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6。イケメンもどきに尋問されました。

「イケメンもどき」は初登場の主要人物です。

あ、別に主人公の相手ではございませんよ?犯罪になりますので。

「ぎゅるるるるるぅ」


 もう、おなかがすきすぎて死にそうだ。猫に狩りに行かせて獲物を狩らせようとしたが、この猫相当狩りが下手みたいで、たまに来る獣を追い払うのに精いっぱいだった。我輩を襲おうとしたのもそのように飢えていたのが原因らしい。


 役に立たないじゃないか。 



 早速猫に餌をあげたのを後悔しそうになったが、たまに来る獣を追い払ってくれる上に餌をあげてからは我輩を襲うこともなくなったので、まあ良しとしよう。これは懐かれたとみてよいのかな?




「ぎゅるるるるるぅ~」


 

 もうこの音は乙女として終わっているのではないか。昨日、この音を調節しようとして「ぎゅりゅりゅりゅう」と鳴ったのは二度と乙女として思い出したくない。



「みゃあ」


 猫の耳がぴんと立った。今までは獣が来たときだけにあった反応なのだが。え、どうしたの?


 我輩には何も聞こえない。まあさすがに猫ほどの聴力は持っていないから。



 まさかまた獣が来たのか、と思い身構える。



 しかし、特に殺意を感じなくて疑問に思う。んん?殺意を持ってないのか?


 

 つまり、そもそも来たものは我輩たちを獲物や天敵と認識していない、ということか?




「おい猫、お前に何かわかるか?」


「みゃあ。あ?」


 この猫とは会話が成り立っていない気がしてきた。いや、気のせいだよね?



 ぱこっぱこ、と馬が駆ける音がして猫の耳がさらにピンと立った。今度はさすがに我輩にも聞こえた。だが一頭分の足音しか聞こえないということは誰か人が乗っているのだろうか。


 流石に馬が一頭だけで行動しているとは想像が付かない。馬って群れで行動するよね?



 こんな森の中に来るということは、魔物を狩りに来た冒険者か偵察なのだろうか。


 取り敢えずその人に人情があることを期待して、我輩はのろしを上げる。



「おぉぉおおおおおおおい!」


 のろしってか……叫んだだけだけど。

 

 ありったけの声で叫んだから、聞こえなかったり無視されたりしたら我輩の命が更に短くなるだけだ。うう、のど痛い。



 まあしかし、馬に乗った人に聞こえたのか馬が止まり、こちら側に向かって走り出した……気がした。



 暫くすると細い木々の間を縫うようにして走ってきた馬が見えたが、予想よりかなりゴージャスでびっくりした。


 まず、馬は綺麗な白馬だった。毛並みがしっかりして見るからに手入れがされていて、この内乱とはかなりアンマッチだと思う。


 しかし、その異様さも上に載せている人物のせいでかき消されている気がする。中和じゃないよ?かき消されているんだよ?『我輩の白馬の王子様ぁ』と呼ぶには異様すぎるのだ。



 だってさ、エルフの血が入っているようには見えないのに黒髪なんだよ?


 説明しよう、この惑星には人種がいくつかに分かれている。人間、エルフ、ドワーフだ。その中で更に人間は黒人、黄色人種、白人、に分かれている。エルフはダークエルフとホワイトエルフに分かれている。


 例外はドワーフでドワーフは何にも別れていないが。


 さて、黒髪の事だが我が愛しの母上が所属しているホワイトエルフ特有の色だと言われている。我輩は人間の血よりエルフの血の方が濃いから耳も尖ってるし髪も黒い。


 

 だが、目も前の青年は耳が尖っていないのに黒髪だった。それだけでもかなり異様なのに、更に異様なのは黒目だったこと。




 基本的にこの惑星上に黒目はいない事になっているのに、なぜ?


 黒髪なのと合わせて不気味109%だ。ひゅぅどろどろ~



 顔立ちと言えば可もなく不可もなく、イケているかイケていないかと言われれば38秒悩んだ末に6割8分の人が「多分イケメンかなぁ」と答えるような顔立ちだった。多分b細工と答える人はいないと思うが。


 目は釣り目で目つきが悪いし。髪も無頓着そうだし。だが所謂細マッチョというやつで背はまあまあ高いしそこはイケメソ要素になっている。


 決して、テンプレートなキラッキライケメソではない。


 

 絶句していた我輩に対して微イケメンは睨めつけた後、口を開いた。


「何を、している」


 え、ちょ。マジで怖いんだが。え。それが弱り切っている儚くか弱い美少女に言う言葉か?しかも声が絶対零度とまでいかなくても絶対五度ぐらいなんだけど!


 なんかもっと、『大丈夫。もう安心だよ(キラッ)』的な展開はないのか?


 なんで尋問されてんだっけ、我輩?



 だがしかし!相手がどんなに気に入らなくても、ここで印象を悪くされたら死ぬよりほか道はない。何かを察したのか、逃げだそうともぞもぞする猫(許さんお前も道連れじゃ!)をしっかり抱えて重い口を開ける。



「わがh、わたくし道に迷いましての。とてつもなくお腹がすいておりますの。助けてくださいまし!」



 んで、極め付けに上目づかいを。


 危うく言い間違えたがきっと気づいていないだろう。青年は一瞬度胆を抜かれた顔になったが、すぐに険しい顔に戻った。


「まあよい。立て」




 ひぇえええ。こわぃいいいよぉおおお!って、おい猫!お前は逃げようとするな!罰として一緒に来い!


「臓器でも売られるのか」

「みゃあ(ロリ半エルフの臓器……需要ありそう…)」


次回は「イケメンもどき」視点になります。その時に名前は明かされます。

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