私!ヒロインはじめます!
マリアンヌさんの視点です。
本編完了後のお話も最後の方にあります。
相変わらず、残念な脳ミソから漏れ出たお話です。
生暖かい目で読んで頂けたら幸いです。
全4話です。
私は二十六歳OL、大好きな乙女ゲームを今やっている。
凄くやり込んで、漸く今日隠し攻略キャラが出てくる条件を達成した時には真夜中を回っていた。
明日も仕事なので、断腸の思いでセーブをして、ベットに入った。
翌朝、いつも通り仕事に行き、いつもの毎日はいつも通りに終わり、うきうきと家路を急いでいた、後ろからキキーとスリップ音がしたと思ったら、どんと音がし私は宙を飛んでいた。
えっ?!何!?これ?!と思ってすぐ体に衝撃を受け、そして目の前がブラックアウトした。
ああ、真エンディングが出来なかったと、その事が物凄く悔やまれて、このまま死んじゃうのかなっと思った。
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「マリアンヌ!起きて頂戴!早く」
私の体が揺すられ、うん?と思った。
あれ、この声だれ?聞きなれない声だし、私はそんな外人さんの名前じゃないよっと思いながら眼を開けた。
目の前には金髪の私と同じぐらいの二十五、六歳の女性。
服装は、私から見たらわりとふりふりなワンピースを着てらっしゃる。
えっ?外人さん?私ってリスニング出来なかった筈だけど・・・と思い取り敢えず起き上がってみる。
あれ?体が動く。
「さあ、お水持ってきたから顔洗って、用意して」
そして、私を立ち上がらせて、手を引っ張って洗面所に連れていく外人さん。
そこの鏡を覗くと、ゆるふわウェーブのピンクゴールドの髪に、真っ青な瞳、だれ?このかわいい少女はと思い、自分のほっぺを摘まむと、鏡の中の美少女も同じ様にした。
「・・・ええ?!」
思わず叫んだ私に、先程の金髪女性がやってきた。
「マリアンヌ、どうしたの?今日はカールフル男爵が貴方を養女にしてくれる日よ、ちゃんとしなさい」
マリアンヌ・・・カールフル男爵、ままままさか!?これって今流行りの乙女ゲーム転生!まじで?!リアルに乙女ゲームが出来る!!?
そう思った私は、未練だった、真エンディングを絶対絶対見てやるんだ!っと手を握りしめた。
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私は、今日カールフル男爵の養女に引き取られ、孤児院を出る日だった。
理由は、強大な魔力保有で、将来国の機関である魔法省へ就職する為に、学園へ入る為に、異例的にカールフル男爵に引き取られた。
そして、孤児院の子達に別れを惜しまれたけど、私は一切孤児院での記憶が無かったので、子供達ほど、悲しくはなかったけど、無下にも出来ないので話を合わせてお別れをした。
暫くカールフル男爵の家で基本的な貴族の振る舞いや、ルールを教えられて、いよいよ、学園へ編入する事になった。
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いよいよ本番!失敗は出来ない!一発勝負でハーレムにしなければならない!ゲームでは攻略対象者の各エンディングを出してから、ハーレムルートが開けるけど、今は現実なんだから、時間が戻ったりは出来ないはず!だから、始めからハーレムを目指して行かないとと私は気合いを入れた。
えっ?なんでハーレムかって?隠し攻略キャラが出て来る条件なのよ、結構難しいんだから。
そして始まった学園生活、やはりここはゲームの世界だと、確信した私。
だって、攻略対象者達が目の前にいるし!皇太子様の婚約者のリズエリーテもいる!
もう!見てるだけでもテンション上がる!
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先ずは、初めての接触、始めはラアド皇太子様。
ラアド様は、この国ダリア王国の皇太子様、背は1m75cm位で、肩ぐらいまで伸びたサラサラ金髪で、瞳は青色、見るからに王子様のイケメンだ。
花壇で、小鳥がケガして動けないのを見つけたマリアンヌが、小鳥を癒すのよね!それを見たラアド皇太子様が、“むやみに魔法を使ってはいけない”と私を注意する。
それを私は、毅然とした態度で言うのだ。
「動物が怪我をしていて、私は治せるのにそのままにしておくなんて出来ません、何の為の魔法ですか?攻撃魔法なら仰る通り、むやみに使うものでは無いと納得致しますが、助ける事まで制限するのは間違ってます!」
うん、結果を言うとその通りになった。
皇太子様と知らずに毅然と話す私に、興味が出てきたようで、びっくりしたように目を見開いてから、微笑まれた。まさにシナリオ通り!知らずにがポイントね!
これで、皇太子様の私の好感度が少し上がったはず。
ゲームでは、他の攻略対象者も同じだけど、次に会った時に無礼をお詫びするのよ、すると友達にならないかと誘われるのよね。
それでどんどん仲良くなるの。
あっ魔法はカールフル男爵の所で、ゲームどおりか確認済みよ!
ゲーム通りに使えたわ、勿論私の専用武器のレイピアもあったわ!
そして、気分良く図書館に来た私。
次は宰相様のご令息のソリン様が一杯本を持ってて、それにぶつかった私が、本を拾い運ぶのを手伝うのよ。
ソリン様は、背は1m70cm位で、髪は長めの濃い茶色で少し癖毛で後ろに束ねていて、眼鏡をかけていて、瞳は茶色、地味そうに見えてもこちらはインテリ風イケメンだ。
ソリン様にぶつかった私は直ぐに謝るの。
「申し訳ありません、もし宜しければ運ぶのをお手伝い致します、しかし、難しい本を読まれて向上心がおありなんですね、私も見習わければ」
そう言って、経済学の本を大事そうに手にして、ソリン様ににっこり微笑むのだ。
まあ、これも宰相ご令息のソリン様とは知らずに話してる風で、これまた経済学の本を見たそうにしている私に興味を持つの。
結果、こちらもシナリオ通りになった。
さてさて、次に行かないと、あーヒロインって忙しいのね、でも、今日中に全て終わらさないとと私は急ぎ、魔術研究室へと急いだ。
ここは、新しい魔法の開発者研究している所で、多分言わなくてもわかると思うけど、魔導師長のご令息のマージル様がいらっしゃるのよね。
マージル様は、言うなれば魔術オタクなのよね、余り話さないし、無愛想だから、他の同級生から話しかけられない、それがヒロインは研究内容を熱心に聞くのよね。
今までそんな熱心に話を聞いてくれる同級生は居なかったから、話を聞いてくれるヒロインに興味を持つのよ。
マージル様は、ソリン様と同じ背丈で、髪は黒色で目が隠れる位の前髪で、長さは短め、瞳も黒色。
もう言うまでも無いけど、こちらもシナリオ通りよ!
次は闘技場へ向かう私、次は騎士団長ご令息のリック様、まあ、この方は脳筋な方で、深く考えないから直ぐ落ちる、最悪な選択しても、次を一番いい選択をすれば、すぐに巻き返せるからバッドエンド出す方が難しいかも。
こちらは、鍛練に来た私がリック様に手合わせをお願いするのよね。
そして、なかなか接戦して引き分けるの、実践だから、私が動けるか心配?ふふこう見えても私、現実では剣道してて、大学時代は全国優勝してるのよ!えっ剣道とレイピアは違うって、そそうだけど、以外と私は運動神経いいのよ、だから、なんとかして見せるわ!
リック様は、黒髪短髪がっしり体型背は一番高い1m90cm
結果は、見事シナリオ通り、引き分けで、ご令嬢でここまてやるとはと感心されて、これからも手合わせをしようと約束したわ。
ふふ、だから言ったでしょ、片手剣だから扱い難かったけど、リック様との手合わせでなんとか物にしたわよ!
さあ、学園で会わないといけない攻略対象者はこれで全部終わった。
はぁ、疲れたわ、もう夕方。
でも、あと一人教会長のご令息のクリス様は、夕べの祈りのミサを行うのに町の教会に行ってらっしゃるの。
あと三十分で始まるから、急いで教会に行かないと。
こちらも、クリス様は祈りのミサが終わり、一人一人に祝福をお与えになるのだけど、皆がさすがに教会長のご令息だと褒め称えて、ありがたやと帰っていく。
ヒロインは、クリス様の説教に凄く感銘を受け、クリス様個人を尊敬しますと熱烈に訴えて、帰っていく。
すると、自分個人を尊敬しくれて、そして教会長のご令息と思ってなくて話すヒロインと話をしたいとおもうのよね。
そうそう、クリス様は、銀髪に、藍色の瞳で背は一番低くて1m60cmぐらいで、可愛らしい感じの男の子って感じ。
あっ、勿論結果はシナリオ通り成功よ。
はぁ~疲れた。
凄いハードスケジュールだわ、実際に動くとなるとこんなに大変だったのね、ゲームだと、移動コマンドですぐに場所が変わるもの、後二、三回話して、皆の心を引き付けてから、悪役令嬢と対面ね!
私は学園の寮へとルンルンと帰って行った。
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それから着々と、攻略対象者との仲を深めていってる。
攻略対象者とは上手く行ってるのに、悪役令嬢がシナリオ通りの行動をしないのだ。
私は首を傾げて考えた。
おかしい?もうそろそろ私に文句を言いに来てもいい頃なのに、悪役令嬢のリズエリーテは、何も言って来ない。
それに不思議な事に、リズエリーテの周りに取り巻きが全然居ない。
確か、凄く高飛車な性格で、取り巻きも凄く居て、ラアド様に凄く執着してた筈だけと、全然まとわりついてない!?
これじゃ、ラアド様ともっと親密になれないし!真ルートが開かれないし!
仕方ないわ、強制的にイベントを発生させるしかないと決めた私!
先ずは、リズエリーテが一人のときを狙い、スレ違い様に転けるの、今、曲がり角でスタンバってる私、
タイミングを見計らって、出ていったそして、転けて叫ぶ。
「何をするんですか!!」
突然の事にリズエリーテは、反応が遅れてる。
よし、これでラアド様が通り掛かれば完璧だけどと思ったら。
「何をしている」
少し冷たい声で話すラアド様!やっとシナリオ通りになった!私はそのまま進める事にした。
「助けて下さい、私は何もしてないのに」とラアド様に言った。
そしたら、ラアド様がリズエリーテを睨み付けて、私を助けおこし救護室へと連れて行ってくれた。
そして救護室について、私を椅子へと座らせて、心配そうに覗き込まれて、私から事情を聞いた。
そして、やっぱり私はヒロインだわっと、尚一層真エンディングを目指して頑張る事を誓ったのだった。