158.【砂国】まとめと【教国】への誘い
■ 【教国】 ■
都一つで成り立つ、小規模国家
【王国】の中心に位置する国家で、邪神との戦いを目的とする国家であり集団である。
街の中央はかつての戦いで、逝った者達の墓場となっており、鎮魂の聖堂となっている。
そしてその聖堂こそが国家の中心的行政府となっている。
実際には国民にして行政官達は国内にいる事よりも、世界の方々で活動している者が多い。
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街にはすぐに人が戻り、いつも通りの日常が戻った。
領主様や街の人には思った以上に被害の無い街の様子に感謝されたが、まあ、運が良かっただけだ。
ソヘイラ様はもう少し街に留まるとの事で、自分は【兵士】達と都へと先に戻る事にした。
蠍も出てこない砂漠は平和そのもの最早寒暖差すら楽しめる。
そして、今回手に入れたのが
〔双頭の手袋〕握力補正
腕力補正
因みに赤、青の手袋の効果は吸う右手、吐き出す左手という事だ。
見た目は手首まであるちょっと長めのグローブ手首に蛇状のベルトが付いている。
適当にそこいらにいる魔物に試してみると、吸う右手はあの蛇のようにいきなり生命力吸い尽くすと言うわけにはいかないが、
生命力と精神力を同時に吸収できる。
そして吐き出す左手は、蛇の範囲には及ぶべくも無いが、扇状に熱閃を放てる。
しかし、当然連打というわけにはいかない。一度吸収する事で一発放てる。これが条件。
吸収すると、蛇状の手袋のベルトの形状が変わる為、放てるかどうか確認できる。
正直なところ今までの装備の中でも攻撃的で、胸が高鳴る。
そうして久々に戻るアースィマ。
【兵士】達と別れ【営業所】に行けば、既に物品は売れ、お金がまた増えた。
何に使うかね~という事で、次の行き先を聞けば、
「次は【海国】で間違いないが、ちょっと待て、何だかきな臭くてな。もし時間があるなら【教会】に行ってみてくれ」
との事で、当然自分にやることなど無い。だって任務しかやらないもん。任務するからあれもやってみようかな~って気持ちになるんじゃん。
酒飲みたいしうまい物も食べたい。色々見てみたいが、それは仕事するからだよね。本当に暇になったら、やることなくなっちゃう、そんなもんだ。
という事で【教会】を訪ねる。
何故か【教会】にいる神官はいつもめがねを掛けている人ばかりだ。
「【営業所】でこちらに来るように言われたんですけど」
「こんにちは、お話は伺っていますよ。既に蛇を4匹倒されたとか。ああ、あまり警戒しないでください。蛇の件は我々にとっては重要な案件でして、情報は各地の【教会】で情報が共有されておりますので」
「蛇って【教国】ではそんな重要な位置づけなんですか?」
「聞いておられませんか?13番目の番人の事」
嗚呼、聞いたような聞いてないような、何だっけ?
「その辺りも、興味があれば【教国】にて聞いていただければ。少なくとも数名、上の者があなたに興味をもっておりますので」
「じゃあ、行ってみます。いつもお世話になってるし、悪い事にはならないですよね」
「ふふ、全ては神の御心のままに」
なんかちょっと怪しいんだよな~まあ、でも何か聞けばちゃんと教えてくれるし、過不足ないし、助かるのも事実だしな~
と言うわけで、今日は一人なので、久方ぶりにポータルを使用する。
歩いてもいいんだが、まあ、寄り道だしな、たまにはね。
都にはポータルが設置されている。
そして、指定された場所が【教国】の首都だったので、そのまま辿り着く。
というか、【教国】は都が一つしかない。
まあ、邪神と戦う集団の中心的存在って感じで、国とかそういうのは便宜上らしいしな~政治のことは分からないが。
ポータルから離れれば、結構な人だかりに、ちょっとしんどくなって、人のいないほうへいないほうへ進んでしまう。
そして、辿り着くはスラムというほどではないが、貧民街。
そんなの実物は見たこと無いが、何故分かるかというと炊き出しをやっていて、人がぞろぞろと並んでいるからだ。
まだ、配給は始まっていないのか列は動かないが、いい匂いがする。
いい匂いと言っても高級料理のいい匂いじゃない。見なくても分かる茶色いおいしい物の香り。要はおばあちゃんの味ってやつだ。
「ちょっとそこのあなた~列にちゃんと並ばないと駄目ヨ~」
と、突然話しかけられる。綺麗なタイトな白いドレスローブを着た女性だが、見た目に反して喋り方が、完全に目上の方なので、敬語で必須であると自覚する。
にしても自分はそんなお腹すいているように見えるのだろうか?
「すいません、炊き出しですかね?お邪魔しちゃいましたが、別にお腹すいているわけじゃないんです」
「あらあら、ごめんなさいね~よく見たら立派なお召し物ね~でもなんでこんなところにいるのかしら?」
「嗚呼、ちょっと人混みに酔ってしまって、人気の無いほうに来たんですがちょっと休んでいっても?」
「あらあら、それは大変ね、別に休むも何も天下の往来よ。好きになさって」
「それは、どうも」
そう言って作業を眺めていると中々手際は良いが、何故か一人で作業していて、この人数捌くのは大変そうだ。
周りには何か護衛のような人も立っているが、何故か手伝わない。
しかし、軽蔑しているとか下に見ているとか言う雰囲気ではなく、寧ろ尊敬の念はこの上なくあるが、手を出すに出せない雰囲気だ。
「嗚呼、もしあれだったら、ちょっと手伝います?自分手持ち無沙汰なんで」
「あら、いいの?私のお友達も皆手伝ってくれようとするんだけど、中々お料理だと間が合わないみたいで」
「ん~なんか大丈夫そうですけどね、手順も自分と似てるし、違う料理を隣で作る分には、量は増えて、邪魔にもならないんじゃ?」
「でも、材料はここにあるだけなのよね~もっと寄付があればいいのだけど」
「嗚呼、じゃあ、肉だけなら山ほどあるんで、なにか適当に作りますよ」
と、言う事で取り出すのは猪肉適当サイズにカット
醤油、しょうが、ニンニクでもみこむ、やっぱりジビエだから臭みがあるからな~
そして、蒸留酒につけて置いておく
近くにあった樽を使っていいというので、安い適当な蒸留酒だ。
もみこんだ物から樽にぶっこむ。
臭みが抜けるまで、適当においておいて、その間に片栗粉と鍋に油を用意する。
女性の方はとにかく腹を満たせて沢山の人数に配れる汁物なので、自分はガツンとから揚げだ。
女性の方の作っている汁物が煮えて来る頃を見計らって、ガンガン揚げ始める。
本当は途中で油を変えたほうがいいんだろうが、まあ、ゲームだしでガンガン揚げ続ける。
なんか、集中して揚げ続けたが、元々自分は100人分食事作るなど当たり前
集中さえすれば、なんということも無く、揚げ続け、渡された皿にガンガン盛り付けて、渡す。
【兵士】でこそ無いが、配給慣れした人達は、順番を守りスムーズに受け取っていく。
どれだけたったか、列が終わると
「あら、本当に手際が良いわね~助かったわ~ところで、こちらにはどんなご用件で?あまり見ないお召し物だけど」
と聞かれるので
「いや、なんか旅の途中で、こっちに寄って欲しいと言われまして、何でも【教会】の神官さんの上の人が自分に会いたいとか」
「あら~何かしらね~何の用事とか聞いてらっしゃる?」
「蛇と13番目の番人の話らしいですよ」
「あらあら、そうなの、じゃあ多分都の中央ね~人混み難儀だろうけど、私もそちらに向かうから、私の少し後に向かえば、いくらか空くわよ~」
そういって、仲間と共に片付けて撤収する女性。
なんだか、よく分からないが、少ししてから、様子を見て中央に向かう事にする。
因みに猪肉のから揚げは、結構評判が良かったので、満足である。




