192.マンボーさんと二人再び
■ タコスカイコス ■
ほぼ漁業で成り立つ【海国】最南部の島
のどかな田舎であり、魚人との交流がある島
魚人は自由に海を行き来するが、その魚人の住む街が近く、よく現れる。
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なんか久しぶりな気がする『プーエール・リコ』
イベントの優勝は出来なかったが本選出場でも色々もらえるらしいので、カタログを見たところ、結局鞄拡張にした。
なんか荷物も増えて鞄もいっぱいになりがちだし、まあ、いいかなぁと。
今回は特殊な能力は無し。
ただし容量は今までより大分増える。10×10スタックだ。つまり64マス→100マスなので、30マス以上増えている。
これで、今まで以上に色んな物を詰め込める。
そして、調子こいて、プーエール・リコ特産のラム酒を大量に買い込んだ。後悔はしていない。
一息ついたところで、ここからは本格的な任務攻略だ。
マンボーさんと合流し、宝樹に会いに行く算段をする。
「うむ、少年よ。魚人の住む地は【海国】外辺となる。ここより更に南下し、タコスカイコスまで行き、そこから泳ぎだ」
「マンボーさんて海の上のことはよく分からないって言ってましたよね?つまり海の中に街がある?」
「正解だ」
「無理ですよね?よしんば辿り着けても、即帰りじゃないですか」
「大丈夫だ。我らの海底都市と言っても街だが、そこはちゃんと地上同様に空気がある」
「何故?海に住んでるのに何故地上の環境があるの?」
「分からぬ。しかし、逆に言えば海中の脅威から身を守るには絶好の土地なのだ。地上同様に海底も弱肉強食の世界。我ら魚人が生き残る為に重要な拠点なのだ」
それから、タコスカイコスへは流石に船だった。
大よそ平和な船旅だった。
なんか潮風に当たるの飽きた。
やっぱり自分は体動かすのが、合うのかもしれない。運動とか筋トレは苦手なのにだらだら歩いたり泳いだりは嫌いじゃない。
一度海が時化たが、自分は割りと余裕だったのは体幹をスキルで強化しているからかもしれない。
そうして到着したタコスカイコス
何というか、殺風景。
土とか木とかが少ない。漁業従事者が多いのか 小さな船が港にいっぱい泊まっている。
しかし、魚だけはいっぱいある。
カラフルな魚達が、いっぱい並べられている。
そして船で来た者達に売っている。
自分はちょっとこのカラフルな魚の食べ方は分からないので、買わない。
申し訳ないが折角の街を完全スルーで、マンボーさんに付いていく。
もう、本当に何の感傷も無く、海に入っていく。
そして泳ぎ始める。
海は広く陸から離れるのはなんとも不安になるが、マンボーさんがいるだけで、進んでいける。
何だかいつの間にか<泳ぎ>に慣れてしまった。
どこまでも泳げるし、どこまでも潜っていける。
マンボーさんは弱肉強食と言っていたが、未だにそこまでの強敵に会った事は無い。
時折、そこいらを泳いでいる魚を捕り、小さな島のセーフゾーンで食べる。
なんとも平和だ。
結局歩いたり泳いだりしている時が一番平和だ。
決められた行き先があり、それでいて、歩くだけ、泳ぐだけ、
そんな時程色々な方向に考えが飛ぶ、時にポジティブ、時にネガティブ。
妄想って不思議な物だ。
どんな状況でも、何を考えてても他人に気が付かれる事もばれる事も無い。
例えば極端な話、人を何回殺そうが罪に問われることは無い。
人には言えない馬鹿なことを考えていてもばれる事はない。
そう、どんなに取り澄ましてようが頭が良さそうに見えても、立場的に変な発言が出来ない人であれ。
どうにもならないような、馬鹿なことでも、エロい事でも、憎しみをぶつけるような事でも、
好きなだけ考えていいのだ。
それで、自分は今までどれだけの時間自分の心を守ってきたか。
時に他人から賞賛される妄想をして、自分を奮い立たせ、
時に嫌いな人間をボコボコにする様を想像して我慢し、
そうやって生きてきたことは間違いない。
妄想くらいしか逃げ場が無いのは寂しい事か?
いや、妄想こそ最強のツールだ。
そこにはない目には見えない世界を自分の中に作り出し、
自分を救うことが出来るなんて、最高の自助じゃなかろうか?
もし、世の中の皆が自分で自分を救えれば、他人に当り散らしたり、
自分より弱い人間を見つけ出して暇つぶしなのかストレス解消なのか分からない虐めなぞ無くなるのではないか?
妄想が世界を救う???・・・
うん、妄想がぶっ飛んだ!
このふわふわと思考が飛ぶ感じは好きなのだが、この状態に入ると周りが目に入らなくなる上に、
邪魔されると凄い不快な感じで他人に対応してしまうらしいので要注意だ。
そんなこんな、マンボーさんとの久しぶりの海中旅情は、自分の癒し時間になった。