188.楽しいサバイバル10
■ 偃月陣 ■
戦陣術の一つ 縦隊で補正がかかる。
機動力が高いほど習得しやすい、また特殊な魔物を倒す事で手に入れる事もある。
機動力重視の陣形である。
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小屋の前に帰り着くと明らかに誰かいる気配がする。
スキル的なものではなく、普通に人が入り込んでる。
少し離れて、相談する。
「どうしようか?襲撃する?出来れば海岸攻略メンバーに誘いたいけど」
「そうじゃの、隊長に任せるわい」
「あたしも任せる。戦闘になれば、やってやんよ」
「「「やってやるぜ~」」」
「何でもいいの、ご飯にするの」
「ん~皆面倒くさがるからな~、いっそ小屋に火でもかけてやろうか」
「いや、それはやめろよ。拠点がなくなるじゃねえか」
「分かってるよ。そもそも小屋が壊せるオブジェクトか分からないし」
ため息一つついて、取りあえず自分が小屋に近づき扉をノックする。
「誰だ?戦闘する気が無いなら、3歩下がれ」
嗚呼、聞いた事ある声じゃん。
「あいよ、3歩下がるけど、そこの小屋自分達拠点にしてるんだけど」
すると中から赤騎士が顔を出す。
「なんだ隊長じゃねぇか・・・おいおい何でそんなにぞろぞろ有名どころ引き連れてるんだよ」
「いや、なんか成り行きでかな?ところで入っていい?ビエーラがお腹すかせてるんだ」
「ああ、そりゃあな、拠点にしてたんだろ?悪かったな。通りかかったんで調べてたんだわ。生活感があったから誰かと合流できるかと思って、張ってたんだよ」
「なんでまた張ってたんだか、まあいいや、皆~~入っていいってよ~」
そう言ってぞろぞろと全員で小屋に入る。
ん~まずは夕飯か~
「赤とか騎士達も一緒にご飯にする?」
「いいのか?まだ特に組んでるわけでも無いのに」
「いいって、いいって。敵対してる訳でもないんだから、一緒にご飯にしよう。お腹いっぱいになって落ち着いて話して、それで敵対したら剣で話をつけよう」
「まあ、それはやめておく、勝てる気がしねぇ。仮に爺さんが傍観決め込んでも無理だな」
「今回は敵同士じゃし、やってもよいぞ」
「うん、俺は断る」
騎士達にも食材を出してもらい、夕飯の献立を考える。
「昨日はすき焼きだったしな~どうすっかな~」
まずは、欠食児童が文句を言う前に簡単に作れるやつかな。
今日のキャンプで手に入れた人参を細切りして、騎士達が持ってたフライパンで片っ端から炒め、塩で味付けする。
ごま油でもあればよかったが、まあ贅沢言えないからそのまま皿に盛り出せば、勝手に皆で取り分けて食べ始める。
何が困るって、麺も米も無いって事だよな・・・
赤騎士が肉を挽肉に出来るらしいので豚と鳥を任せる。
自分は人参のあまりをみじん切りに、レンコンを薄切りにする。
作ってもらった挽肉と人参、レンコン、塩、酒、醤油、生姜、酒を混ぜて粘りが出るまで捏ねる。
捏ねてある程度まとまったところに、
オーブンでもあれば助かるが、サバイバルにそんなものは無いので、騎士殿に貰った大きな葉っぱに包んで、フライパンで水とお酒で蒸し焼きにする。
程よい所で、蒸し煮にし、串で火の通り具合を確認し、簡単ミートローフにして、適当サイズに切って出す。
なにぶん所帯が大きくなったので数回に分けて、作っては出す事にする。
自分がそっちに掛かりきりの間に、鍋で豚肉とキャベツだけの簡単鍋を作っている赤騎士、結構手際がいい。
人数は増えたが、作る人数も二手に分かれて、効率が良くなった。
取りあえず、皆お腹が満ちた所で、
「じゃあ、明日の作戦会議と行きますかね」
「俺たちはこのまま、ここに混ざってもいいのか?」
「いいんじゃない?うちももう1パーティいればなって話だったし」
「そうか、俺たちはこれまで、何処とも会わなくてな。脱出の糸口も無くてな」
「うちは、海岸にある船にいこうと思っているんだけど、でかいボスが邪魔してるみたいなんで、明日はそこアタック予定」
「そうか、便乗してもいいのか?」
「いいんじゃない?船も何人乗りかすら分からないし、取りあえず乗れる状態にしてから話合おうよ」
「食事中に話したが、うちは否は無いな。このままただ無為に歩き続けるのもしんどくなってきたしな」
「そんなしんどかったんだ?まだ三日なのに、もし船駄目だったらもっと色々結局歩くのに」
「その時は仕方ないが、取りあえず目標があるだけでも気が楽だ」
無為に、だらだら歩くのがいいのにとも思うが、騎士団は歩くのはあまり好きじゃないらしい。
【馬国】のボス攻略の時は何も言わずに歩いてたもんだがな。
騎士達に合う装備を見繕い、メンテナンスして装備を整える。
それぞれに話をしたりして過ごしているが、早くも3日目が過ぎ、4日目を迎える。