202.はずかし闘技場 後編
■ メインイベント ■
本ゲーム内闘技場の試合ではイベントの大きさによる差がある
特に大きいものはメインイベントと呼ばれるが出場できるものは限られる
ランカーと呼ばれる強者はそれだけでも出場可能
また人気があるもの、人気が無くとも話題性がある者等観客動員が見込める場合
スポンサーからお呼びが掛かれば出場することも可能になる
そして出場経験があるだけでも人気は上昇する
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拳に炎を纏わせ、肩から噴出する炎で、まるで炎の塊が突進してくる様に見える。
炎の絨毯で自分を浮かせ、着地に大技を当てにきた。
狙いとしては完璧だが、
「誤算その1、自分にも戦闘経験はある。当たり前だと思うかもしれないけど、闘技場じゃなくても戦闘経験はある。着地を狙うなんて定石に今更驚かないよ」
そう言いながらブーツに精神力を込めて、二段ジャンプし、ガイヤの頭上を飛び越え、技の撃ち終わりの背を斬りつけ、更に後頭部に剣を刺す。
急所判定硬直が発生し、止まった所にそのまま背中を斬りつける。
向かいに立てば、硬直解除と同時に反撃をくらう可能性がある。そのまま背中に攻撃を加える。
闘気術 発気
突然何かに突き飛ばされ吹き飛ばされる。ダメージはほとんど無いも同然だが、また距離を取られる。
あれだ、サバイバルの時に見た奴だ。多分硬直中に入力して、解除と同時に発動したんだろう。全方位にノックバックが発生するとはいやらしいな。
「くっそ!やってくれたね!それなら、遠距離ではめるだけだよ!」
火拳術 獄炎弾
さっきまでとは比べ物にならないでかい火球が飛んでくるが、凍牙を纏わせたまま斬れば、切れないことも無い。しかし、精神力の消耗は激しくなったか。
とにかく距離を取りながら、炎の玉を撃ちだすガイヤ。クールタイムもさっきより短い気がする。
でかい火の玉を避けられずに、術を纏った剣で斬り続け、ついに自分の精神力が切れて、剣からエフェクトが消える。
「ふふ、トドメかね!」
火拳術 獄炎弾
こちらに避けさせないように距離を詰めつつ撃ってくるガイヤ。ここで勝負を決めるつもりなんだろうが・・・
「誤算その2、精神力を補完する方法はある」
そう言いながらすぐさま、チョーカーをいじり、精神力生命力を連結して、
氷剣術 凍牙
炎の玉を斬る。
距離を詰めてたガイヤはすぐさま飛びのこうとするが、服の端を掴み、
擒拿術 蛇結茨
擒拿術 猿捕茨
硬直コンボを使用し、動きを止める。
吸う右手
そのまま掴み生命力と精神力を吸収する。
ついでに左手に持ち替えた剣で、突いて少しでもダメージを増やす。
闘気術 発気
またもや飛ばされ、距離を開けられる。
「ふふ・・・隊長!今吸収してたね?つまり精神力の補完も一時しのぎなんだね。んじゃあ、これで決めるよ」
火拳術 獄焔玉
火拳術 獄炎弾
二つの巨大炎玉を浮かせて、そのまま距離を詰めながら炎の玉も撃ちだす。三つの巨大炎球が飛んでくる。そのうち二つは追尾式だが、向かってくる方向は一緒だ。
三方ばらばらだったら手のうちようも無かったが、追尾式は近づくと自動で最短距離を飛んでくるタイプ、もう一つは完全に一直線タイプ。
少しだけ距離を取り、玉が飛んでくる方向を調整し、
「誤算その3、自分も範囲中距離攻撃持ってる。サバイバルの時一緒にいる時間が長かったから、後から配信確認して無いね?」
吐き出す左手
手から熱閃をだし、三つの玉をかき消す。さらにダメージこそ出なかったが、一瞬光で目がくらんだガイヤの腹に剣を深く突きこみ。貫通させる。
そして、そのまま右手の腕輪をいじる。そして右手に氷の結晶のようなエフェクトを纏う。
同時にガイヤに頭をロックされる。
自分の額にガイヤの額を合わせ言ってくる。
「正直ここまでやると思って無かったよ。これなら多少評価落としても、塩漬けにして遠距離からぼちぼち当ててやればよかったね」
「まあ、結果論だよね。こっちももうギリギリだから決めさせてもらうよ」
「そりゃあこっちの台詞だね!散々斬る突く、今なんて腹貫通させやがって、でもあえて、剣抜かないのなんでだと思う?」
「さあね? 悪いけど勝つよ。ごさん・・・」
ガイヤが赤熱し始める。
「これだけは使いたくなかったけど、発動すれば、アタシは生命力を最低一ドット残して生き残る。あんたは大ダメージ。いくらクリーンヒットは無くてもアレだけブロックさせたんだ。ダメージ蓄積くらいあるね?いくよ!じ・・・ば・・・」
氷剣術 紅氷華
ガイヤはそのまま動かなくなる。強引に剣を引き抜けば、氷片になり弾け飛び、光の粒子に変わる。
「誤算その4、耐性装備を抜く方法はある【鉱国】で会ったときにはまだ左手に着けてたかもな?
まあ、誤算を4つも重ねれば敗因としては十分だよね」
[『炎の巫女よ、せめて美しいまま逝け』額を合わせ最後を語り合った二人だが、最後は冷酷なる漆黒将軍の手により幕引きとなった。立場が二人を割き、漆黒将軍は何も語ることなく姿を消すのだった]
だからナレーションが恥ずかしいんだって~!
勝負がつきナレーションに気がつくと同時に逃げるように闘技場をあとにする。
なんでも、その後自分が売店で買った数打ち物のグラディウスが漆黒将軍モデルとして売れに売れたり、
寄付をする人が急増したとか、
地味顔【闘士】の人気が上昇したりしたらしいが、自分には何の得も無い話だ。
この闘技場の話はずっと書きたくて温めていた話です。
何度も脳内でシミュレーションしてきましたが、この話までたどり着けたのは
ひとえにいつも応援してくださる皆様のおかげです。
ありがとうございます。