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150.ウッシュアルクラブ

 ■ 巣蠍(ウッシュアルクラブ) ■


 【砂国】奥地、砂漠地帯に巣を作る大蠍

 その地域では他の魔物は生息できない。

 サンドスコーピオン達を倒していると徐々に大きな個体が現れ、

 最後には母体である巣蠍が現れる。

 

 触らぬ神に祟りなしと言いたいところだが、放置しすぎれば、蠍の生存圏が増えすぎてしまうため、定期的な討伐が必要となる。


////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


 見通しの良くなった砂漠のど真ん中から出てくるのは、明らかにレギオンボスと分かるサイズの黒い蠍、


 正面から対峙する。


 まず、攻撃パターンはまだ分からないが、これまでの蠍達の動きの一切を踏襲していないなんてことは無いだろう。


 そうすると、前衛を立てて防御役にするのは、タックルで戦線を一瞬で崩されるだろう。

 また、密度の高い陣形では上から尻尾でついてくる攻撃に対して、避けるだけのスペースを得られない。

 更にスピン攻撃に対しては、相当シビアになると読める。範囲がかなり広いため、尻尾を伸ばすまでのモーション中にどこまで逃げられるかの勝負になる。


 と言うわけで、今回は陣形を組まない。


 「『行くぞ!』」


戦陣術 激励

戦陣術 戦線維持


 まずはスタンダードな術で様子を見る。


 ゆっくり前足のハサミを持ち上げる大蠍、頭上まで持ち上げると一気に振り下ろし地面を叩く。


 すると砂が波となり蠍を中心に広がる。


 避ける事も出来ず、踏ん張る事も出来ず、あっという間に吹き飛ばされる自軍。


 隊列を組んで無かったとは言え、初手でばらばらにされる。


 それぞれに立ち上がり、大蠍に向かっていく。どうやらいきなり即死と言うことは無かったようだが、いきなり予想外の攻撃だ。


 次は、掲げている尻尾をより高く伸ばしているように見える。


 これは十中八九、振り下ろしのピンポイント攻撃と見て、


 「全員頭上注意!避けろよ!」


 と指示を出し、自分も大蠍の尻尾に注視していると、今回の狙いは自分らしい、


 自分に向かって振ってくる、大蠍の尻尾と毒針


 頭上を見ながら、落ちる地点を見極めて、横に飛び転がりながら避ける。 


 衝撃が体に当たり予定より転がるが、ノーダメージだ。


 今のところ一個一個のモーションが大きい為、狙われた時は避ける事に専念し、その間に他の人間で攻撃する。

 

 自分が避けることに集中している間も距離を詰め、攻撃を始める【兵士】達


 自分も、避けた後はすぐに距離をつめ正面から対峙する。


 すると自分より先に正面から攻撃していた、剣持ちの【兵士】がハサミに掴まったので、掴んだハサミを攻撃する。


氷剣術 凍牙


 極力攻撃時は常時発動にし、只管片方のハサミを攻撃している内に、【兵士】を手放す大蠍。


 再び尻尾を高く伸ばし始める大蠍、上に集中しつつも、折角なので、片方のハサミばっかり殴り続けてみる。


 すると、尻尾の先の毒針を地面に突き立てるが、


 一発ではない、周囲をランダムに5箇所ほど連続で突き、【兵士】達を吹きとばす。


 直撃を食らった者は大ダメージになったので、すぐに後ろに下げ、回復に専念させる。


 そして、自分の執拗な攻撃が功を奏したのか、片方のハサミが破壊できた。


 破壊と同時に、声にならぬ叫びを上げ、足も尻尾も伸び、まるで痛みに全身が引きつっているかのモーションとダメージの無い衝撃


 「『行くぞ!』」


戦陣術 激励


 衝撃の感触から反射的に士気を高め、相手の士気低下攻撃を中和する。


 落ち着くと今度は逆に地面に伏せる大蠍、体を小刻みに揺らすと、背中からわらわらと出てくる、小さな蠍。


 小さなと言っても、通常のフィールド魔物サイズだ。


 「集まれ!横隊だ!」


 すぐに号令をかけ、隊列を組む。今回は隊列を組まないつもりだったが、敵の数が数だ。


 レギオンボス用のかなり広く取られたフィールドに敷き詰められていく蠍


 本当にぞろぞろわらわら現れる蠍の大群に気持ち悪くなるが、横隊を組む。


 大蠍から出切ると、こちらを全方向から囲んでくる蠍達。100匹を下回ることは無いだろう。


 元々前衛も後衛も役割分担も無いのだ。真四角に組み、


戦陣術 方陣


 移動は遅くなるが、攻撃防御共に上がる陣形だ。この陣形で当分は蠍達と渡り合う。


 外側に近接武器の【兵士】、一個内側に槍持ち、更に内側に弓持ち、重傷者は一番内側に引き込んで回復させる。


 相手も固く中々状況が傾かず、気持ちが焦るが、大蠍は今のところ動きが無い。


 「なあ、隊長。ここは我々が術を使って状況を打破しようか?」


 「へ?術使えたの?だって術士に対して肉体労働の【兵士】が活躍できない習慣の筈じゃ」


 「術が使えないわけじゃない。隊長や【帝国】の【兵士】も術は使うだろう。ただ術の専門ではないと言うだけだ」


 「そう、じゃあ、使ってもらえる?もう少し早く言って欲しかったけど」


 「そうか?じゃあ全軍『纏え紅き砂の風』」


 「え?なんかかっこいい」


 すると砂漠とは思えぬ寒気のする風が吹き抜ける。冷たいという訳ではなく、悪寒のする風だ。


 そして風が砂を巻き上げ、視界を悪くする。


 そんな中、徐々に蠍の駆逐スピードを上げていく、剣の振り、槍の突き、棍棒の破壊力、矢の貫通力のどれもが上がっているように見える。


 随分と余裕が出来たので様子を見ていると・・・結構な勢いで、士気を消費している!


 「『行くぞ!』」


戦陣術 激励


 「大分戦力はこちらに傾いたし、一旦止めようか?」

 

 「分かった」


 そういって、風がやむと蠍の大半は倒していた。

 この蠍達はドロップをしないらしく、倒すたびに光の粒子に変わる。


 そして、また片方だけになったハサミを高く掲げる大蠍、


 「全員密集隊形!」


 すぐに号令をかけ、集合する。


戦陣術 岩陣


 砂のうねり、大蠍を中心とした波を今度は完全防御の陣形で、迎え撃つ。


 何とか飛ばされず、寧ろ一塊で、少し押し流されたが、今度はばらばらにならずに、耐えた。


 残った蠍はどこかに消え、また大蠍と対峙する。 

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