181.楽しいサバイバル4
■ 特攻 ■
戦陣術の一つ 隊形による補正は無い
攻撃力にプラス補正、防御力にマイナス補正
文字通り特攻。殲滅力と引き換えに自軍の消耗も激しい
////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
「さてと、皆飯食って人心地ついたろうから情報を擦り合せようか」
「ああん?なんでお前に仕切られなきゃならないんだ・・・」
「そうだ!最強ならともかくお前みたいな地味なやつに・・・」
「なんなら姉御に仕切らせろ!お前の出る幕じゃね・・・・」
「お前達飯抜きな、もしくはお前らだけ毒入り飯にする。好きな方を選べ」
「「「さーせんした!!!」」」
ガイヤの所の連中はちょっと血の気が多いな。
「って言ってもあたし達は取りあえず魔物狩りながら森の中歩いてきただけだよ」
「私達もなの脱出の手がかりすらないの」
「ところで、食事終わるなりそこで皮装備直し始めた子は?」
なんか女の子が、皮装備をこそこそと直している。
自分がお酒でカビ落とししただけの穴あき鎧やら、腰当やら、ベルトやらを適当に放置していた毛皮と組み合わせて、修繕している。
「コージァなの、隊長も剣帯とか皮殻で作るような物をクラーヴンに預けている筈なの。その時作ってくれてる子なの」
「ああ、そうなんだ。はじめまして、いつもお世話になってます」
そう自分が言うと、ビエーラの後ろに隠れ、耳元で話している。
「コージァは人と話すのが苦手なの、特に男の人は苦手なの。でも『どういたしまして』だって」
「そうなんだ、クラーヴンから仕事受けてるんじゃないんだ?」
「なんでも、クラーヴンはNPCと勘違いしていたみたいなの」
「ああ確かにクラーヴンていつも店にいるしNPCっぽいもんな。
まあ、じゃあ、好きにやっててよ。
自分達も川沿いを下りながら素材集めしてただけだからな」
「なんの情報もでねぇな。まあ、初日だしそんなもんだろ。寧ろこの段階で、最低限の装備がそろっただけマシだな。皮殻と金属と食い物コレだけ揃えば、かなり有利だ」
「って事は夜が明けたらもう少し手を広げて探索するしか無いか。何ならこのまま夜間も歩いてみてもいいが」
「夜間行動出来るようなスキル揃えているやつだけで、ちょっと探索するのもありか?」
「あたしは行かないよ!お化けでたらどうするんだい!」
「私も行かないの幽霊嫌いなの」
「・・・いや」
女性陣から謎の駄目を食らったので、
「じゃあ、自分一人で行ってくるよ」
「もし、あんたに何かあったら誰がご飯作るんだい!駄目だよ!」
あれも、駄目これも駄目って
「仕方ないか、夜のうちに装備を整えて、明るくなってから行動しますか
最初の解説だと元々住んでた人がいたらしいし、この小屋みたいな場所を見つけて有用な道具を手に入れようか」
「そうだね!それがいいね」
ってな事で、それぞれ思い思いに過ごし、適当に皆が集めてきたものを使えるものに変えていく。
|
|
|
翌朝
全員ガッツリ装備を整えて、探索に向かう。
因みに自分は穴あき鎧を毛皮で修復し、右肩から狼の毛皮で覆われた。ワイルドな鎧
毛皮の巻きスカート状の腰巻
皮のグローブ、指が破れていたので、いっそ切って指貫グローブになっている。
さらに、長い皮を後ろで束ねてまとめ、ロングタオルのように頭にかぶっている。
冑じゃないのは少々不安だが、まあ有り物にしては悪くは無いだろう。
そして、行く先だが皆は脱出するなら海だろうともっと下に行きたいらしいが、
冷静に周りを見渡すと、この島の中心は山のように高くなっており、寧ろここからなら山頂の方が近い気がする。
前日に川沿いを下ってしまった事が悔やまれるが、仕方ない。
また、夕方にここで落ち合う事を約束し、騎士殿と剣聖の弟子と上に向かう事にする。
一応食事の中でも多少は保つ燻製肉と小屋に並べてあった土器の壷に塩を詰め、塩漬けした山菜と野草を夜のうちに作ったので、皆に配り解散し、それぞれに探索を始める。
前日とは別ルートで山頂を目指すが、途中現れる魔物は正直弱い。装備を整えてしまった我々の敵になるような相手がいなくて、ただ無為にアイテムが増えていく。
食べ物になりそうな物や、手当てに使えそうな草などは生えている為、魔物の存在に何のメリットもなくなってきた。
でも、稀に何故か醤油を持ってたり、お酒を持ってたりするので、倒さない訳にもいかない。
途中道を外れる小道がありちょっと奥に入っていくと、あからさまな人工物がある。
祠の様だが、入れる様に扉が開いている。ちょっと迷ったが、何も手がかりないし、入ってみることにする。
正直祠って神様のいる場所のような気がして、気が引けている。
すると、奥には7マスの窪みがある台座が設置されている。
どうやらスキルセットが出来るらしい。つまり【教会】って事なのだろう。
すっごい地味な小道の粗末な祠でスキルセットなんて何人が気がつくのだろうか?
今は登り道なので念のため<登攀>をセットしておく。
各々思い思いにスキルセットしなおして、山道を登っていく。
自分は山歩きに慣れているが、二人は流石に体力的に無理があるので休憩を挟んでいく。
「隊長殿は健脚じゃのう」
「まあ、仕事が輸送隊なので、今は世界を歩きで巡る任務中だし」
「それはまた、独特な条件ですね。よっぽど移動力が高く尚且つ移動関連のクエストをクリアしてきたんでしょうね」
「そういうもんです?まあ、自分に合った任務割り振られてるんでしょうけど」
「そうですね、人それぞれ行動に合わせてクエストに出会うらしいですよ。そして色んなストーリーが隠されているらしいので、全てを見ることは出来ないようですね。
僕もまだ、そんなに長いクエストは受けたこと無いですけど。NPCの人や人型魔物に会って1:1で決闘するものが多いですね」
「わしは、よく分からんが困っている人に話しかけられることが多いから、その都度できるだけのことはしておるわい」
そんなこんな休憩を挟みつつも島の中でも最も高い場所にあと一息という所で、壁になっている。
どうやら上れるのは自分一人なので、するする登っていく。
大霊峰に比べれば何てこと無い。
そして、数畳の山頂には、ぐしゃぐしゃの大きな布とでかいバスケットがある。
広げられるだけ広げるとどうやら気球のようだ。
アイテムバッグには入れることが出来ないようなので、とりあえずそこに放置して、壁を降り、
二人と話し合う事にする。