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133.激震の【古都】-過疎国の超過疎地帯の変わり者達による局地的な話-

 これは一体どういう事だ。


 未だかつて無い異常事態に誰も気がついてないのか?


 兎にも角にもいつものメンバーに召集をかけて、状況を整理しなくては、こんな状況俺一人ではかかえ切れねえ

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 「今日皆を集めたのは他でもねえ、クラーヴンの奴がいねえんだ」


 「え?何言ってるんですか?アンデルセンさん。クラーヴンさんがいないなんてそんな事ありえないでしょう?

 一日8時間しかログインできない筈のゲームにいつ行っても必ず店番しているクラーヴンさんですよ?

 一説には実はGMの一人でゲーム内での監視役じゃないかと言われているのに、だからこんな片田舎の目立たない地域で店番しているのでは無いかと言われてるあの人がいないなんて事ありえないでしょう?」


 とカヴァリー、しかしカヴァリーの動揺も尋常ではないのが分かる。

 いつも冷静で大人しくこんな長い言葉を発するやつじゃないのに、今はまるで自分の知っている事を確認するかのようだ。


 「本当に本当なんだ。何なら確認してきてもらってもいい。今日の店番は初めて見たドワーフだった。

 本当にゴドレンなんて言う店主がいたなんてな」


 「二人とも落ち着くの。クラーヴンはいつも鉄を打って修行してるって言ってるの。珍しく鍛冶作業に没頭してただけじゃないの?」


 「いや、ビエーラ自分もそれは考えたんだが、店主に聞いたら、鍛冶作業もしていないらしい。寧ろ出かけたって話だ」


 「え?いや、クラーヴンさんだって、普通にお出かけはされますよね?クエスト受けたり、買出しに出かけたり・・・」


 「いや、ポーよクラーヴンは出かけないんだ。唯一出かけるのは今日みたいな集まりの時だけだ。

 それでも表をクラーヴンが歩いてたなんて話は聞かねえ。

 だが、出かけたと聞いた以上その足取りを追ったんだが、どうやら素材の情報を手に入れに鍛冶屋の【組合(ギルド)】に行ったらしい」


 「それならクエストを受けに行っただけなの、クラーヴンも普通のプレイヤーだと分かってよかったの」


 「それだけならな、その後クラーヴンは【古都】の外に出かけたらしい」


 「え?クラーヴンさんは生産職でずっと【古都】に引きこもってたはずなのに、いきなり魔物のいる地帯に出かけるなんて危険なんじゃ?」


 「ああ、そうなんだ。明らかに今までと違う行動、危険を伴う行動を取るのに誰にもその理由を言ってないんだ。これは絶対何かあったと考えるべきだろう」


 息を飲む一同、そこにあまり見慣れない新参の青年が


 「あの、新参の自分が言うのもなんですが、普通のプレイヤーがクエスト受けて、フィールドに出かけただけなのに、何の問題があるんですか?」


 「ああ、ソタローからすると変に思うかもしれないが、【古都(ここ)】のやつらは根っから皆行動がおかしいんだ。

 まともなのは俺だけだと言っていい」


 すぐさま全員からブーイングが出るが、誰がなんと言おうと厳然たる事実だ。異論は認めない。

 唯一【海国】に籍を置く俺だけが客観視しているが、

 まずは明らかに異常な射程の長距離スナイパー、

 騎乗系職やスキル持ちはいれど二人乗りで、しかも馬じゃない生き物に乗り山野を駆け回るどころか飛び回る【騎兵】、

 ただでさえ趣味スキルと言われそれを専門にするのは変わり者と言われる料理人のイベント覇者にも拘らず片田舎で普通に店をやってる超趣味人、

 そしていついかなる時も店番をしている、なぞ鍛冶職(俺は術士なのでよく分からないが、品質も飛びぬけてるとか?)

 さらには今【帝国】にはいないがNPCよりNPCの様に【兵士】として生きていたら、行き過ぎてもうどこの世界に行くのか分からないあいつ。


 そしてそんなあいつに憧れてこのゲームを初め、

 あいつのプレイをなぞり、

 あいつより早く昇進し、いつか追いつきそうなソタロー。

 お前も大分変なやつだからな。


 その時いつも集まりに使っている店の扉が開き、暗い顔をしたクラーヴンが入ってきた。

 そのメンバーが座る席に近づき言う


 「全員集まってたのか、急な話だが手を貸して欲しい」


 「どうしたの?丁度クラーヴンの話をしていたの、珍しく出かけてるって聞いて」


 「ああ、そうだったのか、実は次のイベント参加してみようと思ってな。

 まあ、優勝は特殊金属を使う【鉱国】の連中だろうが、折角だし参加してみようかとな」


 「そうですよね、そんなところだろうと思いました。それなのにアンデルセンさんときたら、すぐ話を盛って、さも一大事のように話して不安を煽る様な事をして、大げさなんですよ」


 いやいや、クラーヴンがいないとか一大事件だろ?何にも無い【古都】に起きた重大事件じゃねえかよ


 「それで、クラーヴンさんが手を貸してほしいって言うのは素材集めですか?それとも護衛?」


 「どっちとも言えるな。優勝とかは別に目指さないとは言え、使えるものを作りたいんでな。

 前に隊長の剣を作るのに余った氷鉱石を使ってナイフか包丁でも作ってやれば、隊長も喜ぶだろうと思ってな」


 「クラーヴンさんは相変わらず隊長に対して面倒見がいいですね」


 「何となく気にかかるやつだし、この氷鉱石も元は隊長の物だからな。とは言えイベントに出すものだし、せめて使う素材はいいものにしたくてな。レギオンボスの所在の情報を【組合】で買って、ボスの確認をしてきたんだが、氷の海に住まう巨大怪魚と氷の巨大湖上を滑り時に潜り自在に攻撃してくるペンギンも多分無理だとなった。

 今回狙う獲物は【帝国】上空を飛ぶ巨大怪鳥『スネージャ』だ」


 「いや、巨大怪鳥ってそんなもん見たやつは数いれど、どうやって撃ち落すんだって話だろうがよ。今のところ攻略不可能ボスの一角だぜ」


 「そうだったのか?まあ、無理なら仕方ないんだが、ちょっと俺の案でやってはみてくれないか?」


 そんな事を言うクラーヴンだが、いつもの面子は何も言わずとも既にやる気だ。気負わずそれで、やらない理由も無いといった感じ。


 「分かった。人数が必要だろうから俺からもボスに連絡しておく」


 辺境のど田舎ながらなかなかこれで色々起こるそれが【古都】

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