114.『コロンゴ』
■ 馬国 ■
正式名称チウングーヌ
非常に広大な国であるが巨大魔物が悠然と闊歩しヒトの住める地域は限られている。
魔物の少ない外辺地域で農業を行い、魔物の多い地域では魔物を避けつつ移住生活をし家畜を育てている。
革製品などを特に名産としていて質も高い
さらに【馬国】の名前どおり馬の質も高く騎乗馬も輸出している。
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そして山を登っていく事数日、やっと【馬国】の都市についた。
都市の名前は『コロンゴ』北西部の玄関口だ。
なんでも【馬国】の大半はひたすらに広い高原で、おおよそ北側は木々や草などが生えやすく、南側は荒野や砂漠地帯が多いのだとか。そして東部は山岳地帯になっており、大霊峰と呼ばれる登頂不可能な山が世界の端なのだとか
北西、南西、南のそれぞれ国の端に大きな都市があり外交の他、国の主要な機能が揃っており、
国土の大半を占める高原地帯には巨大な魔物が普通に闊歩しているとか
そしてその魔物の隙間を縫うように移住生活をするのが元来のこの国の人たちの生活で、今もその生活を続けている者は多く、
常日頃から魔物と隣り合わせに暮らしている彼らは非常に屈強でいざ戦争ともなれば、剽悍で勇ましい者達だと言うこと
・・・・そしてこの国には【兵舎】と言う物が、無かった。
都市に辿り着いてまずは【運び屋】の【営業所】で荷下ろしをして、いつも通りのターバンのおっさんに運んできた荷物、買い付けた石材、そして現物支給で貰ったアカーントウエィを預ける。
当然ながら【鉱国】のお酒アカーントウエィは自分で飲む分や挨拶代わりに振舞う分位は自分で確保する。
次に宝樹の件を偉い人に聞きにいかなくてはと【兵舎】を探すも見つからない。
やむを得ず誰かに聞くかと、店先に野菜を並べてるお店のおばちゃんに話を聞いたのだが、要約するとさっきの情報だ。
時間的にちょうど手が空いていたらしく、本当に色々教えてくれたのだが、
近所の子供がませてるとか・・・・
「大人から見ると子供って何かそういうもんですよね」としか言えん。
【兵舎】で【兵士】を育てると言うよりは屈強な連中は自然と移住生活者になって鍛えられちゃうと。そして戦うすべを身につけてしまうとそういうことらしい。
とにかく誰でもいいのでこの都市で偉い人に会いたいと伝えると役所に行くといいと言われ、今向かっているところだ。
しかし、国なんだから役所があってもなんら不思議は無いんだけど、ゲームで役所に行けって指示されるとは思わなかった。
だって、役所も何も自分達プレイヤーであるニューターは戸籍すら登録してないはずなのに、役所に何の用があるんだろうか?
税金とかはきっと自分が所属するジョブの拠点から天引きされてるんだろうし、そういう意味では自分にとって【兵舎】が役所みたいなものだし。
そう考えると住めて飯が食えて仕事が割り振られて煩雑な役所手続きの無い【兵舎】って最高の環境だったな。
などと考えているとかなり大きな建物に辿り着く、お目当ての役所だ。
入ってみれば、大忙しと言う風でもなければ、活気が有るというわけでもなく、職員さんも手続きをしにきていると思える人たちも一様に静かで、如何にもお役所だ。
取り敢えず、外国人窓口に行く。何故なら自分は【帝国】所属だからだ。
ちなみに役所に来ると決まった時点で<言語>は付けてきている。
受付には小さな眼鏡をかけた初老の男性が座っている。
アニメでもゲームでも漫画でも好きな人はすぐに思いつく顔のサイズに対して小さめの丸い老眼鏡だ。
だが、そんな事はどうでもいい、問題は頭に角が生えている事か背中側に湾曲した角が2本
見たことあるような気がするが何の角だったか。
「すみません、さっきこの国に着いて初めて役所に来て早々なんですが、どなたか偉い人にお会いしたいんですけど」
「どなたか偉い人ですか、どなたかと言うからには事前アポイント等は無いのでしょうが、目的と所属国とジョブからうかがえますかね?」
役所など行きなれてない自分は何か変な日本語を使ったような気もするが普通に対応してくれる職員さん
「ああ【帝国】所属の【特務上級士官】で、宝樹の件です。アポは多分国同士でやり取りされてるはずなので、偉い方なら分かるかと」
「ほう、宝樹の件ですか?では少々お待ちください。こちらの番号札でお呼びしますので」
と言われて番号の書かれた木札を渡される。
そして職員さんが奥に行くところをなんともなしに見ると足が蹄だ。
一旦窓口から離れて邪魔になら無さそうな場所で立ちながら、
角に蹄、角に蹄、角に蹄・・・・と自分の記憶を漁っているとそんなに待たずに呼び出される。
「お待たせしました。すぐに都市長と面談可能です」
「そうですか、じゃあすぐにお会いしたいと思います。
ところで、失礼じゃなければですが、サテュロスですか?」
「ええ、そうですよ。角を見ていただければ一目瞭然かと思いますが【帝国】ではあまり見慣れませんかね?」
「初めてお会いしたもので不躾で申し訳ないです」
「いえいえ、初めてではそういうものでしょう。我々はこの国の最東部の山岳地帯に元々住んでたと言われています。今ではあちこちにそれぞれ個人が住みやすい場所に住んでいますが、笛と踊りを愛する種族です。一般的には獣人と言われますね」
「他にも獣人の種族はいるんですか?」
「ええ、いますよ。ケンタウロス、ミノタウロス、リザードマン等ですかね」
「え?ミノタウロスって種族でいるんですか?」
「ええ、牛頭人身で非常に力強く、力仕事についている事が多いですね。斧の扱いが巧みなので伐採とかの仕事に従事している事が多いです」
つまり姿形だけ神話からもってきているけど成り立ちは違うわけか~ミノタウロスってミノス王の子供だから本来種族じゃなくて単体のはずだもんなぁ。
何となく斧もってるイメージだからって伐採業か~
しかし【鉱国】で獣人がいるとは聞いてたけど、こっちの方向とはな、ネコ耳だの犬耳だのそんな物は出てこないぞ!とつまりそういうことだろうな。
まあ、でもことごとく力強そうなイメージの種族ばかりだし、剽悍な移住生活者は悪く無いか
お久しぶりです。ひとまず都市に着きました。
役所に【】が付いていないのはプレイヤーがジョブとして働ける場所ではないからです。あえてなので誤字じゃないです。