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140.剣聖の弟子

 ■ 日本刀 ■


 基本的に洋風世界観のゲームだが、日本刀も用意されている。

 サーベルやシャムシール等を含む刀系武器である。

 切断系攻撃に優れる、非常に攻撃的な武器である。


////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////



 「お久しぶりですね鈍色(にびいろ)の騎士、久しぶりにお付き合い願えませんか?」


 ふらっと現れた美少年、さらさらとした明るいミルクティー色の髪・・・とまあアバターはいくらでも作れるしな


 にしても妙に余裕の雰囲気がある。声は幼そうだが分からんな


 「騎士殿、用があるなら今日のところは一人で行くけど?」


 「ふむ、気にせんでよいの。

 PKのお誘いはお断りじゃの。興味ないといつも言うておるわな。それじゃあの」


 ふ~む、この少年PKか面倒くさいな


 「本当は僕もあなた達の邪魔をする気は無いのですが、様子を見ててもダンジョンを行ったり来たりばかりのようですし、一日位時間を頂いてもと思ったのですが」


 「ふむ、だから言っておるの、興味無いと、の」


 「いつも通り、相応の物は用意させていただきますよ?」


 「全く興味ないの」


 ん~美少年にナンパされるじいさん騎士を眺めてても特殊な趣味の人じゃないと楽しめないよなあ


 「騎士殿、なんか熱心に誘われてるし、ちょっと位付き合ってあげれば?」


 「分かってますねお隣の方、どういったご関係かは分かりかねますが、もっと言ってあげてください」


 「PKじゃなければ人の手助けするに吝かでは無いわい」


 「なんで、騎士殿をPKしようとするのさ、しかもPKなら後ろからいきなり切りかかればいいじゃない」


 「???僕は通り魔ではないですよ?闘技場のようなルールに守られた緩い闘争に飽きてしまったのですよ。PVP中に乱入する魔物、オブジェクトを利用する一瞬の機転、何より緊張感が欲しいのですよ」


 「ふ~~~ん」


 「当然僕の趣味に付き合わせるのです。勝てば相応の物を用意してますよ」


 「じゃあ、そういうの好きそうな人に絡めばいいのに」


 「そういう訳にも行かないのですよ。折角こんなゲームをはじめられ、最強の師匠に出会い、技を伝授されても、それを試す相手がいないのです」


 儚げな雰囲気でため息をつきながら嘯く少年


 「だからってこんなおじいさんナンパしなくても」


 「何をおっしゃってるんです?現行最強のプレイヤーに、

 僕もまだ一度も勝った事はありませんが、そんな方の胸を借りるのですから当然十分な報酬は用意しています」


 騎士殿って最強だったんだな。道理でダンジョンでも余裕の筈だよ。


 「ふむ、そしたらこうしよう。こちらにおられる隊長殿に勝ったらお相手しよう。

 負けたら、ダンジョンアタックに協力せい」


 「え?いやだよ。ただでさえ探索用スキルなのにどうやって戦えって言うの?」


 「ふむ、そうじゃの、ガッツリ戦ってからわしと戦うのでは可哀想か、じゃあ一撃勝負でどうじゃろうの?」


 「それが、条件なら飲みますよ」


 「ええ、自分は巻き込まれる理由が分からないんだけど」


 「うむ、だがダンジョン攻略が手詰まりなのも確かじゃろう?こやつ腕だけはたつでな、負けても今日一日潰すだけじゃ、悪い話じゃなかろう?」


 「はあ、分かったけど、一撃ってのはブロックの上からのダメージでも負けなの?」


 「それは一撃に入らないの。クリーンヒット一発で勝負じゃの」


 「僕は構いませんよ。寧ろ僕有利のルールにしていただいて、嬉しい限りです」


 「向こう有利だってよ?」


 「まあ、そう言わず、付き合ってやって欲しいの隊長殿」


 そして、3歩分位空けて何も無いフィールドにPKと対峙する。


 「一応自分の得物はこちらです」


 そう言って一振りの刀を見せる。綺麗な朱色に塗られた鞘に若草色の下げ緒、しかし刀は抜かない


 「じゃあ、自分はこれで」


 そう言って、右腰から逆手でショートソードを抜き、剣先が抜け切る瞬間に手元で回転させ、順手に持ち替え肩に乗せる。


 「へえ、思った以上に楽しめそうですね」


 「そう?」


 少年が、体の後ろに地面に水平に剣を構え、左手で保持し、右手を柄に近づけていく。


 殺気を感じた瞬間に右膝を折り曲げつつ左に回り、低く剣を縦に構えれば、


 水平に抜かれた刀と自分のショートソードがクロスするようにぶつかり合い。


 そして少年が、硬直する。


 刀に擦るようにショートソードを振り上げ、そして少年の首に刃を通す。


 「グフッ」という声と共に硬直が解ける少年


 「ふむ、隊長殿の勝ちじゃの」


 「確かに・・・しかしアレだけ完全に硬直させたのだから、寸止めでも良かったのでは」


 「いや、クリーンヒットのルールだし、当てるまでは何があるか分からないじゃない」


 「くっ、その通りです。さすが、鈍色の騎士殿と連れ合ってるだけありますね。なんとお呼びすれば?」


 「隊長って呼ばれてるけど?」


 「なるほど、あなたがあの大会の覇者ですか。PK賞金サイトでも最近ちょっと有名ですよ」


 「そう?別に自分はそこまで強いわけじゃないし、研究してもしょうがないと思うけど?」


 「いや、あの騎士連中を相手に互角に戦えれば、十分目立ちますよ」


 「そう?」


 「まあ、二人とも話しは歩きながらするとしようの、ダンジョンアタックじゃ」


 「そうですね、PK殿の準備は?」


 「戦闘のみなら、いつでも。

 しかし、正直自分の剣を見切れるプレイヤーがいるとは思っていませんでしたよ」


 「いや、見えなかったけど?」


 「え?じゃあなんであんな完全に受け止められるのです?・・・・あっいや今日会ったばかりの僕にスキルの秘密を明かせなど申し訳ない」


 「いや、これからパーティ組むんだから仲間でしょ?

 なんていうか、剣は早すぎて全然見えなかったけど、殺気はバレバレ?なんていうか斬ろうと思ってから斬るまでの間に防御できちゃうよね」


 「はあ、なるほどそうですか」


 「今ので、分かるんだ?」


 「いや、分かると言うか・・・奥義ってご存知ですかね?僕を仲間として認めていただいて、情報を頂いた対価です。

 師匠プレイヤーの元でちゃんと修行すると教わる概念なのですが、奥義と言う割に技でもなんでもないのです。

 自分が教わった奥義は『斬ると思った瞬間には斬っている』と言うもので、それが無いと切れぬ相手がいると習いました」


 「嗚呼、そういうのね。自分も何か言われた気がするな【帝国】帰ったら聞き直すかな

 確か『斬られた瞬間敵も切れる位置にいる』だったかな。皮膚一枚切らせて相手を突きかえすらしいね」


 なんだかんだ割とすぐに打ち解けた気がする。これで、ダンジョン攻略進むといいなあ。


 「ところで、なんて呼べばいい?」


 「何でもいいですが、他人は自分をこう呼びます『最強のPK』『剣聖の弟子』と」


 「それに習うと自分は『剣鬼の弟子』だな~」

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