王様 勇者一行の処遇を決める
いよいよ終盤です。
ぎゅぎゅと詰め込んだつもりで、ここまてやって来ました。
翌朝、勇者一行に会いに行く前に、執務室でマリオと話、情報の擦り合わせをする。
「あれから、どうだった、マリオ?」
「まあ、注意事項を話しただけで、特に話は聞いてませんが、観察した感じでは勇者一行は、問題無いでしょう、勇者なのですが、恐らく陛下が最近行かれた異世界旅行先からの召喚者だと思われますよ」
マリオから、一瞬ブリザードの視線を感じた。
ちょっと冷や汗が出た俺。
「そそうなのか、勇者ハヤトに関しては、少し確認したら、送る事にして、残りの者達だが、あいつらは、隷属魔法を掛けられて、家族を人質にされていたそうだ、なので、あいつらの家族も此方に連れて来ようと思うが、そこはあいつらの意思を確認だな、後は、ダリア王国の召喚魔法をどうするかだが、これは、破壊か消滅か強奪するかだが、どちらにしろあの国に置いて置くのは不味いだろうな」
マリオは、暫し考え込んでいたが、俺に目を向け話し出す。
「そうですね、取り合えず強奪で宜しいのではないでしょうか、あとは、勇者一行の為の手配を準備しますね、少し失礼します」
とマリオは執務室を出て行った。
暫くしてマリオが戻ってきた。
「準備は整いました」
「では、向かうか」と言った時、執務室の扉がノックされ、侍女が入って来て、その後ろにリズエリーテが居た。
「失礼します、リズエリーテ様が、クロウフォード陛下にお会いされたいとの事でお連れいたしました」
リズエリーテが前に出て来てお辞儀をした。
「クロウフォード陛下、マリオ宰相様、突然の訪問申し訳ありません」
「それは構いませんが、どうされたのですか?リズエリーテ様」
マリオが俺の代わりに聞いた。
「はい、今から、あの方達に会いに行かれるのでしょう?無理を承知でお願い致します、わたくしもその場にお連れ下さい、お話を聞くだけで、お二人の邪魔は、いたしませんので、お願い致します」
そんなリズエリーテを、俺は困ったように見ているとマリオが俺に言った。
「どうなさいますか?クロウフォード陛下、私は宜しいかと思いますが」
まあ、あいつらとの話の内容には問題ないが、その後がと思うと思案していると、リズエリーテが俺をじっと見つめる。
うっそんなに見つめられると、駄目とは言えない。
「わかった、一緒に行こう」
という事で三人で行くことになった。
今日は歩いて城町の家に向かう事にした。
リズエリーテと手を繋いで、その後ろをマリオが着いてくる。
そうして、家に着いて扉をノックすると、中から扉が開かれた。
派遣されていたのは、ナーリエだった。
「クロウフォード陛下、おはようございます」
「おはようナーリエ、ご苦労様、早速だが皆をリビングへ、集めてくれ」
中に入り俺達はリビングへ向かいテーブルについた。
程なく勇者一行がやって来てテーブルについた。
ナーリエが、紅茶を配膳し終わり壁側へ立って空気と化したのを見て、俺から話し出す。
「一晩たったが、本当にガーディス連合王国へ移住することに、変わりはないか?」
「はい、気持ちは変わりません、クロウフォード陛下の偽装映像で、僕達が殺された事にしていただければ、家族も人質から外れます、クロウフォード陛下が、悪者になってしまうことが申し訳なく思うのですが」
「決意は、わかった、今から偽装映像で、地竜を数匹でお前達を襲うことにする、それならば問題無いだろう、それでお前達家族も此方に連れて来ようと思うが、お前達が家族を説得出来なければ、記憶を消し永遠に家族とは縁を切ることになるが、どうする?」
俺は一同を、見渡した。
勇者一行は、互いを見て、頷いた。
「クロウフォード陛下、ご温情有り難うございます。家族を必ず説得致しますので、お力をお貸し下さい」
「わかった、では、時間も余り掛けたくないから、早速お前達には直ぐに向かって貰う、マリオ手配は出来ているか?」
「はい、抜かりなく、もう外に待機しております」
マリオがそう言って、ナーリエに向かい頷いた。
ナーリエが、部屋から出て行った。
マリオが話だす。
「今から、それぞれに一人ゲート魔法を使える者を付けます。悪魔族ですから、一応人族に見えるように幻影魔法を掛けております、初見で怖がられる事は無いでしょうが、必要に応じて幻影解除を、言えば応じる様に言ってますのであなた達に任せます。
先程陛下が、申し上げた通り説得出来なければ、この者達がご家族から、接触した記憶を消しますので、覚悟して下さいね。
後、ゲートをあなた達の家に繋ぐのに、あなた達の情報が必要ですので、その者が触れる事をご了承下さい。注意事項としてはそれぐらいですかね」
勇者一行は、力強く頷いた。
説明が終わった頃に悪魔族が入って来た。
「マリオ、しかし戻りはどうする?この部屋では全家族は入れんだろう?一旦魔王城へ行くか?」
「そうですね、戻りは魔王城王の間闘技場なら、何人でも荷物も置けますし、ではこれから向かいましょう、陛下転移扉の間まで、繋いで頂けてますか」
「わかった、では、そこの扉を繋ごう」
俺は立ち上がり扉に向かいノブを掴んで開けた。
「ほら、通れ」
先ずはマリオが通り、その後に勇者一行その後に悪魔族、そして俺達で、俺はナーリエに命じる。
「ナーリエ後の事は頼むな」
「はい、マリオ宰相様に賜っておりますので、大丈夫です。お任せください」
そう言って頭を下げたナーリエを確認し、扉を閉めた。
*****
地下転移扉から闘技場へと移動した俺達。
そして、勇者一行と悪魔族達が、それぞれゲート魔法で移動して行った。
そして、勇者ハヤトのみが残ったので、俺と勇者ハヤトで話をする。
「勇者ハヤト、マリオに聞いたが、乙女ゲームと言う言葉を知ってるとの事だか、俺が行った異世界か確認するぞ」
勇者ハヤトは、恥ずかしそうに先ずはと話し出す。
「クロウフォード陛下、僕の事はハヤトでいいです。なんか、元世界を知ってる人がいて、勇者ハヤトと名乗っていると知られると。とてつもなく恥ずかしいです」
「ああ、あれか中二病とか言う奴か、初めて、いや、やめておこう」
俺はニヤニヤしてしまう。
ハヤトは、ぐはぁと呻いて胸を掴んで崩れ落ちた。
「その言葉を、知ってるなんて絶体僕の世界に間違いありませんよ」
心にダメージを受けたようだ。
「いや、まあまて、これから、お前の世界で合ってるか確認するから」
俺は、その世界の通信機器を取り出す。
通称スマートフォンだ。
異世界の機器を俺用にカスタマイズした物だ。
それを見たハヤトは、目を見開いた。
「それ!この世界では、役に立たない筈ですよ」
「まあな、これは俺がカスタマイズしたから、繋がる、但しこれがあった異世界限定だがな、これから、俺の友達に電話するから、歴史と地理で確認出来たら確定だが、ハヤトもこれ持ってたのか?」
「はい、ですが、此方に来るときに丁度落とした時で、持ってこれなかったのです」
「それがあれば、簡単だったのだかな、仕方ないな」
ハヤトに国、首都、歴史など大まかに聞いた。
そして俺は電話する。
後でマリオに聞いたが、ハヤトは、「どんだけ、チートなんですかクロウフォード陛下は」と肩を落として頭をがっくしと垂れて居たらしい。
プルルルプルルル
スピーカーにして掛ける。
『もしもーし、クロウ君久しぶり、元気してる?』
『ああ、久しぶりだな、リコ、元気そうだな、ちょっと聞きたい事があってな、お前の国ってジャポニアだよな、で、首都は東京だな、あと、江戸時代で徳川幕府が終わり明治時代にかわるでいいか?あと、そうだな、九州とか四国、北海道って在るのか?』
『へー、凄いねクロウ君、勉強熱心だね、合ってるよ』
『あと、そっちの今日の暦を教えてくれ』
『今日はね、20〇〇年8月7日だね』
『ありがとな、また、遊びに行くから宜しくな』
『うん、また来る時は面白い所に案内してあげるよ、じゃ、またね』
電話を切って、ハヤトを見る。
「僕の居た世界ですう~、どんだけ、チートなんですかクロウフォード陛下は、僕チートって浮かれてたのが凄く恥ずかしいです」
と何故か、だばぁと泣いている。
「おいおい、そんな泣くほどの事か?まあ、落ち着け、で、どのぐらいお前が失踪している感じだ?」
「うっぐ、はい、僕が此方に来たのは7月19日ですので、こちらよりそんなに経ってないですね、でも、失踪届けは出てるかも」
「うーむ、ハヤトのこちらでの記憶と此方で付けた力を対価にすれば、来た日に帰す事は出来るが、そうするか?」
「えっ、それは...困ったなぁ」
「そんな、悩むことか?元世界に戻ったら、その力なんて、向こうでは何の役にも立たんだろう?記憶もいらんだろう」
「いや、でも、折角出来ない体験したのを忘れるのはちょっと、また召喚された時に役立つかもと思うと、クロウフォード陛下もたまに遊びに来てくださるのでしたら、僕も案内したいですし」
「じゃ、自分で頑張るんだな」
「はい、そうします!そこまで助けて戴いたら、僕はいつも逃げる事になりそうですから、では、他のメンバーが戻ってお別れを言ってからお願いしてもいいですか」
「わかった」
ハヤトの事は解決したな、後は残りのメンバーだが、旨く行けばよいが、そして、リズエリーテの様子を見る。
「リズ、大丈夫か?何か気になることあるか?」
「いえ、大丈夫です、クロウ様は本当に良い王様ですね、何でも出来てしまいますし、わたくしがお助けする事はございませんね」
と少し寂しそうに微笑む。
「それは違うぞ、リズ、俺は何でもは出来ない、マリオにはいたぶられるし、それで結構心がやさぐれるし、それを最近はリズがいつも癒してくれるから、俺は頑張ろうと思えるし、今はリズに恥ずかしく無いように行動しようと考えられる」
そっとリズエリーテの両手を包むように握り、リズエリーテを見つめた所で、邪魔が入る。
「陛下、ソロソロ一人目が此方に帰って来ます」
それから順次帰って来て、特に問題なく皆此方に住むことを了承した。
勇者一行は闇の森へ行かされる時に、事実を家族に言っていたそうだ、だから、わりとあっさり家族は此方に来ることを了承したそうだ。
マリオも、家族全員を観察したのち問題はないだろうと、用意した一画の家の地区へとそれぞれ付けた悪魔族に、ゲートで繋ぎ移動させた。
ハヤトも取り合えず、別れの挨拶のために着いて行った。
残ったのは、俺、リズエリーテ、マリオだが、今度は黙って行っては駄目なんだろうなと、思いリズエリーテにこれから、俺達がする事を話す事にした。
ジャポニアは、現代日本に近い別世界と捉えて頂ければと思います。