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12.【北砦】の【料理番】任務

 ■ 装備 ■


ステータス画面の存在しない本ゲームにおいて 装備を確認したい場合は各施設において『鏡』を見る必要がある


鏡に今のプレイヤーのアバターと一緒に装備している物の一覧がでる

手に持つ 着る 肩にかけるなどして 通常の服装と同じように扱えば自然と装備したことになるが、まめに確認することをおススメする


///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


 それからは、毎日クエストを受けに行く度【整備】任務に駆り出されるようになった。


 指名任務ということで報酬は割高らしいが、チュートリアル以来お金を使ったことが無い自分にはあまり関係ない。


 それでも続けるのは、自分を必要としてくれて、一山越えるごとに「助かったよ」と言ってもらえるからだ。


 はじめは、ひたすら次の倉庫、次の倉庫と片付けていただけだが、そのうち、本当は倉庫ごとに物品を分けていることが分かってからは、帳票に赤でマイナスを付け別倉庫用の帳票に書き足し何てこともやっていた。


 途中新たに物資が追加されることもあったが、倉庫ごとの物品の仕分けの仕方は分かっていた為、搬入時の受け入れ確認なんてのもやった。


 むしろ以前やっていたような、<手入れ>を使うようなものは、やっていないのだが良いのだろうか?


おおよそ倉庫も綺麗になり、いつものように中央棟にクエストを受けに行くと、


 「よう、【整備】では良くやってくれたな。珍しくあの眼鏡が機嫌よかったぜ」


 いや、眼鏡って。まあ、向こうも役長らしいし、仲が良いのかね。


 「でだ、噂を聞いた食堂の役長からお前を寄越せとさ。というわけで今日からは【料理番】だ。」


 「了解」


 いつもの敬礼をし、いつもの任務票を受け取ると東棟に向かう。


 まあ、認めてもらえてるってことだ、良いことだろうと気楽に食堂に入っていく。


 そこには、配膳係(今日の【料理番】だろう)がいたので、任務票を見せながら


 「任務を受けてきたんだけど、ここは誰に言えばいいんだろう?」と聞いた。


 「ああ、最近【整備】ばっかりやってる人か、料理長がお待ちかねだぜ!」と含み笑いをしながら答えてくれた。


 一体何があるのだろうと思いながら、部屋の端にある手洗い場で手を洗い、調理場に入っていくと。


 いきなり、


 「おう、話は聞いてる。ちゃんと手は洗って入ってきたし言うことは、ねえ。ちょっくら食料庫の整理を頼むわ」


 もう、どこから見ても料理長って感じのもうすぐじいさんに声をかけられた。


 ちなみに手を洗うのは【古都】の【料理番】で最初に教わる。


 「えっと、いきなり倉庫整理って言われても、帳票とかは、どこにあります?」


 「んなものは、ねえ。生ものはこっちに直接運び込まれるし、保存の利くもんも一度蓋を開けたらできるだけ、すぐに使うようにしてる。

 お前さんが、向こうの整理をしてくれたおかげで、調味料や保存食も滞りなく使えるようになって、作れる料理も増えた。後はこっちの整理だけで、うまく回る」


「そうなると、倉庫にあるものを品種別に分ければ良いってことですかね?古さとかは、分からないですよ?」


「とりあえず、どこに何があるか分かるようにしてくれ、作らなきゃいけない飯の量が増えてるんだ。そこまで手がまわらねえ、任せたぞ!」


 もう、有無を言わせぬ調子なので、食料庫を見ると


 確かに、置き方はめちゃくちゃだ。だが、倉庫の時程じゃない。


 なんだかんだ、この料理長やることは几帳面そうだ。


 奥に新しいもの手前に古いものが来ている。


 散々倉庫で箱を動かした所為か、古い箱と新しい箱が見分けられるようになったのだ。しかも食料庫の箱は、埃をかぶっていない。なんだかんだ掃除だけは出来てるってことだ。


 「どうだ!何とかなりそうか?」と聞いてくるので、


 「とりあえずやってみます」と答えておく。


 まず、棚を見てみると左が肉、中央が野菜、右が調味料だ。やっぱりちゃんとしてるな


 種類もなんとなく分かるようになってるし、新しいものから順に並べていく。


 なぜなら古いものは、どんどこ調理場に運ばれていくからだ。


 こりゃ確かに忙しいのだろう。


 時間を忘れて没頭していると、あっという間に片付いてしまった。


 料理長に声をかけると、


 「おう!?もう終わったのか?」と吃驚したように言ってくる。


 確かに不意に声をかけてしまったかもしれないもうちょっと相手の様子を見る心遣いが必要だ。


 「一応こんなもんでどうでしょう?使いづらいとかあれば、今日は時間なんで、次のときに言ってもらえると助かるんですが」


 「ああ、十分だ、古さとか分からないって言ってた割りにちゃんと順番になってるじゃねえか」


 「箱が古いものほど手前にあったみたいなんで、それ基準にしただけですよ。どこに何を置くのかもはっきりしてたし」


 「そうか、また頼むぜ。【熟練兵】が来る頃になると人員が急激に増えるからこの時期は物資の管理が面倒なんだ」


 まあ、「また、頼む」なんて言われたら、来ない訳にはいかないよな。


 一旦中央棟に任務完了の報告をしに来たが、任務票を料理長に渡すのを忘れたことを報告すると、


 「料理長か、あいつは、几帳面な割りにそういうところ無頓着だからな、お前も気をつけろよ」


 とだけ言われただけで済んだ。


 今、来たばかりだが食堂に戻っていつも通り、空腹度と渇水度を満たしていると、


 ふと思った。


 確かに砦に来たばかりの時は、パン+ジャガイモ塩スープばっかり食ってたわ。


 今は、ベーコンとたまねぎ?が入ってるし、ポタージュ?ヴィシソワーズ?になってる。


 今まで、ただ、ゲーム的なステータス回復としか思ってなかったけど、


 結構うまいわな。

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