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123.秘境大霊峰の村

 ■ ジャムツの村 ■


 本ゲームのフィールド外辺の辺境地大霊峰に登る為の入り口の村の一つ

 既に相当の標高ではあるが、まだまだ奥は深く頂上は高い

 しかしまともに休める村はここが最後

 もし大霊峰登頂に挑むのであれば、

 セーフポイントで休めるスキルや必要な物資等

 十分な準備をする事


////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


 馬に積荷を満載し、引っ張りながら一人の犬人と獣道を歩いてる。


 幸いにも木々の密度はそこまででもないので、見通しもあり、息苦しさも無い


 「ねぇねぇ」


 このゲーム始めてから何故か只管歩かされるが、不思議と嫌ではない。

 

 多分自分の性格に合ってるのだろう。寧ろ気持ちが静かになって気持ちがいい。


 普通ゲームをするならもっと強くなりたいとかなんか目標があるんだろうが、自分は歩くことがストレス解消になってるのかもしれない

 

 「ねぇ【帝国】って本当に全部雪なの?【馬国】も結構降るけど、いつもいっぱい雪積もってるとかいいな~」


 「そうね、寒いけど犬人族なら楽しいかもね」


 「僕はねぇ、寒いの好きだから大丈夫!」


 ん~【馬国】に来てから質実剛健で寡黙な人ばかりだったから違和感があるが、自分より頭一つ大きく体格もいい完全に二足歩行の犬で、毛も真っ黒で中々の威圧感だが、このしゃべりかたである。


 しかもよくよく見ると和犬風の少し顔の彫りの浅めで愛嬌を感じるかもしれない。


 「大霊峰って、登頂不可能な山って聞いてるけど、今のところ登れてるよね?」


 「ここはまだ麓だもんねぇ、村までは登れるよ。そして村の奥に樹があるねぇ・・・・『グルルルル』」


 急に顔を茂みに向け唸りだす


 犬人だけあって耳がいいのか鼻がいいのか、魔物が近いとあっという間に顔にしわがよって、警戒し始める。


 荷を背負った馬を守るように二人で魔物のいるであろう方向に警戒しつつ、横並びになる。


 自分はいつものショートソード、相方の犬人は短い湾刀、間合いは二人とも似ている。

 周りが樹で細道の為、正直都合がいい。


 強いて言うなら自分は突くタイプ、相方は振るタイプ


 とはいえ、そこはこのゲームのNPCクオリティ


 低木から飛び出してきたのは飛蝗かキリギリスか、まあジャンプ力のありそうな後ろ脚の発達した昆虫


 相方の湾刀が振られるも、当然自分に掠るでもなく、寧ろ突きに近いシャープな軌道で、接触の瞬間に急所を抉り切り取るような、圧倒的な動き


 本当にこのゲームのNPCのこの運動性能と言うか技術はどこから持って来たものなのか、素人目にも達人技じゃないかと思うのだが


 そんな事を考えている内にも、もう二匹飛び掛ってきたが、先に間合いに入ったほうを刺すのではなく、突き押して、撥ね返し


 二匹目をブロックして硬直させる


 再び、飛び込んできた飛蝗を相方が相手してくれるようなので、硬直した飛蝗を地面に串刺しにしてとどめを刺す


 とまあ、道沿いに出てくる小サイズ魔物くらいなら二人の連携で余裕で捌いて歩んでいる


 「後ねぇ大霊峰はねぇ登頂不可能って言われてるけど昔登った人がいるんだよねぇ」


 そして戦闘が終わった瞬間にこのテンションである。

 

 まあ、余裕がある方が気楽でいいか


 「へぇ?じゃあ、登って登れない事も無いんだ?」


 「そう!無謀なる者って言われる人が登ったらしいよ。何か山の上には綺麗な滝と海と羽の生えた蛇がいるんだってさぁ。海って見たこと無いからその内登ってみようかなぁ」


 山の上に海って、カルデラ湖かね?そして登ってみようかな~で登れるもんなの??それなら【海国】に遊びに行けばいいと思うけど、そして出たよ蛇関連情報


 どこからつっ込んだらいいのか分からない急な情報過多状態


 「色々気になるけどその羽の生えた蛇ってもしかして戦ったの?」


 「そうだよ!無数の雷を避けて戦うしかないんだってさぁ」


 はあ、なるほどな、もうフラグだな覚悟決めていきますか


 「弱点とかはないの?」


 「ないよ、強いってよ。でも一人で倒せたらしいよぉ。大霊峰登頂も一人でしたんだってさぁ」


 もう、ガンガン情報出てくるな。要は単独登頂して強力なボスとタイマンしろと


 その後ものんびりと犬人族と話しながら山を登っていく

 

 すると、どこまで登ったか、小さな村に辿り着く


 視界が開け、見渡せば、所々に見える雲は自分より低い位置に、薄ぼんやりと見える下界はただ広く

 最早自分がどれだけの標高にいるのかも良く分からない


 自分が景色を眺めている内に犬人族の相方は馬を村の中に連れて行き、村人たちが荷物をさっさと運び込んでいた。


 「いらっしゃい『ジャムツ』の村に」


 と年老いたサテュロスが現れる


 「話は聞いてますよ。今日はこの村で休んで、会いに行かれるとよい」


 「ありがとうございます。しかし結構あっさりですね。それぞれの国と摩擦が起きないようにしながらうまく会いに行くっていう指令だったので助かりますけど」


 「ホッホッホ、実は今、宝樹様に会える状態ではないのだ。邪神の尖兵が発生しておってな」


 「いや、おってなって場合じゃないでしょうよ。なんで応援呼んでなかったんですか?しかももっと慌てましょうよ」


 「まず、そんなに日常的に宝樹さまに会いに行くもんでもないでな、今回の補給の際に伝えてもらうつもりだったのだ。

 まあ、そなたが解決してくれれば問題ないので頑張ってくれ」


 「頑張ってくれって、他国の人間に丸投げで良いんですか?」


 「宝樹様から頼まれたのだろ?しかも【帝国】からちゃんと依頼されてて国家間でも承認が取れてる、任せるに十分だな。

 出来るだけの事をすれば良いのだ。無理なら別な方法をとるだけだ。焦ったところですぐにどうにかなるもんでも無し、今日は休むが良い」


 「え~じゃあ、飯食って寝ます。お世話になります」


 夕飯は、肉!チーズ!!馬乳酒!!!といった潔いものだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] お気に入りの作品なので今年もよろしくお願いします
[良い点] 間があいても、雰囲気が変わらず、読み返す必要なく、すんなりと思い出して読めるところ [気になる点] 体調がわるいかと、時々無性に気になります(笑) [一言] あけましておめでとうございます…
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