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149.【砂国】蠍の巣

 ■ 蠍の巣 ■


 【砂国】の【兵士】が多人数を率いる指揮官になる際の試練の地とされている。

 通常なら夜行性であることの多い蠍だが、それは天敵から隠れる為と言われている。

 しかしこの地では、一種の蠍が幅を利かせ、敵もいないため、日中に行動している。


////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////



 その後、蠍が頻繁に現れる。


 手に入るのは[蠍の甲殻][蠍の尻尾][蠍の毒][蠍のハサミ]。


 こんなんばっかり増えていく。


 そして、出てくるユニオンボス級蠍。


 先に部隊編成した20人で、かかる。

 

 攻撃パターンは尻尾を突きたててくる一撃。サイズが大きいだけあって、頭上から突き立ててくるので、影の動きを要注意だ。


 そして、体当たり。ハサミを前に出し、頭を守るように構え突撃してくる。

 パーティボス級までなら、自分のブロックでも防げたが、流石にユニオン級ともなると、大きなノックバックがある。


 さらに、ハサミによる掴み攻撃、掴まれると行動不能になる為、避けるしかない。最大二人まで捕まり、行動不能者が出る。


 一番注意しなければならないのが、毒液飛ばし。

 広範囲に振りまかれる毒液尻尾の先から飛んでくる緑の毒液を避ける。


 避けそこなった仲間を急いで回復する。


 この状況を分かっていたのかのように用意されている大量の毒消しを使用し、回復させ戦線に戻す。


 また、蠍を囲み攻撃していれば、高く掲げていた尻尾をゆっくり下ろし、伸ばし始める。


 すぐに全体に合図を出し、離れると

 

 尻尾を地面スレスレで止めて、その場でスピンする。


 尻尾の長さの分広範囲を吹き飛ばす。


 が、その攻撃パターンも読めている為、余裕を持ってかわし、スピン後の尻尾を元のように高く掲げるモーションの間に距離をつめて、また囲んで、殴りまくる。


 因みに、普段なら魔物相手の攻撃ではあまり役にたたない自分だが、蠍に対しては俄然有利だ。


 <氷剣術>を使用するだけで、高ダメージ及びデバフを与えることが出来る。


 そうして、ユニオン級の蠍もあっさり光の粒子に変える。


 また、移動用に隊列を戻し、出発する。流石に【兵士】達はきびきび動いてあっという間に行軍に移れる。


 「しかし、一応ユニオンボス級にも警戒はしていたけど、何にも特典落とさないって事はやっぱりボスじゃないんだね」


 「ああ、ここいらは蠍の巣だからな、あのサイズの蠍も普通の魔物だな」


 「え?嗚呼、道理で蠍ばっかりやたら出ると思ったよ」


 「まあ、難所の一つだな。次々と蠍に襲いかかられて、消耗し、朝晩の気温差で消耗していく。でも、今回は隊長がいるからそこまででもないな」


 「そういうものかね?結構大変な気もするけど」


 「いや、なんだかんだこの気温差に隊長は平気のようだし、十分な食料や物資。氷精術まであれば、大分楽だ。蠍もなんだかんだ、明るい内しか出てこないだろ?」


 「そうだね、そのせいで<索眼>じゃ見つからないから、奇襲の度に心臓に悪いよ」


 「あいつらは寒いのに弱いから、夜は出てこないな。寧ろ蠍の巣のおかげで、他の魔物がいない分夜の行軍がはかどっているだろう?」


 「そういやそうだな。痛し痒しか」


 「ああ、後一個あのサイズの蠍もただの魔物扱いだから、あえて20人で挑む必要は無いぞ」


 「なあ、じゃあ、何故部隊編成した時言わないの?」


 「いや、20人で挑むほうが被害が少ないからな、別に駄目だと言っているわけじゃない。ただうまい事【兵士】達をローテーションさせる事で、より被害が少なく戦える。

 更に言うとここから先は2匹同時にも出てくるようになるから、二方面同時指揮の必要も出るからな」


 「え?早く言ってよ。心の準備出来て無いじゃん。しかも<氷剣術>自分しか使えないんだから一方面しか、対応できないじゃん」


 「そうだな、だから、今言ったので、注意して当たってくれ」


 とまあ、今更ながら自分が蠍の巣にいることを知る。まあ、ここを通らなければ、宝樹に会えないのなら仕方ない。


 やっぱり砂漠の魔物に<氷精術>を使えるソヘイラ様の誘い断らなければ良かったか?


 しかし、あの輿を担ぎながら行軍されたんじゃ、このスピードで移動できないかもしれないし、まあ仕方ないか。


 その後も明るい内は蠍に対応し、夜はぐんぐん進む。


 ぐんぐんと言っても、気温は異常なほど低い【帝国】の行軍になれた自分はもっと進みたいが、全体の状態を見れば、適宜休憩も必要だ。

 明るくなったらまた、戦わねばならない。


 ついに、ユニオン級と二匹同時で戦う時が来たが、ここからは<戦陣術>も駆使して、自分がいる側は囲んで、一気に倒す。


 もう一方は蠍と対峙するように布陣させ、ダメージを受けた前線の【兵士】をローテーションさせていき、時間を稼ぐ。


 自分が戦線に入れ次第、囲み倒す。


 そうやって、10匹もユニオン級を倒した頃、副長が不穏な事を言う


 「そろそろか・・・」


 「いや、何かっこつけて、怪しげな事言ってるの?」


 「いや、出なければその方がいいがな。この辺りは砂漠で大人数を率いる者の試練の地となっているからな」


 「試練の地って・・・嗚呼そういうことか。教えてくれるんだそういうの」


 「前に、事前に言ってくれって、言ってただろう」


 「でも【砂国】の中隊長ってこんな苛酷な地まで来なきゃなんないの?大変だな」


 「いや、蠍の巣の境目にあった枯れたオアシスを拠点に蠍を狩り続ける形になるな。10匹も20人で対応するサイズの蠍を倒すと出てくるんだ。この辺りの本当のボスがな」


 「え?もう出ちゃうじゃん?もう少し早く言ってよ」


 「だから、言ったじゃないか」


 急に地面が揺れだす。

 砂漠の砂が揺れ動き周辺が平坦になる。まるで、平らな容器に入れられ、揺らされ均されているかのようだ。


 一気に見通しが良くなる砂漠。


 平面の一部が、砂を引き込み始める。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 副長!!笑 良いキャラしてますね(*′艸`) 副長との会話好きです(`・ω・´)
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