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112.【馬国】への道すがら

 ■ ステータス ■


 本ゲームでは数値として表示されていないが、各々の行動によって数値が変動する。

 そしてそのステータスを十全に活用するためにクエスト【訓練】が用意されている。


 しかし、プレイヤーに限り成長余地としてステータスに割り振られる前段階のポイントが存在し、そのポイントが数値変動に加算される事でNPCより成長スピードが速くなる。

 

 そのポイントは魔物の討伐や生産の原料からの精製など複数の手段で得る事が可能である。

 しかしながらそのポイントも数値として確認する事は出来ない。

 【訓練】をしてくれる師匠NPCが、余力として判断してくれる。


////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


 準備が整った旨を報告するが早いか積荷を船に積み込んでいる。

 と言うのも【馬国】は『サンハッカー』から外に出て向かいの大河を渡った先にあるからだ。

 むしろ大河をはさんで国が分かれていると言ったところか。

 馬車ごと船に乗せて向こう岸に渡すそうだ。

 流石に【帝国】ではないので、アリェカロではない。馬に引かせた荷馬車だ。

 現実の競馬とかで見るすらっとした馬ではなく、脚も体も太い重量感のある馬だが荷を引くには似合いそう。

 

 本来なら隊長として、仕切るべきなのだろうが、ドワーフと【運び屋】達が手際よく積み込んでいくので、ただ眺めているだけだ。


 そんな時、やや年嵩の【運び屋】が声をかけてくる。【帝国】から一緒だった面子の筈だ。


 「隊長さん今度も一つよろしくお願いします」


 「嗚呼、こちらこそよろしくお願いします。【帝国】からの道すがらはあまり話したりしなかったのですが、記憶にはありますよ」


 「そうですか、私もこの仕事は長いですが大勢で一緒になって運んで歩くなんてのはなかなか経験が無くて」


 「へぇ?普段は少人数で仕事されてるんですかね?」


 「ええ、まあ、でも大半の【運び屋】は個人だったり少人数だったりですよ。私達の仕事はあくまで物を運んで運び賃を貰うだけですからね。一つ所にとどまれない性分の者や見たことの無い景色に憧れる連中が辺鄙な村や秘境の里なんかに荷を運んで、旅や宿の金を稼ぐのが基本ですから、むしろこんな多くの物を運ぶのは本来『隊商』の仕事でしょうな」


 「でも、物流は大事な仕事じゃないですか?」


 「ちょっと町から外れれば魔物がいるんですから、その辺りは国の仕事ですよ。私達は国で回りきれない小粒なお届け物を飯の種にしてるわけで、でなけりゃ一発で稼ぐ【商人】さんたちが一杯護衛を連れて売り歩くとかそんなもんですよ」


 「ほぉ、すると何で今回自分達にお鉢が回ってきたのか不思議ですね?」


 「まあ、隊長さんは【特務上級士官】って言う国の立派な肩書きがありますし、公務といったところなんでしょうね。どこも実際は輸送に苦労しているようですから」


 「まあ、街道沿いを歩くわけですし、そんなに強い魔物が現れるわけでもないので、別に問題はないですけど、それに皆さんも秘境に行くくらいで相応に戦闘力もあるようですし」


 「まあ、私達は集団で戦うのに慣れてませんから、隊長さんの存在は心強いですよ。

 ところで話は変わりますが、隊長さん以前に比べて力が余っているように見えますが?」


 「力が余って、ですか?【帝国】で結構【訓練】したので、それなりに使いこなしていると思いますけど?」


 「いや【鉱国】で大分力を増したんではないですか?もしお嫌でなければ【運び屋】の基本である移動について【訓練】お付けできますよ?【馬国】は標高の高い土地にありますし、平地を歩くだけでなく<登攀>の熟練を上げていくのにも良いですし、高原地帯では<疾走>の熟練を上げてみても良いかもしれませんね」


 「そうですか、じゃあ、どこかで<登攀>を付け替えなきゃいけないですね」


 「【馬国】の都までつづら折の坂をひたすら上っていくことになりますし、途中何度か町に寄ることになるでしょうから、その時に<登攀>に付け替えて移動の基本歩く、走る、上るコツを【訓練】する事にしましょうか。【帝国】からの道中は流石に輸送隊を率いていただけあって随分と体力がある事は見せていただいてますし、移動の【訓練】をすれば、より効率的に緩急自在に移動できるようになりますよ。そうすれば長距離の移動はもとより戦闘時の一瞬の間合いの出入りすらすばやくなりますから、悪い事ではない筈」


 と言うことで、いつのまにやらステータスが伸びているようなので【馬国】までの道すがら移動力を高める【訓練】をすることになった。


 「自分は【運び屋】としてのキャリアは非常に短いので色々教えてくださると助かります」


 「ええ、私でよければ何なりと。私達の性質(さが)はまだ見ぬ場所に行ってみたい見てみたいですから、本分は探索です。色々と有用なスキルもありますから、気になるものがあれば、分かることはお教えしますよ」


 ふむ、意外と話せる感じのいい人だ。こんななら【帝国】で顔合わせした時点からもっと色々積極的に話しかけるべきだったわ。


 そんなこんな駄弁っていたら荷物の積み込みも終わり、船に乗り込み対岸に渡る。

 ドワーフ達が何人か見送ってくれる。

 

 次はどんな宝樹や魔物が待ち受けてるのか、そして移動の訓練って【帝国】の拷問みたいなやつじゃないよな?ってふと大河の水面を見ながら思ってしまう。

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