表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101/613

101.『ヤダンピッス』

 ■ 耐久値 ■

 値となっているが数字では現れない。

 <鍛冶>、<裁縫>、<修理>等

 装備品の耐久値の回復が可能なスキルを持っている場合、色で耐久値の減少具合を把握できる。

 白→青→緑→黄→橙→赤

 実際には少しづつ変化する為、これよりも段階は多いがおおよそ上記の色で区分けされている。

 使用すれば使用するほど、どんな武器、防具、アクセサリーであろうとも耐久値の最大値は下がっていく。

 また、使用せずとも耐久値を永続的に下げる効果のあるスキルや魔物の特性も存在する。

 

////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////



 「もう、駄目ヨ!ずぇんずぇん駄目!服って着れれば良いってもんじゃないの!もっと自分を開放して、表現しなきゃ!」


 マンダーリカーのお酒の誘惑を断ち切り、早足で歩を進めて辿り着いたは貴金属の街『ヤダンピッス』

 アクセサリーを売っているところも有るが、基本的には生産中心の街のようだ。

 今までの街と比べれば、プレイヤーを結構な頻度で見かける。

 宝飾店には多少興味もあるが、ヤターナーをうろついた後ではそこまでの感動も無く、

 サクサクと偉い人に会って、さっさと通り抜けてしまおうと

 一番偉いと言う『美装長』に会いに行って

 

「やだぁ、おまたせぇ!」

 

 の次に言われた一言が、さっきのだ。


 しかし、言われても特に怒りも悲しみも湧かない。

 既に大きなショックを受けて脳がフリーズしてしまっているようだ。


 髪も髭もてんこ盛!盛!な、オネエドワーフ

 化粧は多分ギャルメイクの分類で間違いないと思うのだが、全ての指に色違いの大きな石の指輪をはめて、何かもう全身きらきらで、逆に何を主張しているのか分からないんだが?


 「やっぱり、服の色使いとかが良くないですかね?」


 「違うの!良いとか悪いとか以前の問題なの!もっとあなた自身を表現しなきゃ!腕っ節の強さでも人を率いるカリスマ性でも自分の信じる正義でも何でもいいの!

 まずそれを見せてくれないことにはこれ以上話を進められないわ!」


 「それは宝樹に会うには装備を変更しろってことですか?」


 「え?美しさを求めて弟子入りしに来たんじゃないの?」


 「・・・・違いますけど、こちらに話は通ってないですかね?この街で一番偉い方だって聞いたんですけど」


 「あら、いやぁねぇ!『美装長』に用があるって言うから<細工>関連の弟子入りかと思ったじゃないの!公務では『細工長』でいいわ。

 ここで採れる貴金属とそこから作られるアクセサリーや宝飾品の管理をしているの」


 「細工って何となく微妙な言い回しですね」


 「しょうがないのよ。貴金属だけのアクセサリーは<彫金>、石を使用したアクセサリーは<宝飾>で分かれるんだけど、両方管轄なもんだから」


 「<宝飾>は石工長に頼むとか?」


 「石工長はもっと石の建物関連もやってるからそれはそれで忙しいのよ」


 「ところで、貴金属も山ほど種類があるんですかね?」


 「基本は銅、銀、金、プラチナね。後はそれに混ぜて使える金属がいくつか、ホワイトゴールドなんかね」


 「こっちは少ないんだ。でもそうすると、あえて<彫金>って意味あるんですかね?」


 「そうねぇ<宝飾>は石の力を引き出すアクセサリーだけど、<彫金>は<象印術>の媒介にも出来るし、<付加術>も使えるし、身体能力増強にも向いてるわね」


 「つまり、術さえ使えれば結構幅が有ると。そう言えば、普通の防具に<付加術>使うのとアクセサリーに使うのじゃやっぱり効果が違うんですかね?」


 「そりゃあ違うわよぉ。単純な攻撃力や防御力の増強が得られない代わりに、付帯する効果は歴然の差よ!それこそ単体で装備スキルが付くなんて普通だし、使いたいけどスキル枠に入りきらない何て時は必須よ!必須!

 耐性だって、一口に○○耐性って言ったってアクセサリーのほうが効果がずっと高いのよ!当然精霊の適正や身体能力増強だってピンポイントで、ゴスっと上がるわよぉ!」


 「へー、自分も一応氷精の術発動補助のアクセサリーつけてますけど、そこまでの効果を感じないんですけど?」


 「んぇー?ちょっと見せてみてん」


 と言って自分の左腕を取って、腕輪をまじまじと見る細工長、なんかもう慣れてきた。

 むしろ、昔パートしてた頃の10代後半の同僚のデートの日の化粧の濃さと言うか、自分の良さをむしろスポイルしているかのような、あの化粧を思い出すとこのドワーフの化粧はかなりうまいのかもしれない。


 ナチュラル感は全然無いけど、むしろそういう演出と言うか、盛ってます!みたいな主張を感じてきた。


 そんな事を考えている内に、蛇をかたどった腕輪の頭の部分がカチッと音がして、口部分が開いたかと思うとうす青い煙を吐き出し、口が閉じる。

 すると手の周りに雪の結晶を象ったようなエフェクトが、きらきらといくつも現れたり消えたりしている。


 「これは、口の部分を開くと<氷精術>関連の効果が上がるみたいね。術を使うほうの手に装備したほうが良いわよん」


 「つまり装備しただけでは効果が無かったわけか」


 「多少は有ったんじゃないかしら?でも口を開いてからが本番よ。数分間氷精のダメージ増強、マイナス効果の増強、氷精に耐性のある相手にもマイナス効果を発生させるみたい!一度使用したら再使用まで時間が結構かかるみたいだから、切り札として使うのがいいかもねぇ。コレ討伐特典ねぇ?効果が高すぎるもの」


 「まあ、討伐特典ですけど。まさかこんなギミックがついてるとは」


 「何でも、ちゃんと調べて使ったほうが良いわよぉ」


 腕輪を右手に装備しなおす。いつもは氷鋼剣は右手で使用しているからだ。

 今までは邪魔にならないように時計みたいに左手につけていたんだけども。

 しかし、思わぬ収穫だ。デバフ効果が上がるとなれば、自分としては戦いやすくなることこの上ない。


 「ところで、コレしかアクセサリーを装備しないなんてあまりにも酷すぎるわ!もうちょっと盛っていきなさい!【帝国】を代表して宝樹を巡るんでしょう?」


 「いや、後でチャロアイトのバングルも手に入るので、間に合ってます」


 「まあ!チャロアイト!それは良いわね!

 でも駄目ヨ!駄目駄目!指輪やネックレスや腕輪やアンクレットに限ったものじゃないの!アクセサリーって!

 例えばその剣帯、皮だけじゃなくてつなぎの部分を貴金属にするだけでグッと上がるわよ?」


 「何かの効果がですか?」


 「効果も少しは上がるけど・・・・

 男ぶりがグッと上がるわよ!金は男らしいし、銀やホワイトゴールドもさり気無くておしゃれ感があるし、銅ならこだわりを感じるわ!プラチナなんて言ったら、一気に上のランクの男よ!」


 「男ぶりかぁ」


 「コートもただの皮の着流しなんて駄目ヨ!ファーは悪くないけど、やっぱりポイントが有ると違うわよ!ブーツも同じ!留め金だけでもこだわっていかなきゃ!中の胸当てなんて、黒い甲殻そのままじゃないの!もっと、おしゃれ感出していけるわよ!剣だって柄尻をちょっと取り替えるだけで、強そうに見えるわ!あと、腹巻と肩当と腿当は壊れかけてるじゃないの!流石に新しいのにしなさい!」


 なんかめっちゃ駄目だしされる。


 「防具の装飾品って、金属装備のスキルもって無くても干渉しないんですか?」


 「そりゃあ、アクセサリーだもの。むしろ装備の効果を少し上げてくれるわ」


 「デメリットは?」


 「少し使い減りしやすくなるわね」


 「丈夫なものの方が好みに合ってるので、自分には向かないですかね」


 「えええぇぇぇ・・・・そんな・・・・可愛いもカッコイイも正義だと言うのに、このニューターの心にはどんな闇が潜み、どれだけの狂気を秘めているのか、まじこわーい」


 武装に装飾品をくっつけないって言っただけで、ひどい言われようなんですけど


 「まあ、いいや。気が向いたらまた来ます」


 「そうねぇ。次はもっと自分を解放していらっしゃい。そうしたらファッションセンスを磨きましょう!」

もうすぐで1周

その後、戦闘回が続くので、それまではお話回が続きます。

戦闘以外でも面白い事件が思いつけばいいんですけど、ネタに詰まってます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ