13.【北砦】の【訓練】任務
まだ、モンスターとは戦いません。おっさん(主人公)は、どうやら倉庫屋さんになるようです。
■ カルトーシュ ■
じゃがいもである
貧弱な農地でも育つ為 あらゆる地域で作られている
しかし地域によって形や特徴名称が変わってくる為注意が必要である
【帝国】のカルトーシュはまん丸で、薄茶色の皮、凹凸が非常に少なく 収穫量が多いことが特徴である
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ここのところ、充実したゲーム生活を送っている。
倉庫や食料庫の整理が終わってからは、切迫感が無くなり、新たな搬入物に対応するだけで良い。
一度自分の手で整理してしまえば、どこに何があるか勝手は分かっている訳で、余裕をもって対応できる。
見知らぬNPCに「倉庫の!」とか「倉庫整理の!」とか言われるのが、むしろ誇らしい。
自分は、このままこの世界で、倉庫管理人さんとしてのスキルを磨き、
ゆくゆくは自分で倉庫屋さんを開くんだ!!
などと考えながら今日も中央棟にクエストを受けに行く。
「よう、倉庫の方は、一段落した様じゃないか。そろそろ【巡回】やってみるか?他の【熟練兵】は、魔物との戦い方も慣れてきて、最近じゃ任務の受注も落ち着いてきてるんだ」
はい!忘れてました。魔物と戦ってみたいと思ってたし、控えに回してたスキルも育てようと思ってたんだった。
「とは、言えだ。最近倉庫整理ばっかりで禄に【訓練】もしてなかっただろう。そんな状況で、表に出すわけには行かないからな!今日のところは訓練受けていけ」
と言われて、装備品と任務票を渡される。
「んじゃ、行ってきます」
「おう、教会でちゃんとスキル付け替えていけよ」
ナイス五厘刈りのおっさん、最近ずっと同じスキルのままだったから完全に忘れてた。
まずは教会で、スキルを付け替える
<軽甲><片手剣>
<小盾><大樹><感覚強化>
<武器防御><戦意>
控え
<剣技><盾技><言語><生活><逆境><察知>
こんなところか
砦入り口から入ってすぐの広場に行くと、何人か他の【兵士】達が、たむろしていたので声をかける。
「【訓練】ってどこに行けばいいですかね?」
「あ?【訓練】だったらここだぜ、他に体動かせる場所が無いからな、今ちょうど、それぞれ何を鍛えたいかを話し合ってたところだ。任務票はあるのか?」
と言われたので、答えてくれた【兵士】に渡す。
「うっし、じゃあ、ぼちぼち始めるか!二人組みに分かれて1:1の乱取りからだ。自分のポジションと戦い方を意識しろよ。俺は、こいつと組む」
「走ったり、隊列並んだりとかは、しないんですか?」
「場所が無いだろうよ。それにそれは見習いのうちにきっちり仕込まれてるんじゃないのか?まあ、俺達も【古都】に戻ればまた、そういう訓練もやるがな。ここじゃ基本的に魔物と戦う時の自分のポジションや戦い方、育てたいスキルなんかを鍛えてるぞ、とりあえず構えろ実力が分からなきゃどうにもならないからな」
と言われたので、とりあえず抜剣して構える。
「おう、基本通りだな悪くは無い。倉庫整理ばっかりやってるって聞いてたが【訓練】もまじめにやってたんだな」
そりゃあ、倉庫整理はこの砦に来てからだからな。でも逆に言えば、この砦に来てからは、倉庫整理しかしていない。大分なまっているのは間違いないだろう。真剣にやらなくちゃな。
まずは、相手の動きを良く見る。
まっすぐ剣を振り下ろしてきたので、盾でぶれない様きっちり受ける。そのまま右手に持つ剣を相手にまっすぐ振る。相手は、かっちり盾で受ける。
今までの【訓練】通りだ。
「おし、おし、やっぱりちゃんと【訓練】はやってきたようだな。受け方も振り方も悪くない。じゃあ、次は、いくらか連続で攻撃するから落ち着いて受けろよ」
そういうとまっすぐ剣を振ってくるので、盾で受ける。当然受けることを見越したように、受けた反動で引き右から振ってくるので、また、盾で受ける。ちょっと体勢が苦しくなってきたか。
また、まっすぐ振ってきたので、盾で受ける。今度は左から振ってくるので盾で受ける。あっという間に引き下から振ってきたので、盾こそ突き出したがどう受けたらいいかわからず思わずのけぞって尻餅をつく。
「ああ~あ、なるほどな本当に基本通りで、足を使えないタイプか、まあ、気にするな。そういう奴も少なくないからな。今度は、上半身を集中的に攻めるから、とにかく受けてみろ」
そういうが早いか、まっすぐ振り下ろし右、左と斜め右、左、斜め左と、どんどん振ってくる。抜き身で振ってくる所為か次にどこに来るか分かりづらいが、とにかく受ける。
いつの間にか無意識に右手の剣も使って受けている。
右からの攻撃は、手を返すように持って右腕全体で、上か斜めか分からないときは、剣を横に持って左の盾で支えるように。横か斜めか分からない時は、剣を立てて盾で支える。
「なるほどな、ブロックタイプの武器防御も可能って事か。っの割りに、硬直しねぇってことは<盾技>は取ってないのかよ?」
「いや、セット枠がいっぱいでつけて無いだけです」
「なるほど、後<身体強化>で、体幹取ってるだろ。でなけりゃ盾系スキルの受けだな。コレだけ受けてぶれないって事は、よっぽど硬いぜ」
「確かに両方持ってますね」
「・・・そうか」少し考え込んだかと思うと
「何で【重装兵】じゃないんだよ?どう考えたって、それだけ動かないことに特化するなら【重装兵】だろ」
「いや、兵科はなんとなくですかね。あとスキルも成り行きです。狙ったわけじゃないです」
「まあ【訓練】で必要最低限を取得して合成すればそういうこともあるか。<軽甲><小盾>タイプなら本当はステップや回避なんか取得することを薦めるんだが、お前さんは、動かず捌く方を鍛えた方がいいな。今日のところは、とりあえず<盾技>つけて来い。んで受け方の練習だ」
その後もひたすら、受けて受けて受ける練習をした、時折他の人と交代もするが、基本的に自分は受けに回る形だ。
そのまま、ある程度練習した後、最初の【兵士】と一緒に食堂で食事をした時に【訓練】について聞くと、
砦では、決まった教官がいるわけでなく【兵士】同士で、模擬戦をして長所や短所を指摘しあったり、
今日みたいに先輩が、経験から今後取れるスキルや戦い方について教えてくれたりするそうだ。
今後取った方がいい「発展スキル」についても色々アドバイスをもらった。まあ、合成スキルじゃないんだって分かっただけでも、収穫だが。
今後も【訓練】に参加すれば実際にそのスキルを持った先輩とも模擬戦させてくれるようだし。
当分は【訓練】に励むとしよう。