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199.闘技場

 ■ 闘技ランク ■


 闘技場には様々なランクや闘技が存在するが

 一般的なのがランク戦、これに勝つことでより上位者と戦えるが

 ランク戦だけでも何でもありから武器限定まであり幅広い戦いが楽しめる


////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////



 

 雷の様に真ん中で折れ曲がった意匠の片手剣を両手にそれぞれ持ち、流れるような動きで途切れぬ連撃を重ねるのは多分獣人であろう。


 銀の小手、銀の脛当て、銀の胸当て、銀の前垂れを付け、濃い緑の服の隙間から見えるのは黒い体毛。


 フルフェイスは目だけスリットがあり、頭が見えないので何の獣人かは分からない。


 片手剣を連続で当てているとは思えぬ重い音が、鳴り響く。


 相手は身長からドワーフだろう。


 分厚い体に低い身長、大盾で全身を隠し、連撃を耐えている。


 ガードはしているもののブロックが成立しているようには見えない。


 「お・・い・・た・ち・・」


 しかし、その盾の裏の目は死んでいない。


 一瞬、盾をほんの僅かに下げたように、見える。


 自分ならそこで、一旦手を止め様子を見るが、寧ろ獣人は力いっぱい溜めた一撃を加えようとする。


 そこにカウンターをあわせるように、盾の縁で獣人の顎を狙うドワーフ。


 強引に剣を引きながらステップでかわす獣人。


 かわす事は折込済みとばかりに、鉄球が先端に付いた鈍器で鳩尾を突くドワーフ。


 まともにくらい、動きの止まる獣人。そこからはドワーフの一方的展開になっていく。

 

 「おい!隊長!!さっきからNPCのバトルばっかり見て、もっとプレイヤーの研究しなくていいのかい?」


 「え?興味ない。なんか弱いもん」


 隣の会場でも大盾使いがいるがこっちは巨漢だ。大盾を振り回し、叩きつけ、その叩きつけた振動で相手の足を留め、大振りで肉厚の片刃剣を振りぬいている。


 「こら!隊長!意識が戦闘に向いてるのは分かるけどそういう事言うから睨まれてるぞ!」


 気がつくと周りに人が集まっていて、こっちを睨んでいる。


 「嗚呼、何かすみません」


 「おい、お前がガイヤの相手か、俺たちがどれだけ順番待ちしてると思ってるんだ?」


 「いや、それはガイヤのスポンサーの依頼だからそっちに言ってもらえる?」


 「うるせぇ!お前が断れば済む事だろうが?」


 「いや、あんたがうるさいよ。他にも人がいるんだから静かにしなよ」


 すると別の男が


 「姉御!何でこんなやつと戦うんすか?まじで生意気だし、序列ってやつを乱してるっすよ。ここじゃ力が物を言う筈なのに、一戦もして無いやつが、でかい顔してるの許せないっすよ」


 「うるさいね!一度はアタシに土をつけた相手なんだし、あんたらと違うのは当たり前だろ!」


 「おい!姉御が話が分かるからって、それに甘えてんじゃねぇぞ!コラ!何とか言えよ!初心者服でうろつきやがって」


 嗚呼、面倒くさい。なんでこう腰ぎんちゃくみたいなやつってムカつくんだろ?


 「ガイヤさ。面倒くさいから別行動しない?自分この試合もうちょい見たい」


 「あのねぇ、隊長。プレイヤーとNPCじゃ戦い方も違うんだよ?」


 「いいよ、なんか術連発するだけのやつら見てても面白くないもん」


 「ああん?てめぇ!ダメージ量の多い術と武技をいくつ当てるかが、勝負の決め手だろうが?これだから本当の戦いを知らないやつは!」


 「本当にうるさいんだけど。力が物を言うんでしょ?黙っててよ」


 人が試合を見に来てるのに邪魔しに来るやつについ苛立ってしまった。


 良くない事は分かっているが、集中している時に横から口出しされるとついイライラしてしまう。


 「よし!その喧嘩勝ったぜ俺と勝負しろ!」


 「いやだ。面倒くさい」


 「隊長・・・ここまできたらやるしかないよ。全く普段はのんびりしてるくせに、なんでこういう時は意地張るんだか・・・」


 「じゃあ、ガイヤの次に強いの誰よ?自分こう見えてかなりイライラしてるよ?」


 「分かってるよ!でもうちの連中はキレてるの!身の程知らずなのは分かってるけどちょっと腕見せてやってくれないかい?」


 「いや、だからガイヤの次に強いやつとやるよ。順番に全員やれとかいうなら断るよ。要は消耗戦に持ち込もうってのなら、こっちもやり方考える。100人集めてきて集団PK仕掛ける。ガイヤのクランに何人いるか知らないけど」


 「分かった!分かった!何隊長までキレてんだい。で、いつやる?」


 「さっきから面倒くさいっていってるじゃん今からやるよ」


 なんか闘技場で一戦する事になったので、近くの売店で売ってる数打ち物の安いショートソードを買う。


 そのまんまグラディウス。闘技者の剣だ。


 「で?誰がやるの?負けたら文句言うなよ?奇跡が起きてお前らが勝ったら、何戦だかして、順番待ちするよ。それでいいんだろ?」


 「ああん?てめぇ何が奇跡だ!こっちが何戦してきてると思ってんだ?」


 「さっきから言ってるけど、うるさいよ!何戦してようが【訓練】もしない、ただ何も考えもしないで、技やら術やらブッパするだけのやつに負ける理由が無いの!なんなら術も武技も使わないよ。お前ら相手なら」


 「ああん?まじでムカつくぞお前!この場でやってやろうか?」


 「嗚呼、今いるのが10人て所か?いいよ皆殺しだよ」


 「こらぁぁぁ!やめなぁぁぁ!!【闘士】がPKなんてやめなぁぁ!おい!セントゥス!あんたがやりな!あんたが負けたら他の連中も納得するだろ!」


 「おっ?いいんすか俺で?正直姉御との試合まで手の内見せたくないだろうと思って黙ってたのに」


 「いいんだよ!どうせアタシ以外じゃ隊長の相手にならないんだから、胸借りておいで」


 そうして、どういう手続きをしたんだか分からないが、順位の関係ないフリーのバトルをすることになった。


 闘技場は砂がひかれただけの簡素な会場だ。


 場外負けも無い。高い壁がありそこから上が観客席になっている。


 相手は片手剣に小盾、防具は要所を金属の片金属だろう、対人なら戦いやすそうな装備だ。


 対して自分は初心者服にありあわせのブーツそして近くの売店で買ったショートソード


 なにやら、解説の人が大きな声を上げているが、ちょっと興奮して何言っているか分からない。


 いや自分が興奮していて耳に入ってないのか?


 まあ、いいか。はじまりの鐘がなると同時に無造作に近づく。


 相手が、剣に術を纏わせて振ってくるが、遅い、遅すぎる。


 斜めに避けながら懐に入り、首を突く。


 急所判定に相手が硬直する。そのまま引きずり倒しながら首をひたすら突く。


 一回咳き込んだのは何かのデバフだろう。そして出血のデバフも発生する。


 でも、まあ、そのまま首をめった刺しにする。所詮は安物剣だけあって、中々死なないが、何でも良いわ。


 だって相手何も出来ないもん。なんで、こんなんで偉そうにできるんだか?


 そうして、光の粒子になって消える相手。


 溜息しか出ない。


 「なあ、隊長。あんたこれで悪役(ヒール)確定だよ」


 「なんでさ?」


 「一方的に格下相手に弱い武器で、何もさせずにいたぶる姿に・・・ファンがついたよ」


 「なんでつくのさ?」


 「そういうのが好きなのもいるんだよ。悪役も役のうち、威力の無い武器で、テクニックだけで圧倒。しかも手の内を全然見せない。玄人好きと悪役好きに気に入られちまったね~」

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― 新着の感想 ―
[一言] ふむ 今よりも隊長の実力が劣っていたころに、それでも強さをなんとなくとはいえ感じていたアンデルセンは相当見る目があったのか、それともほかのプレイヤーの見る目がなさすぎるのか判断が難しい ダ…
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