141.ダンジョンアタック-破竹-
■ 宝箱 罠 ■
宝箱の罠は複数存在し、難易度や置かれたフィールドによって発動する罠は様々である。
矢が飛び出してくるものは序の口であり、毒ガス、爆発、複数の棘針、さらには宝箱から魔物が飛び出すもの、宝箱自体が魔物化するものもある。
もし、まだ罠はずしに自信が無ければ、あえて無視する勇気も必要である。
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剣聖の弟子が仲間に加わった事で、魔物はまるで敵じゃなくなった。
先の先、敵が見えた瞬間に後ろに周り一閃する剣聖の弟子
バランスがよく先手も後手もこなし、速度も重さも申し分ない騎士殿
基本は<解除>に集中しつつ、いざと言う時は防御に回る自分
ダンジョン攻略スピードが格段に上がっている。
兎ゾーンの大兎も猪ゾーンの大猪も、あっという間、攻撃が激しすぎて可哀想だった。
そして鹿ゾーンの大鹿のホールに辿り着く。
先の2体に比べて大分でかい大鹿がホール中央に佇んでいる。
こちらをじっと見たかと思うと
自分達の足元の草が伸び、蔓が脚に巻きついてくる。
自分と剣聖の弟子は左右に分かれて飛んで避け。
巻きつかれた騎士殿は力ずくで引きちぎる。
その場から一歩も動かず、何もかも見通すような目でこちらを見続ける大鹿。
スッと上を向き『プィー」とか細く鳴くと何種類かの鳥が舞い降りてくる。
鳩、鴨、鶉までは分かる。派手なのは雉かな?後は分からん。
大鹿の体や角や周りに降り立つ鳥たち。
大鹿が一つ首を振り、また落ち着いた目で自分達を見ると今度は大鹿の足元から柔らかい光が放たれる。
すると、鳥達がむくむくとサイズが大きくなり、皆大型犬程度のサイズになり、羽ばたき、大鹿の周りを飛び始める。
まず一体鳩がこちらに向かって飛んでくる。非常に速いスピードで、大型犬サイズの鳥が飛んでくるのは少々心臓に悪い。
しかし、何とかブロックに成功すると、ボテッと地面に落ちる。落ちたところを剣聖の弟子が両断する。
次は名前の分からない白黒だが顔だけ赤い鳥、自分達の真上辺りまで向かうと一声鳴くと
自分の足元が丸く光る。
羽の蛇の時と同じ現象に反射で避けると、雷が地面から天井に向けて放たれる。
抜刀術 飛燕剣
剣聖の弟子の剣から放たれる濃紺の剣閃、遠距離攻撃で撃ち落される鳥。
すると今度は一斉に自分達に集団で群がってくる鳥達。
ギリギリまで引き付け、スッと消える剣聖の弟子、
自分と騎士殿で、受ける。
騎士殿は流石としか言えないが、左手の盾で受けるのと右手の剣でカウンターを返す事を同時に行っている。
自分は防御に集中し、ブロック成功した鳥は地面に落ち、時に避け、時に弾くように切りつける。
兎に角、一瞬一瞬に集中し、足を止めて捌きまくっている内に、攻撃が徐々におさまっていく。
周囲を観察余裕が出てくるといつの間にか剣聖の弟子が大鹿の周りを縦横無尽に消えては現れ消えては現れ、切りまくっている。
騎士殿もいつの間にか鳥の包囲を突っ切り、大鹿に切りつけ、時折溜めた大技で、大鹿をよろめかせ、攻撃の瞬間を潰している。
うん、自分でも気がつかないうちに、鳥は自分に集中して攻撃してきていたらしい。
まあ、受けは自分、攻めは二人の仕事だからね仕方ないね。
その内大鹿が倒れ、宝箱だけが残る。
何度かトライして、出てくるのがでかい鹿皮が3枚。
まあ、分けろってことだよねって事で、一枚づつ分ける。
次の階は熊
魔物が出てくるたびに通路が埋まり左右に避ける余裕が無い。
しかし、剣聖の弟子の先制攻撃、騎士殿の追撃、自分の罠はずしで、順調に進んでしまう。
新たに出てくる罠は眠くなる甘い香り、目が開かなくなる花粉、咳き込むほどの臭い香り、
花粉はゴーグルで対策するも、それ以外はとにかく見つけたら速攻で潰すしかない花々を切り潰していく。
そして前の階より現れた鳥系魔物の襲撃は慣れてきた自分がなんだかんだ一番小回りが効くので、速攻で切り倒す。
なんだかんだ、何の問題もなく進んでしまう。
そして熊階のホール。大熊が現れる。
大鹿は大きすぎてホールの中央に鎮座するのみだったが、いくらかサイズダウンした大熊はフレキシブルに動いて仕掛けてくる。
大猪並みの突撃力、二足歩行になって前足の振り回し攻撃の範囲は非常に広い、
何よりいやらしいのが、ブロック成功したかと思った瞬間の噛み付き攻撃。
一発食らっただけで、ごっそり削られる。
ブロック硬直を安易に狙えない状況に騎士殿と剣聖の弟子はガンガンいく、攻撃は最大の防御とばかりの攻めっぷりだ。
自分は二人が引きつけている内に、尻尾を切り、引き付けて逃げ回る。こればっかりだ。
何故か尻尾攻撃が嫌いらしい。
そうこうしている内に、大熊を倒しきり、宝箱チャレンジ!熊の毛皮×3
うん、皮か肉しか出ないな~
次の階に下りようとするとセーフゾーンだったので、回復をして、食事にする肉だけは兎、猪、鹿、鳥、熊とあるが、自分にそんな大した料理技術があるわけでもなし。
しかし、勝手に貯まったジビエを消費する為に作ったスモークやハーブやなんかと一緒に焼いたステーキなんかを食べると生命力や攻撃力や耐久力が増す。
そして、先に進むといきなりホールだ。
今までで最大のホール、巨大な怪鳥が天井付近を飛び回る。
剣聖の弟子と騎士殿は遠距離術を持っているが、数は沢山あるわけじゃないらしく、連続して攻撃を当てることは出来ない。
自分はずっと上を見てるだけだ。
すると突然こちらに向かってくる、巨大怪鳥。
口から炎を吐きながら迫ってくるので、大きく跳んでかわす。
そして地面ギリギリにまで来たところで、剣聖の弟子が瞬間的に移動し攻撃、さらに騎士殿が続く。
ダメージを受けながらも上空に逃れ、空中に停止するように羽ばたくと、竜巻が起こる。
地面から天井まで続く竜巻を避けて走り回る3人。
只管逃げ続けると、疲れたのか地面に降り立つ巨大怪鳥。
そこを3人で一斉に切りかかる。
嫌がる鳥が羽を羽ばたかせると、風圧で押し戻されるが、自分と騎士殿は防御し、羽ばたきが止まった瞬間に距離を詰め斬りつける。
飛ばされた剣聖の弟子もあっという間に距離を詰めて斬りまくる。
嫌がる鳥は、再び上空へ戻り攻撃を仕掛けてくるが、離れての攻撃は必死で避けて、近づいてきたところを二人が斬れば、徐々にダメージが蓄積していく巨大怪鳥。
終いに、力尽きて地面に落ちふらついている所に大技らしき、術を当てていく二人。
大きく十字に斬れば、十字のエフェクトが光り、巨大怪鳥をひっくり返す騎士殿。
一度鞘に剣を戻し、姿が消えたと思えば巨大怪鳥を挟んで反対側に姿を見せ、いつの間にか納刀している剣聖の弟子。
多分目にも留まらぬスピードで切り抜けたのだろう。
そうしてようやく光の粒子になる巨大怪鳥。
そのままの流れで、無警戒に宝箱を開けようとしたところで、失敗し、宝箱が爆発。
吹っ飛ばされ、燃えるエフェクトの付く自分。
転がって、火を消し、バンテージで回復する。なんとも締まらない事だ。
何も得られずに、奥の道を進み階段を降りれば、大きな金属の扉が聳え立つ。
何か文字が書いてあるが、<言語>をはずしてきてしまったので、読めない。
試しに騎士殿が押してもびくともしない。
鍵穴がある訳でも、ギミックがあるようにも見えないが、出直すしか無いかと話がまとまりかけたところで、
何気なく自分が扉を押すと音も抵抗も無く開く金属の巨大扉。
何となくいやな予感がして、すぐ締めようと思ったが、勝手に開ききる扉。
戻ると決めたんだし、戻ろうかとアイコンタクトしたが、時は既に遅く、来た道がいつの間にか塞がれている。
やむを得ず、扉の奥に進めば真っ暗だ。
そして自然と閉まる巨大扉。
突然、極端なパシャッと言う音と共に自分達の前方を照らし出すスポットライト。
そこには人影が一つ