティするだけなんてもったいないもの」
「でも、もし無事に帰ってきたら返しますよ。維持できないし」
「それなら、そちらのお友達に使ってもらえば良いじゃない【海国】の所属のようだし」
横で話を聞いていたバルトが目をむいて、さらにこちらの顔を見てくる。
「じゃあ、そういうことだから!バルトに任せたから!」
「おい!隊長! こんなものもらえるわけ無いだろうが! アホか!・・・アホなんだろうな・・・」
「じゃあ、預けておくから好きに使ってよ! 維持費と使用料相殺で良いでしょ?」
「ああ、分かったよ。隊長が維持出来ないってのも分かるし、海を行き来する俺らには願ったりだ」
「じゃあ、そういうことですので、頂戴します」
「いいのよいいのよ。また気が向いて闘技場で戦う気になったら声をかけて頂戴」
そういって、立ち去る。ガイヤのスポンサー、残るガイヤ。
「行っちゃうよ?」
「だからなんだい! アタシもレギオンボス倒したい!」
「おい、隊長、意地悪するな。予めコローナは参加するって話ついてただろ」
「そうなんだけど、ガイヤだけでいいの?」
「そうだね。うちの連中はもうちょっと修行させてからだね」
「なんか前【訓練】嫌がってなかった?」
「なんだい、隊長がアタシに勝ってなんか火がついたらしいよ。前からアタシが言ってるのに今更!」
「まあ、そう拗ねるなよ。なんにしてもまじめに【訓練】してくれる気になってよかったじゃん?ランカーが出てくるのも時間の問題だね」
「ランカーともなると、クリアしなきゃいけないクエストの数も多いからまだかかるよ」
「それで、問題はこっちだな。こっちは聞いてないぞ」
「いいじゃねえか!隊長のレギオンボス戦、俺達も参加させてくれよ!うちも主要メンバーだけにするからさ!」
と言う赤騎士の後ろに、青騎士、金騎士、白騎士、黒騎士が並んでる。
「自分はいいけど、操船が出来なきゃ意味なくなっちゃうし、その辺の兼ね合いも含めて、バルト次第かな」
「隊長がいいなら、俺も文句は言えないだろ。5人くらいなら問題ない」
「じゃあ、荷物を積み込んで外海の島に行って、蛇を倒すぞー!」
「「「「「おー!!」」」」」
「おい、隊長。俺たちはアイテムバッグ持ってるんだから、積荷なんてものは無いだろう」
「え~じゃあ、皆忘れ物は無いかー?乗り込むぞ!」
そして、嵐の岬のメンバーを中心にガイヤと騎士達そして自分が船に乗り込んでいく。
「ところで、大型船なんだけど、操船は大丈夫そう?」
「自在という訳にはいかなさそうだが、まあ動かすだけなら何とかって所だな。ギリギリまでその手のクエスト受けさせておいた甲斐があったぜ」
「アンデルセンにも言ったけど、強制はあまり好きじゃないぞ」
「うちの連中のモチベがあってこそやったことだから、大丈夫だ」
「それなら良いけど」
「さて!それで、外海の島ってのはどこにあるんだ?」
「え?」
「え?」
「がいかい?」
「いや、だから外海の何処だよ?」
「ええ・・・と?」
「外海って要は大陸の領海外って感じの意味だろ?海は広いんだぞ?」
「え?海の広さを知ってるって事は、色々まわってて、何となく目星がついてたりとか」
「いや、外海に出るのに大きな船が必要だって言われて、手に入れたばっかりなのに、外海の事分かるかよ?」
「自分ちょっと魚人街に行ってくる!」
「いや、やめろ!飛び込むなアホ!よし、そうだな一旦あれだ。タコスカイコスに行って、そこを拠点に情報収集しよう。それが良いな」
流石大人数を束ねるバルト。すぐに解決策を考えて場を混乱させない統率力。今回はバルトと組んでよかった。
「よし、タコスカイコスに向けて・・・」
「だめっす!ボス!船が勝手に進んでます」
「どういうことだ?故障か?」
なんか嵐の岬が混乱してる。でもまあバルトがいるから大丈夫だろうと海風を浴びる事にする。
「おい、隊長、しらっとどこか行こうとするな。なんか原因、思いつかねえか?」
「風はどっちから吹いてるの?帆をたためば普通は船動かなくなるじゃん」
「帆はもうたたんでるっす!」
「じゃあ、何で動いてるのさ?」
「何か波というか、海が勝手に船を押し流してるようだ。意味が分からない。初めてだぜこんなの」
「嗚呼、分かった。多分外海の島に連れて行ってくれるんだろうから。ほっとこう。何なら海に向かってお礼言おう」
「「「「「ありがとうございま~~す」」」」」
「いや、え?どういうことだよ」
「蛇系のクエストを依頼してくる偉い存在?」
「存在?」
「そういう事かね!アタシの時は精霊の依頼だったけど、そういう世界を管理する一柱の力って事かい」
「そう、それ、海の深いところにいるから。お礼言っておけば、いいんじゃない?」
「そうか、あ、ありがとう」
手に入れた船は何もしないまま、大陸から離れていく。