185.楽しいサバイバル7
「あ~何でだ。コレだけ歩き回って、何にも見つからないどころか何で、誰とも会わねぇんだよ!」
「そう、文句を言うな赤よ。高々40人しかいないのに、フィールドが広すぎるぞコレは」
「本当にな、しかし隊長に会って、面倒くさい任務やってた甲斐があったぜ。でなきゃ一日目で終わってたぜ」
「全くだ。俺はまだその隊長に会ったこと無いが、面倒でもそれぞれに地味な任務をやっていたおかげで、こうして食事も装備もそろう訳だからな」
「全くだな、まあ、独身男の単純飯で申し訳ないがな。金がまさか料理全般駄目だとは」
「女だから家事をするなどと時代錯誤もいいところです」
「いや、男とか女じゃなくてお前さんも一人暮らしじゃなかったか?」
「今はお惣菜もコンビニ飯もいいものがあるのです。何も問題ありません」
「まあ、いいけどよ。一人暮らしなら自炊できたほうが少しは家計も楽になるだろうに」
「まあ、そう言うな赤よ。人それぞれ得手不得手というものがある。俺も手先不器用だし生産は苦手だから、荷物持ちしているわけだしな」
「元々青は重装備で重量に関するキャパが大きいから適材適所だろ。アイテムバックに入りきらないものでも、何かの交渉の材料になるかもしれないし、捨てるのはもったいないからな」
「ふむ、黒も元々偵察だし、探索と相性がいいし、素材集め系や鑑定知識系と相性がいいからな、それぞれに出来る事をすれば良いだろう」
「まあ、最近クエストをまじめにはじめたばかりだし、まだ大した事は出来ないがな。隊長だったら、俺ら全員分の上位互換になるんじゃねぇか?」
「話にしか聞かないが、なんとも凄い奴がいたもんだな」
「あ~凄いぜ、何でも出来てPVPでも俺より強いと来て、集団戦まで出来るってどうなってんだよ!ははっ訳わからねぇ」
島の内陸部をぐるぐる回って二日目も日が暮れ始める。
「今日は何処でキャンプするよ。見張り立てて野宿か、途中にあった樵小屋に戻るか」
「見張り立てて野宿は非効率だろう。小屋に戻るのがいいんじゃないか?」
「私も小屋に戻るのに賛成です。拾った物でも精査しましょう」
「そうだなそうすっか!おおーーい!!黒!白!小屋に戻るぞーーー!」
そうして、全員で木材加工所があったと見える小屋に戻る、近場に川もあり、水にも困らない好立地だ。
「さて、何作るかね~本当に俺は雑な男飯しか作れねぇのに米が無いからな~どうすっか」
「まあ、ゲーム内の空腹を満たすだけだ。まずくなけりゃ何でもいい。ねこまんまでもな」
「だから、米がねぇのよ!どうすっかな~」
食べれそうな物を一通り並べ、頭を悩ます赤騎士。
そして、おもむろに肉を取り出し、ナイフで細かく刻み、更に叩く、
緑の魔物から手に入れた、味噌を混ぜて、捏ねる。
ある程度均等に混ざった所で、あるだけピーマンを二つに割って、中身をくり貫いていく。
更には野菜を適当なサイズにざく切りにする。
先程捏ねた挽肉をピーマンに詰めたものをいくつも並べていき、ピーマンがなくなったところで、拾ったフライパンで焼いていく。
木材加工所跡だけあって、火をつける薪だけは山ほどあるので、真っ黒焦げにならなきゃいいやとばかりにどんどん焼き、適当に木皿に積んでいく。
ピーマンを焼き終えたら、今度は残った味噌挽肉と適当な葉野菜を炒めて、別の皿にこんもり盛っていく。
「まあ、こんな物しか出来ないけど、とりあえず食おうぜ」
そうして、それまで集めた物をあーでもないこーでもないといじくってた面々が集まってきて、食事を始める。
「まあ、まあ、ね。ちょっとしょっぱい気もするけど」
「こんなもんじゃねぇか?普段から体動かす分俺は濃い味なのかもな?」
「俺はちょっとしょっぱく感じるな」
「私はコレ位で丁度いいと思います」
「白は部活でやっぱり体動かしてるタイプだからな。そりゃそうかもな」
「青も元々動かしてたじゃないですか!」
「まぁ、いいじゃねぇか、皆食えてるんだから。それに俺にそんな精度求められても困るぜ、ところで精査してた物で使えそうなものはあったのか?」
「いえ、私が修繕できそうな物は少ないですし、今皆さんが装備してるものよりいい物は逆に私ではスキル熟練度が足りないですね」
「完全に不明な物もありますね。何なんでしょう。何かのタンクにバルブが付いて、世界観と合わないボンベ??」
「うん、何か無臭の変なガスが出るやつな。何に使うんだろうなコレ。でも逆に脱出アイテム臭いけどな~」
「そうだな、なんか二足歩行の豚のベースなのかキャンプなのか襲撃してみたら、手に入れた訳だしな」
「しかしあの豚は初めて見た魔物だったな」
「試験用サーバーって話だし、使わなかった魔物デザイン流用してるんじゃねえか?」
「しかし、まあ、今回のイベント脱出が条件と言えど、本当に他プレイヤーと行き会って対決ってならないのは何でだろうな?もっとよう、バチバチ戦って勝敗つけたいぜ」
「仕方ないだろう、これだけ広いフィールドで、脱出する手段を探すのが目的なのだ。もし、プレイヤーと出会ったら、戦うのも一つだろう。戦ってもいいルールなのだし」
「そうだな!何処と行き会うかね!うん・・・隊長の所だけは駄目だけどな。横目で見たけど爺さんも剣聖の弟子もいただろ・・・あそこだけは駄目だ」
「赤は本当に隊長に対して一歩引いてるな」
「いずれ決着は付けるが、今は無理だろ・・・」