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115.高原の腕試し

 ■ ゲル集落 ■


 【馬国】の遊牧民はゲルまたはユルトと呼ばれる折りたたみ可能な移動式住居に住んでいる。

 族長の住まう巨大なゲルをオルドと呼び

 オルドを中心としたゲル集落をクリエンと呼ぶ。

 必ずしもクリエンに住まわずとも家族単位や複数家族程度の少数でまとまって生活する者もいるが、高原に住まうものは高原の部族の一員であり、何かあれば助け合う関係にある。


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 「力を示せ」


 厳かな口調で一言それだけ

 でも、何となくこうなる気はしてたけどさ

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 あの後都市長との会話はなんとも平和と言うか地味と言うか本当にいつも通り普通


 【馬国】の宝樹は東の山岳地帯にあるとの事

 北西端の都市から東の端まで行くにはどうしてもひたすらに広い高原地帯を抜けねばならないと言う事

 高原地帯は慣れた者でなければ、すぐに方向を見失ってしまうので道案内が必要との事

 遊牧をして暮らしている者達は少しづつ移動しているので、それでは時間がかかりすぎるだろうとの事

 案内人を出せるのは高原地帯の族長位なので、そこに行って相談するようにとの事

 

 族長に相談とか言われた時点で、偉い人に会うのは嫌なので一人で行く方法が無いか聞いたが、

 <騎乗>に類するスキルと危険な魔物達と会わないルート選定と星や太陽や山の形を見間違わない技術を習得するのに相当の月日がかかるとの事


 それで已む無く、遊牧の民で族長の集団に属し、主に定住地に出向いて売買を行う輸送を得意とする方々について高原地帯を抜ける事数日


 いや、本当に地平線まで見通せるほど広いはずなのに何気ないアップダウンであっという間に自分がどっちから来たかも分からなくなるし、

 星はまさに満天の星空と言うやつで、どの星が目印か全然分からないし、太陽も日の出、日の入りだけは分かるが、歩いている内に何だかよく分からなくなる。


 極めつけは山の形、歩いている内に見る向きが変わる所為か形が変わる。

 同じ山だと言われてもよく分からない始末。

 そして明らかに同じ山が一つ有ると思ってずっと見て歩いてみれば、巨大な亀の魔物らしくゆっくり移動しているので当てにならないといわれた時は、


 単独行は諦めました。


 一つ褒められたのは道行の一緒の方々は皆馬に乗っているのに対して、自分は歩きにも関わらず平気でついていったので、健脚ですねといわれた位か

 まあ、輜重隊なので歩くのが仕事ですのでと答えたけどね。

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 そうして辿り着いたのは結構な大所帯、結構な広い範囲にテント?のような物を張ってる。

 自分がついてきた集団の代表が、荷物を何処に置くか指示だけ出して自分を伴い中央に位置する一番大きなテントに向かう。

 

 テントの表には二人の体の大きな・・・・ケンタウロスがいるが、代表を見ると何も言わずテントの入り口を開く。

 何となく質実剛健と言うか無骨だけど嫌な印象ではない。


 テントに入れば如何にも戦士然としたケンタウロスやヒュム、狼人間?達の中に先ほど入り口で見たよりもさらに大きなケンタウロスが一人悠然としている。


 そして何の前触れもなしに代表の方が

 「族長、無事帰還いたしました。

 今回は一件大事な報告がございます。

 この者は先だって通達がありました宝樹より要請を受け各国を巡る使命を帯びている者です。

 案内を必要としている為、先ずこちらにお連れいたしました」


 なんの前触れもなしにいきなり族長ですよ。

 高原地帯の族長って行ったらこの国の結構な範囲治めてる凄く偉い人なんじゃないの?

 そんな風に思っていると


 「力を示せ」


 これですよ。

 何かもう雰囲気が質実剛健で無口で無骨な脳筋ってイメージだもの

 嫌いじゃないけど唐突過ぎやしないですか?


 「大変恐縮ですが、まだまだ教わる事の方が多い身でして、あまり自信が無いのですが、勝てないと案内は出来ないとかそう言った・・・・」


 「そのような事は無い、世界を守られる一柱たる宝樹の要請とあらば協力するのは当然の義務である。

 力があるなしに関係は無い。

 ただ全力を尽くす姿を見れぬうちは信用できぬ。

 何より宝樹に認められた者が弱者であろう筈が無い・・・・力を示せ」


 「分かりました。ルールはどのように?」


 「無い、一対一で戦えばそれで良い」


 そして、促されるようにテントから出て、【教会】のテントに連れて行かれ、スキルを戦闘用にした後、広場に案内される。


 そう待たないうちに族長と戦士達が現れる。


 なんか【兵士】って呼ぶより、勇敢な戦士たちよ!って言う方が似合う威圧感


 「さて、誰とやるかは選んでよいぞ」


 「誰が何を得意としているかも分からないので、お任せします。誰相手でも全力を尽くします」


 「ふむ、では我と同じケンタウロス族のゾリグよ。相手をしろ!

 ゾリグは短弓の名手だ!矢はいくつ必要か!」


 「相手は短剣使い、間合いが広い私が有利なれば一射で決めましょう」

 と言い族長から矢を一本授かる


 おおよそ、30歩くらい離れた位置で、向かい合い、自然と始まる。

 お互い不意を突くでもなく呼吸の合ったと思った瞬間から始まる。


 ゾリグは間合いを変えずに自分の周りを走り始める。

 逆に自分は剣を抜いた後は動かずただ集中するのみ


 ゾリグが左回りに駆けて行く、そのまま死角に入り後ろを駆ける足音が聞こえ、右側に姿を捉えると同時に矢を放つ!目には一直線に飛んでくる矢が見えるが自分は殺気の感覚を信じ剣を頭上に掲げる。


 完全に見切れたわけではないが真っ直ぐ飛んできたはずの矢が頭上から落ちてきて剣に当たり足元に転がる。


 そこでゾリグは止まり

 「ふむ、我が曲射を見切るとは大した腕だ。今回は負けを認めよう」

 と元いた族長のそばに下がる。


 「今ので十分力を示したが、もう少し見させてもらうがよいか?」


 質問と言う名の強制ですよねぇ。まあ、休みたいと言えば休み位はくれそうな雰囲気だけど、やるだけやりますか


 「分かりました。次はどなたです?」


 「では、もうひとたび、ケンタウロスの戦士ボルドよ。相手をしろ!

 ボルドは長槍の名手!如何にして戦うか!」


 「我は突撃の一撃をもって、何者をも粉砕いたします」


 と言って先ほどと同じ位置で戦いが始まる。


 今度はただ一直線、突撃槍を構え真っ直ぐつっ込んでくる。

 自分は腹を決め受ける事にする。避けてもいいんだろうが、全力を尽くせといわれた手前それしか思い浮かばない。


 距離が徐々につまり、槍が完全に自分の頭部を狙っていると確信し、右手でもった剣の腹を左手首で支えるようにして、槍の一撃を待つ。


 敢えて力を逃さず全部自分で受けきるように角度を完全に調整して、受ければ


 何メートルか押し込まれながらもいずれ止まる。

 足元からはもうもうと砂が巻き上がる。


 「正面から受けきられれば、何も言えぬ。負けを認めよう」


 そういってボルドも元いた位置に下がる。


 「よかろう、だが、まだ余力があるようだな。素手での組合はどうだ?」


 「全く出来ません【訓練】もした事無ければ、スキルもございません」


 「だろうな。我が戦士達は皆馬上での戦闘を得意とするが故、お主とは間合いが合わぬ様だ。どうしたものか」


 すると狼人間風の戦士が

 「先日より逗留しているニューターの騎士に依頼してみては?」


 「よかろう!話がまとまれば、力を見るのは終わりとしよう。しばし待て」


 そう族長が言うと戦士の一人が走り去っていく

お久しぶりです。

色々迷った挙句どうどう巡りに陥ったので、見切り発車でこのパターンで行きます。

追記

古いRPG等ででてくる理不尽にいきなり強制で戦う事になると思いきや何かあっさり終わっちゃうイベントみたいな微妙な感覚を表現したかった次第です。

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