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闇の森での出逢い

残念な脳ミソが、吐き出した妄想をゆるーく書いてみました。

生暖かい目で見ていただけるだけでも嬉しく思います。

色々可笑しな箇所があると思いますが、宜しくお願い致します。


 カリカリと筆記する音とトンと判を押印する音が交互に単調に響いている。

 書類の山に埋もれて一週間、飯は食ってるが寝ていない、ソロソロ流石に限界が近いと虚ろな目をした、くたびれた男は俺だ。

 ガーディス連合王国の王ををやっている、名はクロウフォードと言う。


 いつもこんな書類に埋もれて仕事をしている訳ではない、まあ、ちょっと黙って旅行に行ってただけだ。

 えっ?王さまが黙っては駄目だろう自業自得だろってか、たまには俺も息抜きがしたいんだ。

 まあ、そんな訳で旅行に行った後って色々山盛りになるだろう、それだ。


 あと、自分で言うのもなんだが、今はくたびれているが、見た目はいい方だ、髪は青銀で後ろに弛く束ね、耳が人より長くピンと尖っていて、瞳はエメラルドグリーン年の頃は20代前半に見える、顔は良い方だと思う、なんてったて俺は、わかりやすく言うとエルフだからな。


 山盛りの書類の処理も漸くこの最後の一枚で終わった、俺は、はあーと息を吐き、終わったと椅子に座ったまま背伸びをし、窓の外を見ると日は落ちかけ、綺麗な夕焼けが見える。

 一息ついてから、爆睡してやるぞと左側の壁側の机で同じように書類仕事をしている人物に声を掛けた。


「終ったぞ、マリオ紅茶くれ」


「クロウフォード陛下、問題が発生致しました、私はこの通り、まだ終わっておりませんので、陛下に対処をお願い致します」


 俺が声を掛けたのは、長い金髪をこちらも緩く後ろに束ねており、二本の曲がった角が頭に付いており、切れ長の目に、眼鏡を掛けている、種族で言うと悪魔族だな。

 魔王と言うのに相応しい見た目のこいつは、この国の宰相で、俺の右腕のマリオだ、俺と同じように、机で書類を処理しながら、やって来る臣下からの報告を聞き指示していた。

 器用な奴だ、まったく、有能過ぎて困るってか、マリオが王さますればいいと思うんだが。

 その報告の中で、一つの報告を聞いたマリオは、顔をあげ紅茶を所望した俺を無視して、有無を言わせない眼差しで言い放ったのだ。


 俺は無視された事に抗議するように、机を叩きながら立ち上がり言ってやった。


「お前、仮にも俺はこの国の王だぞ、それを「闇の森にダリア王国から、また、人が放置されたとの事です、今回は、それなりの身分の者が対処しないと、クロウフォード陛下が、後々困る事になるかもしれないですよ」


 こいつは、俺の言葉を遮って、眼鏡をついと指で押し上げ、口許は口角を上げて微笑んでいるのに、目は笑っておらず、その目は行きますよねと有無を言わさないブリザードの眼差、こいつ俺の部下だよな!?俺は負けねぇぜと、ぐぬぬとにらみ返したが、マリオの変わらない微笑みにがっくり頭を垂れ、そして顔を上げ悔しい表情をしながら叫んだ。


「わかった!行けばいいんだろ!」


 ふんと腕を組んでツンと顔を上げ、ちらりとマリオを見ながら、俺、こいつの上司だよなと思いながら、闇の森に移動する為の魔法を発動させた。


 ****


 闇の森にある城、通称魔王城の屋根に転移魔法でやって来た俺は、人の気配を探った。

 せっかく寝れると思ったのに、何て事をしてくれるといらいらしながらも、人の位置を確認し再度転移魔法を発動させ移動した。



 少し説明すると、ダリア王国は、この闇の森を挟んである隣国だ、この国は俺達を魔族といい、俺の事は魔王と言っている。

 人族至上主義ということで、もう判るだろうが、その他の人種には差別的だ。

プライドが高くて、弱い癖にたまにちょっかい出してくるから、良い迷惑だ。


 俺の国は、色んな種族が住んでいる、人族もいる、だが、俺の国では皆それぞれの長所短所を補い合っているので、人種による差別はない。

 俺は弱い者苛めは嫌いだし、なるべく攻めてきても殺さない。

 まあ、厄介な隣国である。



 それはさておき人の気配から、数百メートル離れた場所に転移した俺は、遠視魔法で件の人間を観察した。


 なんとまあ、年若い16位の女じゃねぇか、檻に押し込んだまま放置って、闇の森じゃなかったら、魔物の腹の中だぞ、ひでぇ事しやがると思いなから、遠視魔法を解いた。


  闇の森は、俺が治める国ガーディス連合王国に管理されている。

 そして人族には敵わない、かなり強い魔物がいる、しかし、ガーディス連合王国の警備隊が随時巡回し、人が入った場合は様子を見て、入り込み過ぎたら、強い魔物を森の奥へと追いやり、人がちょっと頑張れば、勝てる魔物をけしかけて人を森から出させるのだ。

 まあ、わりと本気で対処しないと死ぬことはないが、大怪我をしてしまうので、闇の森は強い魔物がいると恐れられているが、余程の事がない限り、この森で人が死ぬことはないのだか、ダリア王国側はそう思っていないのだ。


 だから今回のように、檻に閉じ込められた人が放置される。

 ダリア王国の処刑である。

 だから今回もと、俺は女性が居る方向に不憫だなと目を向けた。


 そして、服装を弓使いの冒険者風に変え、異空間アイテムボックスからそこそこの良い弓を取りだし、弓筒を背負い弓矢を肩にかけ、腰に短刀と腰に小さなカバンを下げた。


 こんなもんかと、自分の姿を確認して、檻へと歩いていく。


 ****


 檻から数メートルの所で、件の女性を見た俺。

 檻の中で、品よく座っている女性は長い真っ直ぐな漆黒の髪、藍色の瞳で、肌の色は白く誰が見ても美人と言われる容姿、女性らしく程よい体つきだが小柄、だが表情は無表情、綺麗な瞳は、何も映してないように、ぼんやりと正面に向けているだけだ。


 そんな檻の中の女性に、表情が見えるほど近づいた俺は、その女性を見て、生気が無いと思っていた。

 取りあえずこのままじゃなと、女性に話しかけることにした。


「大丈夫ですか?いつからここに?まずはここから出ないと」


 そう話し掛けて檻の扉らしき所に移動した。

 女性からの返事はなく、俺の姿を追うようにゆっくり顔を向けていた。


 俺は鍵を針金で開けることにし、作業をしながら、女性へ話しかけることにした。


「鍵は針金で開けますね、ちょっと時間掛かりますので、その間に自己紹介しますね、私はエルフで冒険者のクロウと申します、宜しければお名前を教えて頂けませんか?」


 女性は、ゆっくりと立ち上がり、無表情にふらふらと扉の前まで来て、綺麗に貴族の挨拶をした。


「わたくしは、リズエリーテと申します」


 リズエリーテが挨拶したことに、まだ狂ってないなと少しほっとした俺は、出来るだけゆっくりと丁寧に話した。


「リズエリーテ様はお貴族様ですよね、どうしてこの様な所で、檻に閉じ込められたんですか?あっと、私は貴族ではないので、無作法でもお許し下さいね」


 俺のここまでの話し方を聞いたら、マリオなどは、ぷっと吹き出すだろう、俺はエルフにしては珍しく言葉は悪く、行動も粗野なのが常である、えっ知ってるって。

 自分で言うのはいいが、人に当たり前と捕らえられるのは傷付くな。

 取りあえずはだな、頑張ればそれなりに品性良く見せることが出来る!

 なんだ?その冷たい眼差しは、わかった言い直そう。

 要するに、今は凄く頑張って普通のエルフを演じています!


 リズエリーテは無表情のまま、ゆっくりと首を左右にふり話す。


「いえ、もうわたくしは家名を剥奪された、ただのリズエリーテですわ、わたくしのような者を助けようとして下さるクロウ様、ありがとうございます、ですが、この森は危険です、クロウ様が危のうございます、わたくしのことは捨て置きこの森から早く出て下さい」

 そして、リズエリーテは頭を下げた。


 それを見た俺は、生きて行く気力は無くても、他人の事を考えれる優しい人だなと、リズエリーテを微笑んで見た時に、カチャリと鍵が開く音がした。


「申し訳ありません、鍵開けちゃいました」

 ちょっと得意気に言って、扉を開け、リズエリーテに向け手を伸ばした。

 だか、リズエリーテは、目を少し見開いて驚いて動かないでいた。

 俺は首を傾げ、出てこないリズエリーテを出すために中に入り、驚いて動かないリズエリーテの目の前に立ち、手をとった。


「さあ、取りあえず出ましょうリズエリーテ様」


 俺に手を引かれるまま外へと出たリズエリーテは、俺にお礼をと、膝を折って最大級の礼をした。

 俺は慌てては礼は要りませんからと、取りあえずここから離れましょうと、リズエリーテの手を引いて森の中へと歩きだした。

大人しく俺に手を引かれ着いてくるリズエリーテに、俺は、まだ正常な判断が出来ない状態なのだろうし、暴れられるよりましだが、大丈夫か?と心配になる。

見ず知らずの俺に着いて行ってと。


 取りあえずは、魔王城へ向かうのだか、歩いてなので数日野宿が続くことになるのだが、仕方ない。

 転移魔法をおいそれと見せれないし、まだリズエリーテのこともきちんと判らない。

 危険人物を国へは、連れて行けないからな、うん。



 その初日の夜は、俺はなるべくリズエリーテを気遣いながら、歩き話しかけた。

 リズエリーテからの反応は余りなかったが、まあ仕方ないだろう。

 その日の夜、リズエリーテには、薄手のマットと毛布を渡して、火の側で寝かした。

 俺は木に背を預け寝ていると、 魘されるリズエリーテの声に目を覚ました。

 魘され不安な表情をしているリズエリーテを、そのまま寝かせて置くにはしのびなく、仕方ないとリズエリーテの前に寝転がり、背を優しく撫でた。

 そして、手をぎゅっと握りしめているのを広げ手を握った。

「大丈夫だ、何も怖いことは起きない」

 そう何回か言って、背を優しく撫でると、リズエリーテが落ち着いて来たので、手を外そうとしたが、握り込まれていた。

 仕方ないと、そのまま俺も眠ることにした。

 翌朝リズエリーテが、目を覚ますより早く起きて朝食の用意をするので、添い寝はバレてない。



 そんな夜が何日か続いたある日の朝、少しリズエリーテの目に輝きが出てきた様な感じがした。

いつものように俺は、リズエリーテの手を引いて進んで行くなか、リズエリーテの歩く速度に注意しながら、声を掛けながら様子を見たら、これ迄とは違い、答える声に張りが出てきた。

なのでもうソロソロ話が聞けるかと思い、リズエリーテに話しかけた。


「リズエリーテ様は、貴族なのにどうしてあんなことになっていたのですか?」


 俺はリズエリーテが何者であるかは知っている。

 闇の森に放置された理由、事実関係など詳しくはまだ報告を受けてないが、リズエリーテは前宰相レッドフォード公爵の一人娘で、リズエリーテが5歳の時ダリア王国の皇太子の婚約者になり、小さい時から王妃教育を受け育った。

  しかし、その両親である宰相夫妻はリズエリーテが10歳の時に事故で亡くなっており、現在のレッドフォード公爵当主は、遠い親戚でリズエリーテのことは、必要最低限の事しか面倒をみず、公爵家の財産を好き放題に使っていた。

  そして、リズエリーテが通っていた学園の卒業式で、皇太子に婚約を破棄され、断罪され、処刑の為闇の森に置かれたのだ。

  俺は、檻への移動の時にマリオから、念話で聞いた報告を思い返しながら、リズエリーテからの話を聞こうとした。


「クロウ様、わたくしの事はリズとお呼びください、クロウ様の仰る通り、わたくしは公爵家の娘で貴族でした、そしてダリア王国の為...、いえわたくしが、至らぬばかりに、あの場に、」


 そこで、少しリズエリーテが息を切らせ始めたので、俺は立ち止まり、木の幹へとリズエリーテを移動させ座らせた。

 そして、息を整えているリズエリーテの前に膝をついて話した。


「無理に話さなくて大丈夫ですよ、呼吸が落ち着くまでは、私が勝手に話しますね。

先程おっしゃった通り、これからはリズと呼ばせて頂きますね、私の事もクロウとお呼びください、あと、もう少しで寝泊まり出来て、少しは落ち着ける場所に着きますから、その時にお話をお聞かせ下さいますか?」


 リズエリーテは、頷いて「はい」と答えた。

 暫く休憩し二人は再度移動を開始した。



 ****


  漸く俺達が到着したのは、空も日が落ち暗い森の中に佇む、少し怖い雰囲気をしたお城、不安そうに俺を見ながらリズエリーテに話しかけられた。


「クロウ、このお城はもしかして、魔王城ではないでしょうか?大丈夫なのでしょうか?誰も居ないようですが・・・」


 俺は、不安げに城を見上げるリズエリーテを安心させるように、微笑んで話した。


「大丈夫ですよ、私は何回かここを寝床に使った事がありますが、誰にも会ってませんし、危ない目に会ったことはありませんから」


  当然この城は、俺の持ち物だから安全に違いはない、嘘は言ってないが若干意味が違うだけだ。

 使う時はダリア王国が攻めてきた時に拠点にして、俺は寝泊まりしているから、嘘は言ってない。

 ダリア王国には、この城が魔王の住んでいる城だと思わせているから、その事を知っているリズエリーテは怖がっているのだと思う。


  リズエリーテの問いかけは、ガーディス連合王国が流した情報が、ダリア王国に浸透している証拠だったことに、少し嬉しくなった。

  そんな俺を、感心したように見たリズエリーテが、ほっとしたように微笑み言った。


「そうなのですか、クロウがそう仰るのでしたら、大丈夫なのでしょう」


  安心するように微笑まれた俺は、後ろめたい気持ちを持ちながらも、微笑んで頷いた。


「ええ、私を信用して下さってありがとうリズ、では中に入りましょう」



 ****



  城の中に入り、暖炉のある部屋へとリズエリーテを案内した、火をおこしシチューを作って、リズエリーテにパンと一緒に渡し、ソファに横に並びに座り食事をした。


 その部屋は、ベッドと暖炉の前にソファがある、しかも、ベッドもソファも、埃が被っておらず綺麗だ。

 その事にソファに座って落ち着いた頃、リズエリーテが不思議そうに見ているのを気がついて話す。


「リズ、誰も居ないのに綺麗なのが不思議ですか?」


「ええ、そうです」

 ふふっと俺は微笑んで、その理由をリズエリーテに話した。


「それはですね、先程も話しましたが、何回かここを使ってるので、一週間程前からここを拠点にした私がこの部屋だけ、ベッドとソファを異空間のアイテムボックスから取り出して配置したのですよ」


 真っ赤な嘘である。

 俺が執務室から転移したのを見届けたマリオが、偽装工作部隊に準備させたものだ。

 俺は大きさに関わらずに、物を異空間のアイテムボックスから出せるので、そこは嘘ではないが。


 そんなことを知らないリズエリーテは、尊敬するように俺を見て言った。


「クロウは、狩人かと思ったのですが、そんな大きな物まで収納出来るアイテムボックスをお持ちとは、とても魔法の力がお強いのですね」


 リズエリーテの純粋な瞳は、眩しく少し居心地が悪い。


「いえいえ、補助魔法が少し得意なだけですよ、そうそう、話を聞かせて頂ける前に、入浴されてはどうですか?さっぱりした所で、リズに起こった事を話して頂けますか?」


「えっ?!お風呂もあるのですか?」

「ええ、いつでも入れますよ」

 俺は、アイテムボックスから、入浴に必要な者と、着替えを取り出しリズエリーテに渡して、風呂場へと案内した。


 ****


 お風呂から上がったリズエリーテは、ソファに座り学園の卒業式での起こった出来事を話し出した。


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