157.タッグバトル
■ 粧印術 ■
通常はステータス補強の術である。
文様が描かれてる場所を露出する事が条件である。
ただし、術士当人は文様やそれを描いた部位によって使用したいタイミングで文様に精神力を込める事で、別の効果も発揮できる。
////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
オアシスから出ると、ずるずると這いずり寄ってくる蛇。
余裕を見せているのか体を高く立てて上から見下ろすようにこちらを睥睨している。
程よい間合いで、止まり頭を下げ、両方の頭を交互に揺らし、どちらで攻撃してくるか惑わせてくる。
最大限まで警戒を高めていると
月占術 三日月の碇
唐突に夜になり、頭上から三日月が降ってくる。
そして三日月が蛇の両首にかかり地面に固定する。
「お待たせしました隊長様、どうやら状態異常のようですね」
とソヘイラ様が街の方から現れてカードを一枚掲げる。
秘札術 カップA
自分の頭上に大きな青い飾りグラスが現れて、傾き、滝のように流れてくる水が頭からぶっかかる。
随分乱暴だが、火傷が治っている。
蛇は暴れているが、まだ拘束は解けそうに無いので、今の内に回復薬を塗ったバンテージを巻く。
これで、液、丸薬、膏薬と使用したので、クールタイムが終わるまで、ダメージを最低限に抑えねばならない。
そうして、蛇の拘束が解けるとそのままソヘイラ様にターゲットを変える蛇。
そりゃそうだ。自分はまだ一撃しか当ててない。
自分に尻尾を向けたところで、尻尾の先の細い部分を突き刺し、地面に縫い付ける。
軽くこちらを振り返り、一睨みすると強引に尻尾を引き抜いて、そのまま尻尾で、攻撃してくるが、今度は待ってましたとばかりのブロック。
そして硬直したところを
擒拿術 猿捕茨
硬直延長する。
とりあえず、そのまま背中を攻撃していく。
そして、蛇の硬直を確認したソヘイラ様もまたカードを一枚掲げる
秘札術 ワンド2
杖がソヘイラ様の両側に一本づつ現れる。
もう一枚カードを引き、左の杖に掛けると
秘札術 ソード6
剣が6本現れ杖の周りに待機する。
さらに、胸の前に両手を組み祈るように目を閉じる
<集中> 術広域化
ソヘイラ様の足元からエフェクトが立ち上る。
これは邪魔させちゃいかんと、蛇とソヘイラ様の間に入ったところで、蛇が動き出す。
赤黒い頭が息を吸い込み始めるモーションに自分とソヘイラ様を同時に攻撃しようという意図を察し、すぐさまジャンプする。
ただ、鎌首をもたげた状態の蛇の頭にそう簡単に届くわけもなく、羽蛇の靴に精神力を込め、もう一歩飛び、赤黒い頭の口の中の舌を切る。
相当いやだったのか、『シュャァァァ』と一声鳴き、頭を思いっきり振りながら逃げる。
しかし、青黒い頭には痛覚が共有されていないのか、左からこちらに食いついてくる。
これには左手の蠍のハサミで対応する。
大きく開けた口をハサミで強引に閉じ、掴み状態にするが、そのまま青黒い頭に振り回され、地面に叩きつけられ、一瞬息が詰まると同時に掴みが、外れる。
しかし、ソヘイラ様も準備が整ったのか、
氷精術 FzB
今のは確か武器に氷精の加護をつけるっていう、まあ要は属性付与系術だった筈。
右の杖が青白く発光する。
そして左右の杖から術が放出されると6本の剣に氷精の加護が付与され、蛇に襲い掛かる。
「アイシクルダンス」
何かソヘイラ様のキメ技なのかな?めっちゃきまってる。
蛇の周囲を巡り、斬り付ける剣。
しかし、数回切ると役目を終えて一本づつ消えていく。
<瞑想> 精神癒
ソヘイラ様は腰の横辺りで手のひらを空に向けるようにして目を閉じているが、今度は違うエフェクトが出ている。
そして、剣を追いかけていた蛇が、落ち着き再びこちらを見て、体を捻り始め、体を限界まで縮める蛇。
絶対飛んでくるつもりだが、避けるとソヘイラ様に当たってしまう。
覚悟を決め、まず地面に剣を刺し、
氷剣術 霜界
これでいくらかスピード下がった所をブロックしようと両足を広く構える。
案の定こちらに高速で体当たりしてくる蛇、ブロックするが吹っ飛ばされ、硬直は発生しない。
しかし、霜界にかかって動きが遅くなる蛇、すぐさま体勢を立て直し、蛇の攻撃を避けながら斬れるだけ、斬り付ける。
霜界が消える。ソヘイラ様も一段落したようだ。
また、赤黒い頭が息を吸い込みはじめたので、ジャンプして対応しようとすると今度は青黒い頭が邪魔するように動く。
さっきのように後手に回るのではなく完全に赤黒い頭を守りに入っている。
近づくに近づけずにいると準備が整い、赤黒い頭が熱線を吹き出すモーションと同時に、無理やり蛇の懐に飛び込みソヘイラ様を振り返る。
粧印術 ミラージュステップ
残像を残し、あっという間に蛇のサイドに回るソヘイラ様。脚に刻まれた文様が銀に輝いて燐粉のようなエフェクトを撒き散らす。
いざという時は避けられたのね、流石。と思っていると無人の場所に強い光を伴う熱線を吐き出す赤黒い蛇。
なんていうか食らわずに観察すると熱閃て感じだな。
などと思っていると青黒い頭が襲い掛かってくるが、赤がまだ吐き出しモーションから動けなければ、そこまで動きに翻弄されると言うものでもない。
落ち着いて大きく広げた口の中の舌を斬れば、仰け反って逃げる青黒い頭。
現状分かっている弱点は口の中の舌だけだ。
「隊長様。少々時間を稼いでいただけますか?」
秘札術 ソードA
剣が一本自分の頭上に現れ、そのまま自分のショートソードに吸い込まれると、発光するエフェクトが発生する。
そしてソヘイラ様は何か大技の準備だろうか両手にカードセットを掲げるとカードが光り、浮き上がる。
そのまま、円形に広がりソヘイラ様の周りを周り始める。
蛇は両の頭で、交互に自分を攻撃してくる。
折角剣に補助を貰ったので何とか攻撃したいが、避けるので精一杯だ。
せめて、舌を切り付けたいが、まだ舌が復活しない。
まあ、自分を狙っているうちは仕方ないか、囮役を務める。
「隊長様。一瞬でいいので蛇の動きを止めてください」
そう言われたので、久しぶりの
<威圧>
殺気を飛ばし、本当に一瞬動きが止まる蛇
秘札術 塔
突然空が曇り、蛇の後ろに縦に長い建物の映像が現れ、その建物諸共空から降る雷に打たれ、崩れる建物、崩れ落ちる蛇
地面スレスレで息絶え絶えの両頭に魔石が浮き出したところで、宝剣で一薙ぎに二つの魔石を斬る。
そこで、いつものファンファーレが頭の中で鳴り響く。
クエスト発見者
ラストアタック
の二つを貰える様だ。正直ほとんどソヘイラ様が倒したようなものなんだが。
一つはいつものメダル、勲章のグレードアップだ。また手の上からスゥッと消える。
もう一つは一双の手袋右手が暗い青、左手が暗い赤だ。まさに二つの頭を現してるようだ。
いや、まあ、しかし本当にソヘイラ様がいなかったらどうなってた事やら。
ていうか強すぎだろう。
ちょっとそこいらのプレイヤー辺りを雑魚扱いしてたけど、自分もまだまだ全然だな。