王様 召喚勇者と対面する
互いの気持ちを確認したあと、俺は凄く嬉しくて浮かれて嬉々としてリズエリーテに指輪の機能を話した。
それは、リズエリーテと俺だけ直通念話が出来る、これはたとえ強力な結界の中でも関係なくリズエリーテが念じれば必ず繋がるのと、俺が指輪に魔力を込め独自の守りの魔法を掛かけている。
そして、いつでもリズエリーテの居場所がわかる。
どんなに強力な結界でも、異世界でもな、これは一応言わなくてもいいかと思っている。
誤解するなよ、常に判るわけではないぞ、いざという時にわかるようにしてあるだけだ。
なんか誤解されて引かれたら嫌だからな!断じてストーカーとかでは無いぞ!必要な時が有るかもしれんからな!
そして、午前中は二人でたわいない話をして過ごし、お昼を一緒にとり、午後は互いに仕事があるので、俺はリズエリーテを送り届け王城へと戻った。
戻った俺は執務室へ入り、機嫌よく机の椅子に座った。
俺の机の左手側の壁側の机で仕事をしていた、マリオが立ち上がり一礼をして、首を傾げ俺に話し掛けてきた。
「クロウフォード陛下、何か良い事でもございましたか?」
「ああ、リズが、俺と共に生きてくれると言ってくれた」
眼を見開いて驚いたマリオは、足早に俺の机の前まで出てきた。
「クロウフォード陛下、それはどういう意味ですか?」
マリオは、今までに見たこと無い程の、含みの無い笑みを浮かべている。
逆に怖いぞ。
「どういうって、いづれ結婚すると言うことだ」
マリオの笑みに困惑しながら、答えたが。
マリオは微笑みながら、一礼をし心なしか弾んだ声で話す。
「それはおめでとうございます、それでは、リズエリーテ様の部屋を整えないと行けませんね、今日中には移動して頂かないと、では、しばし私は失礼致します」
そそくさとマリオが出ていく。
呆然とマリオを見送った。
「なんだ?あいつ、いつもと違うぞ、まあ、いいか、リズに対してはあいつは、悪いことはしないだろう」
そして、俺は執務を始めた。
*****
それからは、リズエリーテの希望で、暫くは喫茶店での仕事を日数を減らして勤める事となった、それ以外の日はマリオにガーディス連合王国のしきたりや、歴史等を教えて貰っている。
マナーについては、元々リズエリーテはダリア王国の王妃教育がされていたので、国内的には問題ないが、対外的な事を重点的にマナー教育をすることになった。
そんな生活が数日たった頃のある日の朝、執務室で仕事をし始めた俺とマリオ。
ドアが叩かれ臣下が、マリオへと歩み寄ると、耳元へと口を近付け報告をした。
報告を聞いたマリオは、顔を上げ俺の机の前に移動し、無表情に報告をする。
「クロウフォード陛下、ダリア王国を出た勇者一行が、闇の森にもうすぐ入るとのことです」
報告を聞いた俺は、書類に判を押し終わりニヤリとして顔を上げた。
「漸くのお出ましか、取りあえず、闇の森を迷宮にして様子を伺うことにするか、じゃちょっと見に行って来るか」
「リズエリーテ様には、何と申し上げますか?」
マリオに言われ、どうするかととむむっと考え、首を振り答える。
「様子を見て来るだけだしな、迷宮もそんな時間もかからんから、言わなくていいだろう」
そして俺は、魔法を発動し闇の森の魔王城に転移した。
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闇の森の魔王城の屋根に転移し気配を探った。
そして勇者一行の気配を確認し、遠視魔法で観察すると、首を傾げた。
「なんだ?あれは、全員隷属の魔法が掛かってないか?それも隠されてるな、それに勇者以外はすごい暗い顔してるし、よし、予定変更だな」
そして、闇の森に全体に魔方陣を発動させ結界を張る。
結界を張ったことにより、勇者一行に遠視魔法が掛けられている事に気がついた。
慌て偽造映像を送る。
一回途切れたが、まあ、大丈夫だろ、大体この森は魔素が多いからダリア王国の魔術師では、そんなに綺麗に見れない筈だ、俺は綺麗に見れるがな!
この森の警備隊のリーダーへ連絡を取り、勇者一行に弱い魔物がけしかけて魔王城へと誘導するように指示を出した。
それからすぐに魔王城の状態を確認しに王の間へ転移した。
魔王城の王の間だか、そこはまるで闘技場の様な場所だ、円形に壁が二メートル程の高さで、その外側は、すり鉢状の見学席があり、その一番奥の高い場所に豪華な椅子がある。
地面をトンと蹴って跳んで壁の上に立ち、ぐるりと闘技場全体を見て、少しほこりぽくなっているのを見て、偽装工作部隊に連絡して、掃除を依頼した。
王の間を確認し終わり、再度勇者一行の様子を確認する。
「あいつらの移動速度どの位だ?」
気配を再度探し、遠視魔法で見てみる。
「わりと速度が速いな、こっち着くのに、7日は必要か、戻るか」
そして転移魔法で執務室へ戻った。
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転移魔法で執務室へと戻った俺は、自分の机に移動しながら、マリオにこれからの予定を話した。
「マリオ、予定変更だ、とりあえず一行は、魔王城へ招き入れるぞ、魔王城へ誘導するように警備隊へは指示をした」
「戦われるのですか?陛下」
マリオが訝しげに小首を傾げる。
「うーん、まあ、その時の状況によってだな」
自分の机に移動し椅子に腰掛背に持たれた。
「リズエリーテ様には、どう言われるので?」
「そうだな、一行が来るのは7日後の夜だろうから、晩は野宿して翌朝にやって来るだろう、日中に片を付けれるだろうから、言わなくていいだろう」
「わかりました、ちゃんと夕方には帰ってきて下さいよ」
マリオは、本当かなっと疑いの、眼差しで俺を見ている。
「わかっている」
失礼なと思いながら顔を背け書類に手を伸ばした。
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そして、7日後早朝、俺は闇の森の魔王城の屋根に転移して、勇者一行の場所を確認した。
「おお、俺の読み通り、夕方頃にここに着きそうだな、ま、一応、警備隊に報告を依頼しとくか」
そして、遠視魔法で勇者一行の様子を見る。
「よしよし、ケガしてないな、元気に魔王城までやってこいよ」
ふふふと楽しくなり笑ってしまう。
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そしてその夜、魔王城の王の間の玉座に転移したクロウフォード、玉座に座り勇者一行の位置を確認した。
勇者一行を、魔王城の少し手前にいることを確認した。
遠視魔法で勇者一行の状況確認をすると、魔王城少し手前で野営準備に入っていた。
「予測通りだな」
勇者一行を、確認した俺は、自室へと転移で戻った。
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翌朝、俺はリズエリーテと朝食をとり、リズエリーテは王宮の書庫で、マリオに勉強を教えて貰う日なので、書庫へ送ってから、闇の森の魔王城の王の間玉座へと転移した。
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玉座へと転移した俺は、自分の格好を見て、魔王ぽくないと思い。
「格好だけでも、それぽくしとかないとな」
衣装を変える事にする。
真っ黒な着流しの様な服で、両サイドにスリットから白いズボンが、ちらりと見える、腰に2本の刀を差す。
そして、真っ黒で裏地は赤のマントを羽織る。
「こんなもんか」
そして勇者一行を遠視魔法で確認する。
丁度、勇者一行は城壁前に来たところだった。
異世界ジャポニアで見せてもらった、漫画の魔王を参考にそれぽく座り、扉が開くのを待つ。
しばらくして王の間がきぎぎと開いた。
扉が開き正面の玉座を見た、勇者一行は、息を飲み呟いた。
「あいつが魔王か」
「ようこそ、勇者一行よく来てくれた、待っていたぞ」
偉そうに玉座の肘おきに頬杖ついて、ふんと見下すように見て言ってやる。
いま勇者一行と俺が対峙した。
なんか楽しくなってきたなおい!
ちょっと乗ってきた!とちょっとテンションが上がった俺だった。