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103.『アサイントサッツ』

 ■ 特殊金属 ■

 

 魔石を使用しその金属本来の性質を変化させたものの中でも特に貴金属を変化させたものをそう呼ぶ。


 通常武器防具に使用される金属の性質変化の受け入れキャパシティでは特殊金属と呼ばれる程の変化は無く多少の強化に留まってしまう。


 反面貴金属は受け入れキャパシティが大きい為、魔石による変化も受け入れやすく、本来武具に向かない強度にも拘らず、魔石による性質変化により武具として使用可能な状態にすることが可能である。


////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////



 しかしまあ、土から始まって石、金属、酒、貴金属と来て最後は特殊金属か・・・・

 ドワーフが住んでるだけあって、地下資源特化の国なんだろうが、外に出れば普通に樹も生えているのに地下資源によっぽどこだわりがあるんだろうな。


 一応この『アサイントサッツ』の次の街は一周回って『サンハッカー』に戻ることになるようだ。

 街の人に聞いた感じでは間違いない。


 そうなれば、話が進むのかねぇ。

 正直完全に観光気分なんだが、そろそろ緊張感と言うか任務感が霧散しそうだ。

 いや、ほぼしてる。


 国で管理している宝樹に会って様子を見てくるって言う任務のはずだが、いきなりたらいまわしで、結構だれてきた。


 普通昔の一ゲーマーとして思うのは世界に散らばる宝樹に会いに行くなんてのはどきどきわくわくな冒険ドラマRPGのイメージなんだが、このゲームが地味なのか自分の周りだけ地味なのか判断つきかねるわ。


 まあ、いくら言っても詮無きことかね。

 偉い人に会って特殊金属について聞いて、出来れば見せてもらって、好奇心を満たしたらさっさと進むとしますかね。


 と言うわけで、街で一番大きな家に突撃


 「こんにちは!この街で一番偉い方にお会いしたいんですが」

 とりあえず、扉を開けて声をかける。

 

 「ん?おう」


 奥からまたもや無愛想な雰囲気のドワーフが出てくる。


 「その通行証をかけてるってことは弟子入りじゃ無さそうだな。何の用だ?」


 「宝樹の件で来たんですけど。後差し支えなければ特殊金属についても聞ければと」


 「ああ、そういうことか、なんかトラブルがどうとか言ってたな。俺も一応は役持ちだが、どうしても金属のこと以外は興味が無くてな。

 逆に特殊金属のことなら教えてやるぞ」


 「そうですか、じゃあ、お近づきの印にまず、一杯」


 と言って氷結酒を渡すと、おもむろにラッパで飲みだす目の前のドワーフ。


 「悪いな、こいつはいいものだ。俺の口も滑らかになるってもんだ。

 まず、俺の役職は『魔鉱長』だ。

 ちょっと凶悪風な名前だが、要は魔石を使って性質変化させた金属を扱う専門ってとこだな」


 「嗚呼、自分のダガーも魔鋼だから何となく言ってることは分かります」


 「まあ、有名なところだと貴金属は通常アクセサリーにしか向かないが、魔石を使用して性質を変化させることで、防具として使用可能になる。

 変化した金属をミスリルやオリハルコンなんていうが、要はミスリルは魔石を使用して性質の変わった銀のことだ。オリハルコンなら金」


 「え?それってコストが高そうな割に何か意味有るんですか?」


 「一応メリットは二つ。

 一つアクセサリー並みの補正のかかった防具が出来る。

 二つアクセサリーとして防具を装備できる。ただし多少の制限はあるが」


 「え?それずるくないですか?自分<皮殻甲>なのに金属装備出来ちゃうじゃないですか?逆にありがたい」


 「まあ、出来るな。ただ装備できる箇所はアクセサリーに順ずるがな。

 ただ、デメリットもあるからな。

 クソ重い、クソコストが高い、クソ耐久性が低い、の3Kだ」


 「いや、そのKはクソのKですよね」


 「まあ、それでも<精霊術>を使うなら武器やサブ武器に使うには便利だろうがな。

 一応俺たちのご先祖様の伝説に英雄王ってのがいるんだが。全身特殊金属を装備して戦ったらしい。

 上から下まで黄金でびっちり固めて、黄金の巨大ハンマーで戦ったとか、

 良く動けるもんだと感心するな」


 「はあ、まあ、自分としては回避を捨てる気も無いし、クソ重いのは困りますかね。

 前は、全部受け止める派だったから良かったんだけど。

 後<精霊術>だったらちゃんと使える金属も存在しますよね」


 「あちこち歩いて周るなら止めておいたほうがいいんだろうがな。

 ちなみに【王国】の伝説上の聖騎士も使ってたらしいな。

 聖騎士は【神官】系の職業から騎士になることでなれるわけだが、<服>系のスキルをとってたから前線に立たなくてはならなかった時、アクセサリー枠に防具になるような装備をして、強引に前線で戦ったとか」


 「へ~でもまあ、耐久値低いとかちょっと自分向きじゃないですね」


 「ほう、耐久値重視か?いい選択だな。なんだかんだ手になじむ物を使ったほうがいい。貴金属を性質変化させたもののほうが需要があるから作っているが、どんな金属にも長所はあるし、長所を伸ばしたり短所を埋めたりするほうが安定感のある物が作れるからな」


 「なんで、貴金属を性質変化させた物がそんなに人気有るんですかね?」


 「しらねぇ。ニューターがこの国に現れるようになってから、やれミスリルだ、オリハルコンだと使いたがる奴が多いってだけだ。

 別に希望する奴に基本を教えるのは仕事の内だし構いやしないがな。

 それにしたって、普通に金属打った方がいいと思うがな。その上で性質変化させりゃあ、結構それなりの物が出来るからな。

 確かにアクセサリー並みの補正のある金属武具のロマンも分かるがな」


 話を聞く限りではやはり自分向きじゃないし、さくっとお暇しますかねぇ。


 「ところで、お前さんの武器をちょっと見せてみろ」


 と言うので、氷鋼剣と魔狼の牙を渡すと


 「ふむ、もうちょい性質変化させられる余地が有るけどどうする?」


 「へ?そうなんですか?そういうのって作った時に決まるんじゃ?」


 「ああ、基本的な部分はな。とは言え追加の性質変化は可能だぞ、材料も必要だし、確率の問題も有るがな。何か希望はあるか?」


 「まあ、丈夫で長持ちしてくれるのが一番助かりますけど」


 「重さとか切れ味とかはどうだ?」


 「重さはもうコレになれてるし、切れ味も今のところは不満は無いですよ」


 「じゃあ、丈夫さだろうな。性質変化にはとにかく魔石が必要だ。中サイズ以上の物が有るなら出しな」


 と言うので、今まで魔物を倒してきて何となく溜まってしまった、魔石を渡すと


 「この数だと何回か試せるが、全部丈夫さの強化に使っちまっていいのか?」


 「使いどころの無いものですしあるだけ使っちゃってください。ショートソードとダガーで平均的に上がってくれれば助かります」


 「そうか、じゃあ、待ってろ」


 と言って、部屋の奥に行くのでとりあえず待っていると

 手持ち無沙汰になりつつもそう長くかからずに、ショートソードとダガーを持って出てくる。


 「じゃあ、コレで〔氷鋼剣+2〕と〔魔狼の牙+2〕になったぞ、丈夫さが大分上がってるから、そうそうすぐには壊れることは無いだろう」


 何かあっさりと強化されてしまった。

 ジョブが変わるときもそうだが、結構唐突にこういうことが起きるな。

 まあ、丈夫になればそれだけ雑に扱っても平気だろうし、普通に自分でメンテするだけでもかなりもつだろうし、助かるか。


 「さて、後はサンハッカーに戻ってもう一度商業長に会えば、状況が変わりますかね?」


 「どうだろうな?だが、流石にそろそろ通さないわけにもいかんだろうからな。国同士で許可が出ているものをそういつまでも引き伸ばさんだろう」


 「そうですか、ありがとうございます」


 さてさて、結構かかってしまったが、任務大丈夫なんだろうか?

 失敗とか、ならないよな?

すみません、大分久々の更新です。

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