表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お姫様は向いてない  作者: あきを
2/2

2.

普通はここで相手をぶっ叩くべきだろう。

だけど、なぜだか私はただただ不思議に思って彼を見ていた。

そんな私を彼は少し驚きながら、だけど徐々に嬉しそうな笑みを浮かべている。

「思い出してくれた?」

「…え?」

「…そっか」

意味の分からないことを言う彼、沈黙が教室に満ちる。


「なんで、泣いてたの?」

「…一人ぼっちだから」


再度聞く彼。

素直に答えたこの時の私はきっとどうにかしていたんだろう。もしくはさっきのキスでなんか変な成分を分泌して頭がおかしくなったとか。


「なら、僕といればいいよ。そうすれば二人ぼっちだ」

「…孤独ね」

「孤独は悪いことじゃない」


そんな言葉、ひとりぼっちじゃない彼に言われたくない。

けどなぜかその言葉は気持ちがいいぐらい私の中に響いた。


「伊ヶ崎さんの涙の原因は解決した?」

「…ええ」

「嘘つき。白状すれば?」

「…実は生徒会の出し物が決まらないの」


ほんと、どうかしてる。

だけどそんな私を彼はずっと微笑みながら見てそして言った.


「僕は伊ヶ崎さんのことが好きだし二人ぼっち仲間だから、一緒に考えようよ」


――ああ、また…

今日は何回泣くつもりだろう。

私は頬を濡らすその涙なんてないような顔をしながら彼を見た。

彼はただ、私を見つめながら微笑んでいた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ