146.男の命題
■ 秘札術 ■
タロットモチーフの術
自分で札を作成する必要がある為生産職としての技量も求められる。
大アルカナ及びソード、カップ、コイン、ワンドで成り立つ
生産コストとしてどうしても大アルカナの方が高くなりがちである。
引くカードは状況や引く本人に合う物が自然と選ばれる。
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【兵舎】からでれば、御神輿?いや普通に輿かな?
人が担げるような棒が伸び、その上に人が乗れるようなベールのかかった屋形が付いている。そしてその周りに取り巻きらしき連中がわらわらといる。
今は地面に下ろされている。輿の横に立つ術士らしき服装の男が自分を呼び出したのだろう。また偉そうに話しかけてくる。
「おい!お前が【帝国】から来た客人か?遅いぞ!ソヘイラ様を待たせるなんて何様のつもりだ?これからは呼び出されたら駆け足だ!そして頭が高いぞ!」
あ?なんだこいつ
「おい!何とか言ったらどうだ!【帝国】なんぞの過疎地にいるから、動きも頭の巡りも遅いのか?田舎者が!だらだらと鈍間と頓馬が一番嫌いなんだよ」
まじで何様だこいつ、俺から見たらお前こそだらだらとしかも体幹もブレブレだぞ・・・・
「おやめなさい」と輿の中から声が聞こえる。
ベールが上がり、大きな傘のような日よけを持ちスタンバイする屈強そうな体の男、
中から出てくるのは、たおやかな女性。薄絹の露出の多い服を着た女性。胸に包容力を感じさせるが、見ないのが紳士。
寧ろそんな格好じゃ、火傷するぞ?例えじゃなくて、本当に日光で焼かれて火傷デバフが出かねない。
「申し訳ございません。お客人に頼みがあります」
「断る。帰れ」
「おい!お前!どういうつもりだ!ソヘイラ様からのお願いなど命がけで聞くのがあたりまえだ!むしろ、ありがたき幸せと言って受けるのが筋であろう!」
「勝手にしろ。目障りだから帰れ」
「申し訳ございません、連れのものには後で良く言っておきますので、お話だけでも聞いていただくことは出来ませんか?」
「そいつに頼め。帰れ」
「隊長殿は砂漠の奥地に向かわれるとうかがっております。そこは私の故郷なのです。しかし苛酷な環境ゆえ、そうそう簡単に帰る事の出来ぬ土地です。どうか私も連れて行ってはいただけませぬか?」
ん?このNPCを連れて行くフラグか?
「連れて行くって言ったって、自分でも言っている通りの苛酷な環境をどうやって移動するのさ?その見た目で、実は砂漠歩きは得意って事?」
「馬鹿か?お前、ソヘイラ様を歩かせる等そのような不敬な事言って良い事と悪いことがあるぞ!当然輿で・・・・」
「帰れ」
「ただでとは申しません。聞いたところでは【兵士】達と向かわれるとか、私を連れてくだされば、十分な資金を用意できますし、砂漠の魔物に特効の術が使用可能です。
幼い頃【帝国】で過ごしておりましたが故、この国では珍しい精霊術を使えますので」
つまり、【術士】(おっぱい)か【兵士】(筋肉)か選べってか?
・・・・ん?幼い頃【帝国】に住んでて、宝樹のある土地の出身????
「もしかして、自分の目的地のこと母親から聞きました?」
「ええ、邪魔になるからやめるように言われましたが、私は十分にお力になれるかと、ただ体力的な問題で、歩き続けることが難しいですがそこは補ってくれる者がおりますので」
「ふん!今更か!ソヘイラ様はただ美しいだけではない!由緒正しいお家柄の生まれから来るこの気品にすぐに気がつかぬとは!」
うん、こいつまじで何なんだろう。逆に冷静になれるな、どう考えたって安定の筋肉だろう。
「でも、母親にはやめて置くように言われたんですよね? じゃあ、親の言うことは聞いたほうがいい。それじゃ」
「いえ、私は必ずお役にたてる筈です。何卒・・・・」
ぐっ、か弱き女性アピールか。しかし、自分は騙されない。
「ねえ、軍資金ギリギリって言ってたけど、どれ位なの?」とさっきの【兵舎】の男に聞く
「そうだな金貨10枚か20枚かって所だろうな」
「そんな金額では何かあれば立ち往生です。私なら十分な資金をご用意いたします」
あまい、物欲じゃ自分は動かないぞ。しくじったな?
「じゃあ、これ使ってよ。後から無駄遣いだ何だいう気は無いから、あと肉だけは腐らせるほどあるから」と言って、金貨100枚を渡す。
「あの、任務だと言うのに自腹を切らずとも・・・・しかし、私の術があれば、魔物との戦いはかなり有利に」
「氷精術でしょ?自分がどこから来たか知ってるんだよね?【帝国】の【特務上級士官】が使えないと思ってるの?」
「くっ、しかし私は幼い頃に故郷を出てしまったので、見てみたいのです。どうか」
「体鍛えなよ。行軍を舐めない方がいい。どんな環境でも死なないギリギリのペースを保ちながら、体を切り刻むような寒気もただの幻覚だと言い聞かせ、自分の事すら保てるかどうかの環境で仲間と助け合う。もし辛い辛いと思えるならまだ思考できる余裕がある証拠。寧ろそれを喜びながら歩き続けられるだけの気力体力が無いなら、本当に止めておきな」
ふう、自分を甘く見たな、自分は大きさを比べて貴賎をつけるような真似をしない。慎ましやかさも包容力もそれぞれに同様に価値を感じてこその紳士である。
「お前!!!先程からこちらが下手に出ていればつけあがりやがって!!!」
お前がいつ下手に出たよ。
そんな事を思っていると偉そうな男がカードを一枚取り出し掲げると
剣が三本空中に現れ自分に襲い掛かる
最初に飛んできた一本目をブロックする
「これはPKだな?そうだよな」
つまり、男の方はプレイヤーだ。思わずにやりとしてしまう。
もう二本が挟み撃ちに飛んでくるが、遅すぎる。
間を抜け、一瞬で剣を抜き、偉そうなアホに抜き打ちで切りかかる。
杖を盾にする気なのか持ち上げるが、遅すぎる。
「オセエヨ、ノロマ、カタツムリかなんかか?」
と言って、首を斬りつければ急所判定で、硬直する。
そのまま適当に切りまくれば、また動きだすので、後ろに回りこみながら、髪を掴み後頭部を貫くとまた硬直
そのまま膝の裏を蹴り跪かせて、髪を引き顔を空に向け、開いた口に剣を突きこみ、かき混ぜれば、光の粒子に変わる。
「雑魚だな。虎の威を借る狐か? どいつだ虎は?」
周りの取り巻きどもを見るが、どいつもこいつも冴えないやつらばかり、剣を納めて【兵士】の男に声をかける。
「準備はいつ頃出来る?」
「数日中には」
ざわざわと取り巻き共が騒がしい場所を後にする
「(おい、今何やってた? 速すぎるだろ? 最強のPK並みじゃないか?)」
「(いや剣聖の弟子はスキルで瞬間移動してるだろ? 今のは明らかに足で移動してたぞ)」
「(いやそれも、スキルだろ? じゃ無きゃ、速すぎるぞあれ。あの動きを並の人間が反応できるのかよ)」
「(しかもいくら速いからってうちのT.O.が何もさせてもらえないってなんなんだよ?)」
「(術士なんだから、近寄られたら弱いとかそういう・・・)」
「(そんな状況も対応できるから、俺たちの頭はってるんだろ? 何者だあいつ明らかに異常だぞ)」
普段なら人気の少ない【兵舎】に珍しい騒がしさがなかなか終わりを見せない。
久しぶりに、後書きを書きます。
はじめは主人公のイライラだけを書いていたのですが、あまりにもストレスな回になってしまったので、ドスケベも出してみました。
なんかがちゃがちゃしてたらごめんなさい。
あとT.O.はトップオタク ソヘイラ様推しクランの代表です。