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144.【砂国】情緒

 ■ 【砂国】 ■ 


 正式名称『ルブアルハリサハラ』

 国土の大半が砂漠、オアシスの周りに町や都を作って生活する。

 交易を中心とした移動部族と定住部族が混在して暮らす。

 移動部族は商売だけでなく一芸にも長けており、技芸で身を立てる者もいる。


////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


 荒野を進むうちにいつの間にか砂漠だった。


 徐々に景色が変わるもんだから、いつから砂漠だったのか判然としない。


 しかし、最初の町でそこが既に【砂国】だと言う事が分かった。


 その町の建物は粘土や積み上げられたレンガで出来ており。


 どこも均等に砂を被って、砂漠の中に溶け込んだ地味な街並みだ。


 白くとても長い角を持つ家畜がいて、山羊かと思ったら、牛の仲間らしい。


 休憩できる建物に案内されれば、自分の語彙力ではエスニックな綺麗なとしか表現できない大きな絨毯が一枚敷いてあり、皆そこに座って生活するらしい。


 生まれてこの方、日本生まれ日本育ちの自分は床に座る事に何の抵抗も無い。


 そして、現地の方に格好をダメだしされる。


 曰くそんなんじゃ、砂漠の熱と砂にやられるぞと


 何を言い訳する暇も無く、長い白マントと長いストールを買わされる。


 外套が欲しいなと思ってはいたからいいけどさ。


 ついでに夜用に防寒具まで買わされそうになったが、流石にそれは大霊峰を登頂できるレベルの温かいやつを所持しているので、断った。


 寧ろ、大霊峰を登頂した事をいたく感心されて、ご飯を奢ってもらえた。


 どうやらこの国でも大霊峰は特別な山らしい。


 因みにご飯は、潰したヒヨコマメに、にんにくやハーブを混ぜた物をパンと一緒に食べるそんな食生活。


 お酒は残念ながらこの町には無かった。


 ミントティーを飲むのが習慣なんだとか。その割に牛がいるんだから乳製品いけるんじゃないかと馬乳酒を分けたら、たいそう大喜びで、服代がチャラになった。


 やっぱりお酒だな~。


 しかし、都まで行けば、この国のお酒がちゃんとあるらしいので、テンションあがってきた。


 その肝心の都は国内部の大きなオアシスのある場所に作られているらしい。


 その為、まだ輸送隊は解散しない。


その町で、泊まった後、また砂漠を歩く日々を過ごすと


 縦に長い角を持ち跳ねるように走るガゼル。

 何となくドキュメンタリーとかで、肉食獣に襲われる獣代表みたいなイメージだが、群れで走っていく姿は野性味を感じる。


 野外で休憩すれば、身の回りをちょろちょろと二足歩行で走る、小さな鼠


 風で抉れた、すり鉢状の砂原に遊ぶ耳の大きな狐


 いかにも攻撃的なとげとげの爬虫類

 魔物かと思ったが、自然動物らしい。


 めちゃくちゃ俊足な鳥。飛べばいいのにと思ったが、飛べないらしい。意味が分からん。

 そして意味が分からんほど速い。


 何か、一見死の土地のような砂しか無い光景なのに、意外と動物が多く住み、


 土地のイメージと対比され余計に生命力を感じさせる。


 その後も街や町も最初の町とそんなに変わらぬ、砂に溶けた街並み。 

 

 そして、どこに行っても、真昼間は皆日陰で駄弁ってる。


 会社員の自分からするとサボってるようにも見えるが、これがここの生活スタイル。


 体が焼け付く程熱い昼日中に出歩く人はいない。


 自然に逆らわない姿は、人本来の姿じゃないだろうか?


 例えば、大昔は日本人だって、夜の灯火を無駄遣いせずに早く寝たはずだ。


 無理をしない生活に心に余裕が出来てくる。


 当然ゲームが終われば、しんどい生活が待っているのだが、

 アレをやらなきゃこれをやらなきゃ言って無理をして、ミスして怒られる、人格を否定されるなんていう悪循環をもう少し何とか出来るんじゃ無いかと思ってしまう。


 朝夕、都に向かって歩いていれば、砂嵐にも遭うが、ラクダと共にしゃがんで一塊になって、マントに包まってやり過ごす。


 もう、そろそろ都かといったところで、移動生活者と出くわす。


 【馬国】の移動生活者にも似ているが、やはりちょっと違う。


 まず、放牧オンリーの生活ではない。多すぎれば、食べる草が足りなくなるのだとか。


 交易物品を売って移動している。ある意味自分達輸送隊に近いものがある。


 国の内部にある都の香辛料やガラス細工、銀細工、石を使った装飾なんかを隣国に売るそうだ。


 ちょっと見せてもらえば、【鉱国】の実用重視の物と比べるとやや線が細いがデザイン性に優れていて、シャープな印象がある。


 そして、後は曲芸士やダンサー、楽士、占師といった。芸を売る人達。


 どれもジョブやクラスとして開放されているらしい。


 つまりプレイヤーもこれらを出来るようになる。


 占師やダンサーは完全に術士系だ。


 占師は何を媒介にするかによって、大きく違う。


 自分が会った移動生活者の集団の占師は石の声を聞き、石の力を引き出す。

 

 なりたかった・・・・それ!なりたかった!!


 指や首、頭、手首等々にいろんな石を下げ、バフ、デバフ、果ては攻守、回復までこなすオールラウンダー術士


 占師の職だけあって、占いも出来る。


 結果はターコイズ!!!やったね!!意味分からん!!!!テンションおかしくなってきた!


 どうやら占いはその人のステータス関連が分かるらしい。


 数値化されて見えるようになっていないステータスを占いの結果と言う形で、教えてもらえる。


 自分のターコイズは旅と友情を意味すると言われたので、


 移動力とNPCからの信頼の値が高いということだと勝手に理解する事にした。


 そうして、ようやっと【砂国】の都に辿り着く。

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― 新着の感想 ―
[一言] >風で抉れた、すり鉢状の砂原に遊ぶ耳の大きな狐 何故かチベットスナギツネのあの顔が浮かんだ。
[良い点] 1日で読み終わっちゃった...どうしよ...続き期待してます!!! [一言] さいこうっす。MMOジャンルでは5本の指に入るくらい面白いと思ってます
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