145.【砂国】の都
■ リザードマン ■
爬虫類型の人種
体格、力、体力に優れ、精神も安定している為、戦闘に適正が非常に高く
水場、泥濘、砂漠、乾燥地帯と環境適正も高い
ただ、気温が下がると強制的に眠り状態に陥るという完全な弱点を克服できない。
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【砂国】の都『アースゥイマ』
巨大なオアシスを中心とした都だが、ちょっとこれまでの街とはいきなり、雰囲気が違う。
いや、人々はあまり変わらないのだが、町並みがカラフル。
基本は白壁、ベージュの壁もあるが、いかにも砂に汚れたような色ではない。
大きな色ガラスがはめ込まれている建物が立ち並ぶ。
まずは【営業所】にて荷おろしをして、自分の持って来た、毛織物と馬乳酒を自分で使う分を残して、あとは捌いてもらう。
毛織物は立派な絨毯とかあるから無理かもと思っていたのだが、夜の寒さに対応する為人気の商品らしい。
そして、受付にいるターバンを巻いた色黒のおっさんに肝心の偉い人のことを聞く。
「自分の任務の事は連絡が入っているとは思うのですが、許可もらう為に偉い人に会いたいんですが」
「うむ、国王に・・・・」
「帰ります」
「慌てるな。国王に謁見と行きたい所だが、この国には色んな部族がいて、全ての王に会うなど到底無理だ。
だから、お前さんの目的地を治めている王の代理人がこの都にいるから、挨拶に行くといい」
「代理人なら、まあ。ありがとうございます行ってきます」
ん~王と言うか族長って感じなのかね。まあ凄く偉い人の代理人の偉い人に会いに行きますかね。
そして、教えてもらった場所に行くと、いかにもな大きくて趣のある建物が増えていく。
つまり、多分族長とかそういった人たちの館が並ぶ、
高級住宅街・・・・何か違うな、こういうのなんていうんだ?
まあ、いいか。オアシスに近いほど、建物が立派になっていく。
そして、目的の建物をちょっと観察してみると外観だけでもまずでかい。
砂漠の中とは思えないほど、木々が茂り、大きなプールがあるようだ。
思った以上に偉い人がいるのではないだろうか?市役所の偉い人くらいで十分なんだがな~
とりあえず、入ってみようとすると二足歩行の爬虫類型人間が二人門の前に立っている。
「こんにちわ【帝国】から来たのですが、入っていいですか?駄目ですよね?」
「良いぞお客人、主は客好きだ」
「主?代理人の方がいらっしゃるとうかがったのですが?」
「うむ、主の奥方様がこの屋敷を切り盛りされている」
出直して別の人紹介してもらおうかな?などと考えている内に肩に手置かれ屋敷の中に案内されてしまう。
プールサイドに案内され椅子にかける様に促されるが、一先ず立って待っていると。
やや丸っこいが愛嬌のある。おば・・・オネエ様が現れる。
にこやかでとても優しげだが、顔などは隠してない。何となく現実のイメージか砂漠の女性は顔隠してるイメージだったんだよな。
でもそういえば、道中でも顔隠して無かったわ。
そして門番は爬虫類型だったのに。この人はヒュムっぽい。てっきり爬虫類型の部族かと思ったのに
「こんにちわ【帝国】から来ました。お初にお目にかかります」
「あらあらいらっしゃい。話は聞いているわ。
うちの娘がね小さい頃病気がちだったものだから一時期【帝国】に住んでた事があるのよ。そんなかしこまらないでちょうだい。隊長さん『上級士官』なんでしょ?そんな階級の方に恐縮されると私のほうが緊張しちゃうわ。
ああ、でも大丈夫。今ではすっかり元気なので、近くで働いているわ。
あらあら変な顔してどうしたのかしら?
ああ、分かったわ!リザードマンの事ね!【帝国】の方からすると珍しいものね。水にも乾燥にも強い種族なんだけど、寒さに弱いのよ。そりゃ【帝国】に住めないわよね。
あと、夜や冬の砂漠の寒さにも弱いからあまり街を離れて暮らせないのよ。屈強だから護衛や門番として雇われていることが多いわ」
うん・・・話が長くて何がなにやら
「色々教えてくださってありがとうございます。ところでお嬢さんが体が弱かったって事ですけど【帝国】じゃ寒くてもっと悪くなりそうですけど」
「あらら、ご存じないのね。都会の方なのかしら?【古都】からさらに渓谷の方に行くと病毒にかからなくなるのよ。あなたの目的でもある(宝樹様の加護 ヒソヒソ)があるから、療養の地として有名なのよ。
そう、その流れであなたの目的についてもお話しちゃうと、目的地は砂漠の奥の奥、灼熱と極寒が繰り返す、本当に厳しい土地よ。私も気軽に帰る事も出来ないのうふふ、困ったものだわ。
そんな土地でも、魔物はうじゃうじゃいるし、一人じゃ無理ね。十分な準備をして尚且つ屈強な心身を持つ者達と共に進むしかないわ。
しかし、とても大事なお仕事だものね。紹介状を書いてあげるから【兵舎】に行ってらっしゃいな」
すっごい話が長いが、既に状況は整ってしまった。このオネエ様できる人だ。
お礼を言って【兵舎】を目指す。
広いだけで簡素な作りの建物にちょっとほっとして、入ると
男たちがたむろしているが、雰囲気が暗い。
何かあったと言うより、平常の状態でこんな風なのだろうなとそうイメージさせる。
一人のひときわ背が高くがっちりした色黒の男、ターバンがよく似合い少し粗野な雰囲気とそれでいて堅実そうな雰囲気を同時に感じさせる男だ。
紹介状を渡すと中を読む男
「ふむ、この内容ならば協力しない訳には行かないだろう。
お前達準備だ!!」
その言葉でたむろしていた男達が動き出す。
「話が早いね」
「当然だな。あんたの指示に従えって事だし、働かなきゃ食っていけねえ」
「いや【兵士】だったらいくらでも仕事あるだろうし、裕福だろうとは言わないが『食っていけねえ』なんて言う言葉が出てくることにビックリだよ。この雰囲気の暗さと関係あるの?」
「ふん、俺達に割かれる予算なんて最低限さ。この国じゃ術のほうが持て囃される。街中で術を不用意に使えば犯罪だし、そういうのを取り締まるのが俺達のような肉体労働者の仕事のはずだが、街中に限れば、リザードマンの方が体の丈夫さや作りじゃ有利だからな」
「これから行く場所は過酷だって聞いたけど、物資は足りるの?」
「まあ、ギリギリ最低限は、な」
そんな話をしていると外が騒がしい。
「おい!!【帝国】からのお客人!ソヘイラ様からお話がある!出てきて謹んで拝聴するが良い!!!」
と、権高な声が聞こえる。
嗚呼こういうやつ嫌いなんだよな・・・・・