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令嬢の告白

2017年7月18日、ご指摘頂きありがとうございます。テンブレをテンプレに直しました。

日本からジャポニアに修正


  俺達はソファに横並びに座り、俺が入れた紅茶を一口飲んでリズエリーテが、暖炉の炎を見ながら話出した。


「私が、学園に入って二年目の時に、編入されてきたご令嬢がいました。

 彼女は、マリアンヌ・カールフル男爵令嬢、平民だったのですが、強い魔力を持たれていたので、カールフル男爵の養女に引き取られたとのことでした」


 一息ついてからリズエリーテは、再度話出した。


「ある日、学園の廊下をわたくし一人で歩いておりました。

  学園では珍しく誰も居なかったのですが、曲がり角からマリアンヌ様が、出て来られてすれ違ったのですが、その時倒れられて“何をするのですか”と叫ばれたのです。

  わたしくは、どうしたのかと思い振り返って、すぐにそう言われた事に、少しビックリしてしまいましたので、マリアンヌ様を助け起こすのが遅れたのでございます。

  そして、取りあえずマリアンヌ様を助け起こすのが先だと思い手を差し出した時に、皇太子様が通りがかり、マリアンヌ様が、皇太子様に“助けて下さい、私何もしてないのに”と言われ、またわたくしがビックリして黙っている間に、皇太子様が、わたくしを睨み付け、マリアンヌ様を救護室へと連れて行かれたのです。

  わたくしは聞き間違えたのだと思い、そのまま皇太子様にも訂正しないでいたのですが、それが良くなかったのか、同じ様な出来事が何回か有ったのです。

  その事もわたくしが否定しないまま月日が過ぎ、学園の卒業式の日に、皇太子様、マリアンヌ様、騎士団長の御令息、魔導師長の御令息、教会長御令息、宰相様の御令息の方々が、壇上に上がられ、そして、皇太子様が、わたくしを指名し、壇上に上がるように命じられました。

  そして言われた事は、マリアンヌ様に向かって口汚く罵った、マリアンヌ様の持ち物を持ち去り隠した、階段から突き落とした、その様な事を卒業式の日に、皆様に言われマリアンヌ様から“怖かったです”と言われたのです。

  そして、その証拠だと皇太子様の側近の方々が、各々が調べたと、わたくしの罪として話されたのです。

  言われたわたくしは呆気にとられて呆然としてしまい、少ししてから気を取り直し、わたくしには、身に覚えの無いことですので簡潔に、どれも身に覚えがありませんお答えたしたのですが、皇太子様から言われたのは、


 “すぐに否定しないのが、その証拠だ!貴様のような心根の者は、僕にも、この国の王妃にも相応しくない!僕の隣に立ち王妃となるのは、マリアンヌだけだ!よって貴様との婚約は破棄のうえ、貴様は国外追放だ!”

 

と言われたのです。

  そして、あの場所へ捨て置かれたのです」


  ほぉっとリズエリーテが一息ついて、紅茶をを飲んで喉を潤し、再び少し俯き話す。


「父と母が亡くなって、国を守るため、皇太子様をお支えし、お助けして生きて行く事が、私に残された使命だと思い、そのように行動してきたつもりだったのですが、皇太子様に、わたくしのことわかっては頂けてなかったのですね、わたくしがちゃんと始めから、皇太子様に説明をしていれば良かったのです」


  話を聞いた俺は、物凄く苛立ったし腹が立った。

 思わず魔力が大量に漏れ出しそうになるし、目は据わっているだろう、まだ、マリオからの報告を聞いてはないが、リズエリーテの学園生活の日常生活の報告書は覚えている。


  リズエリーテは国の為、国民の為とまだ、王族に入った訳でもないのに、困っている人が居たら人種関係なく手を差しのべ助けていたし、孤児院へもよく行っていた。

 そんな優しいリズエリーテが、人を貶める行為をするはずがない。


  俺は直ぐにでもバカ共を、殴りに行きたくなったが、ぐっと堪えた。


  その時リズエリーテから、声を掛けられた。


「ク クロウ」恐る恐るといった、震えた声に俺は冷静になるように、目を閉じ一呼吸し、リズエリーテに優しく微笑み謝った。


「すみません、怖がらせてしまいましたね。

 余りにも酷い内容に、怒りがこみ上げてしまいました」


 リズエリーテは、ほっとしたように胸に手を充て俺を見た。


「いえ、誰かが私の為に怒って頂くことなんて、もう無いものと思って下りました。ありがとうございますクロウ」


  小さく微笑み、お礼を言うリズエリーテを見て思う。

 何でこんな優しく、国の為に生きようとした人に酷い仕打ちが出来るんだ、リズエリーテの生気のなさの理由が少し判った気がした。

きっとご両親の教えを守り、それを糧に頑張ってきたのだろうと思い、リズエリーテの頭に手を優しく置いた、そして優しく労うように話す。


「よく頑張りましたね、リズ」


  そして手を頭から外し、再度リズエリーテの話を思い返した。

そして俺が思ったのは、リズエリーテが本当にマリアンヌの言う通りのことをしていたなら、テンプレの乙女ゲームに似てる気がするだった。


 なぜ俺が、テンプレ、乙女ゲームと言う言葉を知っているかと言うと、俺は異界渡りが出来る、その力で、異世界旅行をするからだ、地球という星のジャポニアという国に行った時に、友達が出来た。

 この旅行に行った為に、俺はこの一週間書類の山に埋もれていたのだが。

  まあようするに、その友達に色々と教わったのだ。

  その教えてもらった中に乙女ゲームがあった。


  だが待てよと思った。

 乙女ゲームにしてはおかしい、リズエリーテは何も悪い事はしていない、どちらかと言えばマリアンヌの行動により悪役令嬢にされている。

 どうしてマリアンヌがその様に仕向けたかは、恐らくマリアンヌが乙女ゲームを知っていて、この世界がゲームの世界に似ていた。

  そしてそのゲームのヒロインに、転生したからではないか、それでリズエリーテが悪役令嬢なのに悪役をしないから、悪役になるように、ヒロインが仕向けたラノベの話に近い気がする。


  そして乙女ゲームでは、悪役令嬢は追放されて終わりだが、人気があったゲームには、続篇やら、追加シナリオ版で、ファンタジー世界なら、人族と敵対する魔族など異人種が出てきて、それを攻略する話になってたりするよなと。

 それを思ったら、サーっと血の気が引いた。

 いやいや俺の思い過ごしだ、関係ないないと首を左右に振った。


 突然顔色が悪くなり、首を振る俺を見たリズエリーテは、心配したのだろう俺に話しかけた。


「クロウ、どうしたのですか?ご気分悪いのですか?」


「あっ、すみません、大丈夫、それよりもリズは、もうダリア王国には戻れませんよね、怖いかも知れませんが、ガーディス連合王国に行きませんか?私は実はガーディス連合王国に住んでるですよ」


「ガーディス連合王国?」

 首を傾げるリズに、ああそうか知らないのだなと説明する事にした。


「この闇の森を抜けた先にある国で、リズに分かりやすく言うと、魔王が治めている国です。色々な人種が居るだけで、普通に暮らしています、まあ、実際にリズの眼で見てもらわないと、幾ら私が言っても信じられないでしょうが、私がリズを守りますから、行きませんか?」


「えっ、森を抜けた所に国がある事も知りませんでした。でも、宜しいのでしょうか?わたくしはダリア王国から、追放された身ですが、敵国の人間です。そんな者を連れて行けば、クロウに迷惑をかけることになります」


「大丈夫ですよ、先程も言いましたが、ガーディス連合王国は、色々な人種が居ます。ですから、心配しなくても大丈夫ですよ、それに私が必ずリズを守ります」


「クロウがそこまで言ってくれてるのですから、いい国なのでしょう。わたくし是非行って見たいです。ただわたくしはここに来るまでも、クロウの足を引っ張ってます、ですから、ガーディス連合王国に行く道も、きっとご迷惑を掛けることになりますが、お願い出来ますか」


 そして頭を下げたリズエリーテ。


「頭を上げて下さいリズ、私が誘ったのですから、そんなに気にしないで下さい、それに・・・、まぁ今日はもう疲れたでしょうから、寝ることにしましょう、リズはあのベッド使って下さい、私は少し周りを見てきてから、ソファで休みます、ああ、遠慮は止めて下さいね」


 そう言って安心させるようにリズエリーテに、にっこりと微笑んだのだが、何故かリズエリーテにじっと見詰められた。

  俺は不思議に思い首を傾げリズエリーテに声を掛けた。



「リズどうしたのですか?」

 俺の声に、はっとしたリズエリーテは、慌てて就寝の挨拶をした。


「わかりましたわ、では有りがたく使わせて頂きますね、先に休ませて頂きます、わたくしの話を聞いて頂きありがとうございます。少し、いえ、かなり心が軽くなりました、感謝致します、では、お休みなさいクロウ」


 そう言ってベッドへ向かい、潜り込むリズを確認し部屋を出た。


 ****


 部屋から出て、城の地下へと降りた俺は、転移魔法でガーディス王城の執務室へと移動した。


「お帰りなさいませ、クロウフォード陛下」


「ただいまマリオ、で、リズの情報は揃ったか?」


 そう言ったらピクリとこめかみが動いたマリオ。

 変な奴だと思って見ていたら。


「お珍しいですね」

「何がだ?」

「もう、愛称呼びとは、まあ、それはさておき」

 すかさず心の中でマリオに突っ込みを入れた。

 置いておくんだったら、指摘すんなよ!不満げにマリオを見る俺を無視して、マリオは話を続けた。


 報告を聞いた俺は、やはりリズエリーテの話の通りだと思った。

 全てマリアンヌの自作自演、証拠も、証言も、証言は生徒を脅して仕立てた。

 階段から突き落とされた時に引きちぎったとされる、ボタンはリズにぶつかった時に引きちぎり盗んだ。

 そして何より、皇太子に気に入られたくてしただけなら、まだ、ダリア王国での常識から見るとわかるのだか、(分かりたくないが玉の輿狙いだな)マリアンヌは、皇太子の側近達にもあり得ない行動をしているのだ。


 まず、ダリア王国での貴族令嬢の常識では、婚約者の居る男性には、二人だけで話したりはしない、例えば大勢のいる教室でも一対一では、用事でも話し掛けたりせず、友達を伴って簡潔に用件を伝えてる。

 だが、このマリアンヌは、皇太子とその側近達全員(側近達にも全員婚約者がいる)と公の場所や、庭のベンチなど、一対一で話し、しかも人前にも関わらずキャキャウフフと親しげにしていたそうだ。

 卒業式の少し前には、その中の誰か一人に腰を抱かれて座って居るのにも関わらず、回りはその他の面々が取り囲むという状況、そしてそれを時間毎にローテーションしていた。

 そんな報告を聞いた俺は思った。


  とんだビッチだな!しかも絵に書いたような逆ハーレム!この世界の常識を無視してのその状況、やっぱり奴はこの世界を、ゲームの世界と思ってやがる転生者に間違いない!と。

 そして頭を抱えて、フラフラと自分の机の椅子に座り込んで唸った。


「クロウフォード陛下どうされたのですか?まあ、わかりますが、ここまで酷い尻軽の女性が、居るとは思いませんよね、あの国もこのままでは、バカ皇太子が継いだら崩壊ですね、今の王も大概ダメダメですが、まだ側近達が少しだけ、ましですから何とかなってますがね、少しだけ」


 少しだけを、二回言ったマリオが、呆れた表情をしているが、俺が懸念していることはまた別だ。


「マリオ、マリアンヌとその愉快な仲間達の動向に注意しろ、あの国が、崩壊するのは構わんが、いや、だが国民は不憫だな、あの国でまともな有能な人物を探しておけ、当面注意が必要なのは、ビッチ達だ、もしかしたら、此方に何か仕掛けるかもしれん」

 

  だんだんマリアンヌと呼ぶのが面倒になったので、とうとうビッチ呼びとなったが、マリオには通じたようだ。


 マリオは、不可思議な表情をして、そんなことがあるはずないと、可愛そうな子を見る眼差しで俺を見た。


「お前は、そんな眼で見るな、まあ、ビッチ達が仕掛けると言っても、戦争のように国対国じゃなくて、何て言ったら良いか・・・、恐らく小数、ビッチ達だけで、此方の一部の人物に関わって来るかも知れん、外れてくれれば良いが」

 そう言ってふうっと一息ついて、椅子の背にもたれた。


「まあ、ご命令には従いますよ、でも、ビッチって、まあ呼びやすくて良いですね、時間短縮になりますし、そんな事より、リズエリーテ嬢はどうされるのですか?」


「ああ、リズにはこの国に住んでもらおうと思う。

 いつも思うが、あの国は有能な人物をよく放り出せるよな、俺達には助かるが」


 ちらりとマリオの後ろに控える補佐官を見て、ニヤリと笑う。


 補佐官は、困ったように微笑み

「クロウフォード陛下に、そんな風に思って頂けて、有り難く思います」

 そして一礼をした。


 補佐官他このガーディス連合王国には、ダリア王国に処刑と称し、闇の森に放置された人達が、ガーディス王宮で働いている人が多い。

 救出を装い、その人物がどういった人物か、身辺調査報告書を元に、直に会って判断し雇い入れるのだ。


 殆どは有能な人物だが、たまに、どうしようもないクズもいる、その場合は対面した記憶を消し、檻にそのまま放置し、魔物に襲われて死亡となる。

 非情と言うなよ、危険人物を入れて国民を危険に晒せないからな。

 それをダリア王国は、部隊を派遣し処刑確認をするのだ。


 有能な人物は、助け出されたあとに、擬装工作部隊が魔物に襲われた様に檻を擬装するのだ。


 だから、今も何の疑問にも思わず、ダリア王国は闇の森を処刑に使うのだ。


 俺は、マリオを見て言った。


「明日、闇の森の魔王城の地下の転移扉から、関所近くに出るように開くから、関所に通達しといてくれ」


「わかりました」

 素直に了承したマリオが何も言わない事が珍しく思いそのまま言った。


「珍しいな、簡単に転移扉を使うなとか言うかと思ったが」


「失礼ですね、女性には優しいですよ私は、あの森を歩けとは、有能で出来た女性に酷なこと言いません、そろそろ戻られては?当面のクロウフォード陛下の仕事は、リズエリーテ嬢に失礼な事をせずに、こちらへ連れて来て頂くことです」

 わかってますかと蔑むような眼で見られた俺は再度思う。


 俺この国で一番偉いよな確かと思いながら、すごすごと立ち上がり準備する。


「わかっている。ちゃんと丁寧に普通のエルフの様に接している、まだボロは出てない・・・と思う、じゃ、行ってくる」



実は、乙女ゲームはやったこと無いです。

大体雰囲気はこんなかなって感覚で、書いちゃてます。

なんか色々おかしいかもと思いながら、妄想垂れ流しております。

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