学園探索(2)
目を開けると目の前にはラボメンの皆がいた。
しかし、皆は止まったままじっと動かなかった。
葵は声を掛けようと近付こうとするが、足が動かない。
動かすことができるのは視線だけで、声すら出せなかった。
葵は、ふと皆が見ている場所に視線を動かす。
ラボメン全員が見ていた場所…
それは黒くぼんやりとした霧が掛かっていたがはっきりと認識する。
『化け物』だと。
その化け物はこっちに近づいてきていた。
涎を垂らしながらゆっくりと…。
気持ち悪い手と足でゆっくりと…。
葵の顔は一瞬に青ざめる。
必死に足を動かそうとするが足が動かない。
叫ぼうとしても声が出ない。
そして、その化け物が自分の目の前に到達する。
気持ち悪い吐息が掛かり、そして食われ―ラボメンが食われた。
葵は食われる瞬間に吹っ飛ばされ、吹っ飛ばしたラボメンの1人が喰われていた。
体には化け物の牙が何本も突き刺さって大きな穴が開いていた。
底には血の池ができていく。
葵は震えながらその者の顔を見る。
真顔で葵に何かを言っていた。
しかし、聞こえてこない。
そして、その者は言い終わると笑った…冷酷な顔で。
あ
れ
?…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………恐い…
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
?「……!」
?「…おい!」
リュ「葵!」
そこで葵は目が覚める。
リュ「葵、大丈夫ですか?魘されてましたよ」
葵「(あれは…夢?)…うん、大丈夫、少し変な夢見ただけ…ここは…あれ?何で私は寝てたの?」
リュ「それは…」
―数10分前―
多々羅が引き金を引き、弾が静かな音を立てて壁に撃ち込まれる。
2秒後、突然亀裂が走り、大きな音を立てて一部の壁が崩れ落ちる。
崩れた所は鉄筋が剥き出しになっていた。
通路を見てみると、音に反応したゾンビが近付いてきていた。
ソルはそれを見ても落ち着いたまま、剥き出しになった鉄筋を掴み引っ張る。
それにより壁に大きな亀裂が走り、人の2倍はある壁が|
取れた(・・・)。
ソ「ちょっちいでかいが、まあいいか。」
ソルはコンクリートが付いたままの鉄筋を近付いてきたゾンビに向かい降り下ろす。
2体のゾンビが一撃でぺしゃんこになり、潰した所のコンクリートが少しだけ取れる。
未、リュ、多、二、う、白無「………」
お「(あの体はどうなってるか調べたい…)じゅる←涎」
み「こわい…」
紅、龍「(運動の天才=天災のバカ力?)」
黒「ソル君1人でも攻略できるんじゃないの?」
葵「(ソルさん、やっぱり凄い)」
皆が下らない事を考えてる間もソルはゾンビを薙ぎ倒していっていた。
薙ぎ倒していく度にコンクリートが削れていき、削れたコンクリートも蹴り飛ばしてゾンビを倒していく。
教室のドアが倒れてゾンビが出てきても、逆にドアを蹴り飛ばし反対側にいたゾンビを教室に吹っ飛ばしていた。
多々羅は上方の壁に数発弾を撃ち込んで後ろに下がる。
壁が崩れ落ち、その瓦礫をソルが鉄筋でバットのように打ちゾンビにヒットさせていた。
しかし凄い早さで倒しても、無限のようにどこからかゾンビが現れてきていた。
ソルは切りがないと判断し、コンクリートの付いた鉄筋を前に走り出す。
ソ「ゾンビを押しきるから付いてこ来い!後ろから出てきたゾンビに捕まるなよ!木工室を見つけたら教えてくれ!」
ラボメンはソルの後ろを走って付いていく。
教室の室名札を見て確かめていくが何も書かれてないものばかり。
ソルがいくら力が強くても、鉄筋の反対側にはゾンビが溜まっていく一方で、走るスピードが落ちていっていた。
未「木工室どころか、他の部屋まで見つかんない!?」
その時、葵の横の教室のドアが倒れてきた。
葵は少し驚きはしたものの、『妖刀村正』で足を止めずドアを断ち切る。
しかし、断ち切った後に教室からゾンビが襲い掛かってきた。
刀で攻撃を凌いだが、衝撃で吹き飛ばされる。
止まろうにも、床が血で濡れて止まれず、頭を打ってしまい気絶してしまった。
一同「!?」
ソルは勢いを殺すとゾンビに全員が囲まれてしまうため足を止める事ができなかった。
龍はすぐにリュックを前に背負い、葵を背中に背負った。
そして刀を拾い上げた瞬間、ゾンビが腕に噛みついてきた。
“ばきばき!”
龍「う、ぐぅああぁぁあああーーー!?」
骨が折れる音が聞こえてきた。
龍は慌てて引き剥がそうとするが、ゾンビはの噛む力が増していくだけだった。
瞬間、ゾンビの顎をリュカが掌心(※手の平の下)で衝撃を与える。
ゾンビの顎が“がこっ”と変な音を出して外れ、口が開く。
リュ「刀は私が持つ!早く走って!」
龍「恩に切る!」
龍が葵を背負い直し走り出す。
20メートル先の付近でソルは完全に止まっていた。
そして、別の教室から現れてるゾンビを多々羅が的確なヘッドショットで倒していた。
他のメンバーはソルが止まっている横の教室に入っていくのが見えた。
龍はそこに急いで走り、駆け込む。
全員が部屋に駆け込むと、多々羅はソルを呼ぶ。
多「全員入った!」
ソ「りょ~…かい!」
ソルは鉄筋を思いっきり前に押し出す。
すると、反対側のゾンビがドミノのように手前のゾンビから倒れていく。
その瞬間にソルは皆のいる部屋に駆け込み閉める。
閉めた瞬間、ソルは鉄筋だけになった部分を捻って切断し、ドアのすぐ手前の床に3本突き刺す。
ソ「ふ~…これでドアが押されても外れる心配は無しっと~…」
周りを見回すとその部屋には色々な薬が置かれていた。
お「今は木工室より先に保健室が見つかって良かった~」
リュ「そうね…負傷者が出たんだから3人の治療を優先すべきね」
二「3人?葵さんと龍君とだ―」
そこで、血だらけになっている人物…ソルの方を見て気付く。
全身のゾンビ血で分かりづらくなっていて気付くのが遅れたが、ソルの腕には引っ掻き傷、指の肉は所々が食い千切られていた。
おそらくソルがゾンビを抑えてる時に、鉄筋の隙間からやられたのだろうと予想できた。
しかし、本人は全く気にした様子もなく水道で血を洗い流し始めた。
う「おいー!!何で一番の重傷者が平然とした顔してんの!?」
ソ「だってお前、これ血生臭いんだよ。それにあんな存在の血なんて不健康そうだし…」
“びちゃっ”
ソルが此方を振り向いた瞬間、ソルの太股から生々しい音を立てて何かが床に落ちた。
それは―
う「ぎゃーーー!?」
紅「きゃーーーーー!?←うけにビビった」
血で濡れた肉の塊。
う「ソルの太股が腐り落ちたーーー!?」
ソ「ちげぇーよ!?ゾンビの肉片がくっ付いてただけだ!」
黒「なぁ~だ、違ったのか…」
ソ「なぁ~だ…じゃねえよ!?俺のだったら良かったのか!?」
未「それより早く龍さんの腕の血を止血しなきゃ。ニッコリ、任せた」
二「りょうかいガッテンのすけだよ~♪」
ソ「(…あれ?なんかここ最近、皆俺のこと弄り過ぎじゃね?これはいかん!何とかせねば!!)」
下らないとは思いつつも慌てて窓の方を向いて指を指して叫ぶ。
ソ「な、何だあれはーー!」
ソルが指を指したところ…つまり窓には巨大な吸盤のようなものがくっついていた。
そして、それは表皮から変な液体を出しながら、吸盤の真ん中にある口のようなものがぱくぱくと窓に吸い付いていた。
ソ「……!?なんじゃありゃーーーー!!!」