180.楽しいサバイバル3
-コローナ&スミス-
「ああーお腹空いたよーもう歩けないよー」
「姉御、歩いてくださいよ。うちは料理できるのいないんすから。素材集めも<採掘>持ちしかいないし、我慢してくださいよ」
「やーだー!やーだー!お腹空いた!もう歩けない」
「まじで、姉御のおかげで魔物は倒せるし、うちは金属製品だけはメンテできるけど、空腹だけはヤバイっすわ。料理だけは最必須じゃねえっすか、せめて食料だけは持たせてくれてもいいのに」
「生肉こんなに拾っても、食えないんじゃ意味ないよ!こんなんなら飯作れるやつとダンジョンクリアするんだった」
「いや、姉御がいくら強いって言ったって、生産一人、探索一人、料理人一人を守ってダンジョンボスも倒すなんて無理っすよ」
「じゃあ、生産と料理が出来る生産職探して探索鍛えれば、良かったのかー」
「いや、それは無理っすよ。料理やってるやつ自体少ないのに、探索も鍛えさせようなんて我侭すぎっす。だから内の闘技場馬鹿一人探索鍛えさせたんじゃないすか」
「そりゃあそうだ・・・あっ!!逆に言えば、うちに<鍛冶>生産職がきてるって事は、皆武器もてないんじゃ!!」
「まあ、木工で棍棒とか杖っすかね。術触媒が何あるかにもよるっすけど」
「まあ、鈍器だと【教国】の連中がそれだけど、あいつら全力フルプレートで、殴りに来るタイプだから、今なら防具も無いしくっくっく」
「え?妨害するんすか?まあ、うちは対人戦仕様だし、悪い選択じゃないっすけど」
「何言ってんだい!今はご飯の話だろ!奪っちまえばいいんじゃないか」
「いや、相手も何も持って無かったらどうするんですか。しかも、食べ物の類はアイテムバッグに入れてもすぐ駄目になるし、食べてるところ襲うしかないっすよ」
「じゃあ、装備と食べ物交換してもらえばいいじゃないか!多分今回のイベントはご飯と装備が最重要になると踏んだね!あたし達が圧倒的有利!何処と鉢合わせてもご飯交渉。交渉決裂したら、装備も揃ってない相手を倒せる。完璧じゃないか」
「あっ!あの小屋なんか明かりついてるっすよ。しかもなんかいい匂い。行ってみるっすか」
-帝国お茶会-
「お腹空いたの」
「・・・うん」
「いや、嬢ちゃんたちよ。皆空いてるんだからがんばろうぜ。しかし、まあサバイバルなんだからこんな状況も予想できたんだが、まさか料理必要になるとはな。ポーの嬢ちゃんもダンジョン誘うべきだったか?」
「何言ってるの?そしたら戦闘職がほとんどいないじゃない。私が探索とってなんとかバランスとってクリアしたの」
「まあ、それはそうなんだがよ。俺が補助、ビエーラの嬢ちゃんが探索兼遠距離攻撃、んで、俺も知らなかった【古都】古参のコージァが革職人、んで近接戦闘職を嵐の岬から、この構成で一体誰が料理作れるのかって話よ」
「だけど、隊長もソタロー君もうちの旦那様も料理できるの。男なのに料理も出来ないなんて情けないの」
「どんな理屈だよ。隊長はもうどこいるんだか分からないし、ソタロー君はまだ任務中心でダンジョンはきついだろうし、カヴァリーの旦那は馬ありきだからダンジョンは断られただろ」
「でも、実際の戦闘見てるとソタロー君も旦那様も遜色ないの、料理できる男の方がいいの」
「ひでーなー。うちも最近は<簡易調理>とるやついなくは無いが、まだ少ないぜ。それにソタロー君もカヴァリーの旦那も何気に【訓練】積んでるんだからそれなりに強いぜ」
「全く【兵士】中心でやってる男は消極的過ぎるの、汎用職寄りで戦闘専門職ほどではないのは分かるけど」
「まあ、なんにしても食い物がなくて、このままだと空腹で終わる。この状況何とかしないとな」
「それはそうなの、生肉だけはあるのに。あとコージァのおかげで皮装備だけは整ってきたの。弓も手に入ったし、鏃はまだ無いけど、一応私が矢だけは作れるの」
「つまりだ。俺の回復補助、ビエーラ嬢ちゃんの遠距離攻撃、うちの連中も一応ナイフで戦える。防具はあるしな。あとは獲物を探すだけ」
「丁度私の<照準>に引っかかってる明かりのついた小屋があるの、しかも炊煙がでてるの」
「そりゃあ、飯作ってるといいな」
-三銃士-
「殺気だね」
「そうかの、魔物にでも囲まれてるのかの?一通り装備も揃ったし、わしがいこうかの」
「僕もいけますよ。皮防具は無いですが、元々軽装で避けるのが僕のスタイルですから」
「まあ、自分もようやっと丁度いい得物が手に入ったし、やれるよ」
それぞれに武器を持ち待ち構える。うちは全員近接戦闘職。距離さえ詰めればそれなりに戦えるだろう。
因みに自分は形状はチンクエデアとでも言うのか幅広のショートソード、装飾はほとんどないが。
剣聖の弟子は気持ち長めのシャムシール。
騎士殿は丸い中盾に特徴の無いロングソード、後鎧一式だ。
上から下までがっちり備えてるのは騎士殿だけ、前衛は任せよう。
扉が開いた瞬間にまず盾持ちの騎士殿が正面にいた人間をはね飛ばし、適当に周りをなぎ払う。
そして、後ろを抜け剣聖の弟子が外に出て周りの人間を牽制する。抜刀術が使えないらしいが、舞うような動きで、剣を振り回す。
続いて自分が前に出て、そのまま真っ直ぐ進めば、矢が飛んできたので切り落とす。
遠距離に気をつけながら、辺りを見渡す。思った以上に人数が多い?
「ちょっと待った!!」「皆待つの!」
女性の声が2人同時に聞こえる。
「ああい!ちょっと待った!無理無理、こりゃ無理ゲーだ。全員武器下ろせ!」
「ああん?何だお前!こいつらは俺達の獲物だぞ!横から口出すんじゃねぇ!」
なんか喧嘩を始める男二人。一人はアンデルセンか
「馬鹿!何やってんだい!アンデルセンの言うとおりだよ!武器下ろしな!」
「でも、姉御!俺がこの剣一本の地味なやつ抑えるっすよ!後は姉御に任せるっす!だって闘技場最強じゃないっすか」
「何言ってんだい!無理に決まってんだろ!最強と最強のPK相手に勝てるわけ無いだろ!一人ならまだ戦えなくも無いだろうけど二人同時で勝ち目がちょっとでもある訳無いじゃないさ!
そもそもあんたが抑えるって言ってる相手は大会で何もさせてもらえずにうちのファミリーを蹂躙したやつだよ!集団戦最強の隊長忘れたのかい?」
「え!!でも俺顔見たこと無いし、こんな地味なやつだったんすね」
拳骨で一発ガイヤに殴られる、ガイヤのパーティの男
「そうだな。流石にこの三人まとめて相手にするとか無いだろ。いくら装備品剥がされてるって言ったって、無策で戦う相手じゃない」
「そうだ!そうだよ!なんであんたらそんなにしっかり武装してるのさ!うちに金属職人いるのに」
「そんな事より隊長、私はご飯が食べたいの」
どこからともなく現れるビエーラ、今日は旦那と一緒じゃないのか。
「あっあたしも食べたい」
「いきなりだな。まあいいけど何で襲ってきたのさ?」
「お腹が空いてイライラしてやったの」
「いや、うちしかちゃんとした武装してるパーティ無いだろうから、食べ物奪おうかと思って」
「山賊か!別に普通に言えばいいのに、たいした材料ないから、ただの肉塩スープだけど食ってけば?」
「「「「さーせんしたー」」」」
皆小屋に入って行きご飯を食べに行く。
何だったんだか、急に襲い掛かってきて飯食いにいって、うーん毒でも入れておけば一網打尽だったか?
まあ、でも脱出が目的な訳だし、この先強敵がいることも考えたら手を組んでも悪くは無いか。