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151.巣蠍第2形態

 ■ 蠍毒 ■


 現実では致死性の毒を持つ種は少ないが、

 本ゲームにおいては毒と言うデバフが存在する為、非常に危険である。

 しかし、<調薬>等のスキルで、毒としてだけではなく、

 状態異常回復薬の材料にも使われる。


////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


 この手のボスにしては、間に大群を入れてくるいやらしさ。


 次の動きを観察しているのだが、中々動かない。


 ただ、さっきまで真っ黒だと思っていたのだが、妙に緑がかってきている様に見える。


 すると、地面から三体のユニオン級サイズの蠍。


 しかし今までの蠍は砂に同化するような黄色い茶色、黄土色?のような汚い色だったが、


 こいつらは、茹ったような赤。


 そう長い尻尾さえなければ、茹でたロブスターだ。


 動かない大蠍を一先ず置いて、赤蠍に集中する。


 色が違うということは多分行動パターンも変わってくるのだろうと思いつつ、観察していると


 正面と左右に分かれて、向かってくる。


 あわせて、自分を先頭に斜めに広がる用に楔型隊列を組む。


 正面の一匹にまず集中する。左右は一旦それぞれに任せ、とにかく無理をしないように指示を出す。


 まずは、お決まりの尻尾の毒針による攻撃を避ける。


 もう何度も見てきたそれを余裕を持ってかわし、すかさず横に回りこみ体を支える細い脚を斬りつける。


 周り込まれた事を嫌ったのか、前足のハサミを振り回すようにこちらを向くが、転がって避ける。


 足場の悪い砂漠は下手なステップより、転がってしまった方が短距離はすばやく動ける。


 【帝国】の雪に鍛えられた、足場の悪い場所での回避能力はここではかなり有利に働く。


 両ハサミの間に自分を捕捉し、照準を定めたらしい赤蠍。


 いっそハサミの間を抜け、口に剣をつっこんでみる。


 と、同時に火を吹く蠍。


 完全に直撃し、体に引火する。


 すぐさま転がりながら距離を取り、火を消すが、火傷のデバフが出ている。

 

 しかし、赤蠍と対峙してる現状で、薬も使えず、じわじわと火傷ダメージが積み重なっていく。


 チラッと周りを見れば、何人かやはり火にやられているが、火傷した者は下げて治療している。


 自分も何とかして治療する為、ペースを上げていく、今度は強引に赤蠍の横に回りこみガンガン細い足を切り付ける。


 時折ハサミを振り回してくるが、只管横に回り、片方の細い足ばかり切っていると


 横倒しになる赤蠍。


 すぐに距離を取り、火傷の治療を行う。バンテージに火傷用の軟膏を塗り、体に巻きつける。


 減った分の生命力を取り戻す為に、丸薬も飲む。


 今度はじわじわと回復していく。


 そうしているうちに、再び立ち上がる赤蠍。


 しかしすぐには動き出さない為、強引に横から背中に登ってみる。


 前から気になっていたが、蠍の背中には目があるのだ。


 普通の魔物サイズだと急所になる為、そこを狙ってみる。


 背中に辿りつけば、やはり真っ黒な目がある。


氷剣術 凍牙


 思い切り目に剣を突きたてれば、鋏を持ち上げ、振動する赤蠍。


 連続で、もう一個の目も潰す。


 その途端、尻尾が横薙ぎに向かってきた為、大慌てで背中から飛び降りる。


 そしてそのまま、その場で暴れる赤蠍、少し放っておこうと【兵士】達20人で、当たるように指示し任せる。


 その後残り二体も同様に背中を氷剣術で、突けば、苦しんで暴れまわる。


 しかし、ただ暴れるのみで、攻撃してくるわけではない。いっそ仲間同士で殴りあい始めた。


 いっそ全軍でその場を離れ、大蠍に横から対峙する。


 先程よりも緑が深まったような、大蠍 


 尻尾まで力が抜け、地面に完全に突っ伏したままの大蠍。


 少し近づいていってみると脈動する大蠍。


 どくどくと緑色の液体が体の内を流れるのが見て取れる。


 そして黒かった表皮がだんだん白っぽい透明に、表皮の一枚下が緑の液体で満たされていく。


 まるで、ゴムの玩具のような色になると力を取り戻したかのように尻尾を掲げる大蠍。


 こちらに体の向きを変えると体の下部の辺りから一帯に緑のガスが吹き漏れる。


 全軍に毒のデバフがかかる。


 回避不能の毒攻撃のようだ。


 全身が気だるく、尚且つ生命力がじわじわ減り始める。


 そして、大蠍の攻勢が始まる。

 掲げた尻尾でランダム突き

 毒液ばら撒き攻撃

 スピン攻撃

 タックル攻撃、しかも一回ではなく方向を変える三回連続タックルに隊列を完全にばらばらにされる。


 もう、なりふり構っていられない。


 全員を治療している暇は無いだろう。


 「『行くぞ!』『死中に活を拾え』」


戦陣術 激励

戦陣術 背水の陣


 「副長頼んだ。無理やりにでも決めよう」


 「分かった、全軍『さらめかす白砂に己を弔え』」


 いや、だからなんかかっこいいんだが?


 一気に全軍のステータスが上がるが、急速に士気が下がっていく。

 さらに我を忘れ真っ直ぐ大蠍に向かう【兵士】達。

 無心に防御も無く、特攻する。


 完全になりふり構わず、全軍が攻撃に転じ、


 大ダメージを受けるどころか、やられて倒れる者も少なくないが、退避させる余裕も無く、


 寧ろ周りを見ることすら忘れ、ただただ攻撃を繰り返す。


 攻撃、攻撃、攻撃である。


 そして、一瞬の隙をみつけ、上がったステータスに任せ強引に背中に登り、背中の両目を潰す。


 暴れ始める大蠍に、強引に近づいても跳ね飛ばされる【兵士】達。


 自分は広い背中にしがみついていると、いつの間にか尻尾の毒針付け根の膨らみから魔石が露出している。


 四つんばいで背中を移動しながら、尻尾の根元に辿り着く。


 尻尾根元にしがみついて、尻尾の先を見つめ続ける。


 さっきのユニオン級の動きを思い出しながら、眺めていると


 背中に取り付いた自分を振り落とす為に背中ギリギリを尻尾でなぎ払う、


 剣を腰溜めに構え、向かってくる尻尾の魔石部に剣を突きたてる。


 向かってくる尻尾に正対していた自分は吹っ飛ばされるが、


 剣が魔石に刺さり、動きを止め、完全に力尽きる大蠍。


 頭の中にいつものファンファーレが鳴る。


 クエスト発見者

 ラストアタック

 部位破壊


 の三つだ。


 一つはメダル、勲章のグレードアップだろう。手の上ですぐに消えた。


 もう一つはなんか赤い玉だ。何に使うのだろうか。


 後は蠍のハサミだ。これもどうやって使うんだかな?


 まあ、また誰かに聞くとしますか。

 

 しかし、またギリギリだったが、NPCと一緒に挑むレギオンボス強くなってない?それとも相性の問題か?


 まあ、何はともあれ、難所を越えたか。

 

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― 新着の感想 ―
[一言]  さすがに、大蠍クラスになるとボス扱いでアイテムも手に入る訳です。……正直砂漠の蠍のアイテムが役に立つかは疑問ですが。  イベントでことごとく帝国が勝利しているとなると、他の国のプレイヤーか…
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